甘え上手な彼女3 秋編

Joker0808

第24話

「ゆ、優一さん? こ、これは?」

「こ、これはだな……夢だ!」

 突然のアクシデントに優一は混乱し、訳のわからないことを言ってしまう。
 しかし、芹那にはそんな声も届いておらず、頬を赤く染めながら、複数の自分の写真を見ていた。

「あ、あの……これって……私ですよね?」

「気のせいだ……」

「いや、でも私ですよね?」

「違う」

「優一さん、ちょっとそこに正座して下さい」

「いや……でも……」

「良いから、正座して下さい」

「………はい」

 優一は芹那に強く言われ、その場に正座する。
 芹那は優一の前に仁王立ちし、写真を一枚一枚確認する。

「優一さん」

「はい……」

「これって裏写真部が販売している写真ですよね?」

「はい……」

「なんで私の写真を買ってるんですか?」

「そ、それはだな……」

 優一は冷や汗を掻きながら、芹那の顔を見れずに俯いたまま黙り込む。
 優一の性格上、芹那の写真を他の奴渡したくなかったから、などとは言えるはずも無く。
 どうやったらこの状況下を脱することが出来るかを必死に考えていた。

「そ、それは……俺は買った訳じゃねーよ……ほ、他の奴が落としたのを俺が拾ったんだ……」

「そ、そうですか……じゃあ、なんで封筒に那須優一専用って書いてあるんですか?」

 恐らく写真部の奴が忘れないようにであろう、茶封筒の下の方には小さく優一の名前が書いてあった。

「そ、それは……」

「正直に言って下さい! その……もう……恋人同士なんですから……」

 優一はこれ以上は何を言っても信じて貰えないと思い、正直に訳を話し始める。
 
「あぁ……あれだ……なんか、ムカつくんだよ……他の奴がお前の写真持ってるのが………だから……その……俺が買ってただけだ……文句あるかよ!」

 若干逆ギレ気味にそういう優一、しかし顔は耳まで真っ赤で、いまだに芹那の顔を見れない。

「な、なななな! なんですかそれ! ゆ、優一さん……わ、私の事好きすぎませんか!?」

「ば、ばか! そんなんじゃねーよ!! 自意識過剰だっつの!!」

「いやいや! 確定じゃないですか!! こんなに私の写真買って……実物が居るんですから、本人を見ればいいじゃないですか!! この写真でどんないやらしい事を想像したんですか!!」

「しねぇーよ馬鹿!!」

「写真なんかよりも! 私に何かすれば良いじゃないですか!! ほら!!」

「馬鹿! ワイシャツを脱ごうとするな!!」

「あうっ! 痛いです……」

 優一は、服を脱ぎ始める芹那の頭にチョップする。
 芹那は頭を抑え涙目で優一を見る。
 優一は写真を奪い取り、ポケットに入れる。

「たく……もう帰れよ……」

「うぅ~……なんか愛されてるって知ったら、ますます帰りたくなくなりました……」

「帰れ! 俺は明日から修学旅行なんだよ!」

「優一さんがいけないんですよ!! 変なところでツンデレなんですから……」

「ツンデレじゃねーよ!!」

 芹那は頬を膨らませて優一にそうい言う。
 いい加減に帰ってくれと思いながら、優一はすっかり疲れ切っていた。
 そんな優一とは対照的に、先ほどよりもテンションの高い芹那は何かをひらめき、優一に言う。

「あ、そうだ! 私が今日ここに泊まれば良いんですよ!! そうすれば、一緒に居られます!」

「アホか!」

「あうっ! また叩いたぁ~」

「何回も言ってるだろ! 俺は明日から修学旅行なんだよ!」

「だから、四日間寂しくないように、私がここに泊まるんです!」

「俺が寂しがってるみたいに言うな!」

「あうっ! 叩きすぎです!」

 涙目で訴える芹那。
 優一はため息を一つ吐き、芹那を抱きしめる。

「え、えぇぇ!?」

「これで……許せよ」

 優一はそう言って芹那を強く抱きしめると、芹那の頭を優しく撫でる。
 芹那は顔を真っ赤にさせ言葉を失い、優一も自分のやっている事が恥ずかしくなり、
顔を赤らめる。

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コメント

  • 黒流星

    岬君って、出てきたらから後輩は積極的の奴かな?

    0
  • アキ

    合ってます?これ

    0
  • ノベルバユーザー276395

    やっぱりそうですよね?

    1
  • ミラル ムカデ

    そーですよね?

    0
  • べーこんまる

    これ投稿するの間違ってませんか?

    2
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