痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

126 無と言うのだろうか /なんにも、ないさ、うん

ドラマのワンシー
ンにはならない。
僕は冷静に、歩い
てくる女を見つめ
ている。

・・・

真冬「望。」

望「…やあ。」

真冬「…寒いね」

望「うん。」

…誰?
この人は一体誰な
んだろう。
僕には全く解らな
かった。

だってそこには
変わり果てた…
貴女が居たから。

望「…海に…スー
ツは無いんじゃな
い?」

真冬「そうだね…


女は、袋から本を
取り出した。
すると、ゆっくり
読み上げた。
僕は目を閉じて、
砂浜にしゃがみこ
んだ。

僕等の、何日もの
時間が読みあげら
れている。

そう、何日もの。

途中で女は僕の隣
に座った。
僕は目を開けた。
ちゃんと、受け止
めたよ、今。
そしたらやっぱり
真冬ちゃんがね…
変わり果てた、真
冬ちゃんが。

真冬「…もう、金
色じゃないね。」

僕の髪を触りなが
ら。

望「なんか、超、
キャリアウーマン
じゃん。」

真冬「でしょ。」

2冊の本を僕に渡
した。
1つは僕の。
もうひとつは…

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く