痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

53 彼の言葉は私の言葉 /彼が以前に言っていた。私は深く胸に突き刺さる。そう、それは今の私だ

望「ただいま真冬
…」

真冬「会いたかっ
た…望、望、望、
望!」

望「…」

真冬「出掛ける時
は教えてよ!いき
なり居ないと心配
でしょう!」

望「…真冬仕事は
?」

真冬「あ…色々あ
って帰って来ちゃ
ったよ…。」

望「そっか…。」

真冬「望…!」

望「…真冬ちゃん
涙まみれ…」

―私は
今自分が言う事を
聞かないから。
もう引き下がる事

無意味だと思う。

真冬「望…!」

望「…?」

真冬「どうして!
私を一人にしない
でよ!ねぇ!怖い
よ!望は私から離
れていくの?ねぇ
あたしは貴方から
離れていかない!
望は本当はあたし
じゃなくてもイイ
んでしょ!ねぇっ
!望お願いよ!私
を一人にしないで
…!お願い…。う
ぇ…っ…うぅ…」

私は壁にもたれか
かる望に抱きつい
た。
私の涙も鼻水も
ぐしょぐしょにな
って望の服につい
ている。

望「…ねぇ」

真冬「うぅ…」

僕は泣き顔の真冬
を突き放し、
壁に叩きつける様
にして胸ぐらを思
いっきり掴んで揺
さぶる。

望「真冬が僕から
離れていくんだ。
そうだろう?そう
なんだろう!可愛
いから僕を撫でた
だけ!触れたらそ
れで総て所有した
とでも思っている
の?僕はそんなに
単純じゃないから
!」

真冬「…ううっ…

望「どうなんだよ
!真冬ちゃん!」

真冬の滑稽な見た
目が僕の脳裏を乱
す。
あまりにも妖艶で
美しい泣き顔だっ
た。
けれど僕は惑わさ
れない。

真冬「…思ってな
いわ…」

望「貴方は僕を所
有出来ない…!」

望は
強い視線で私に
その言葉を叩き込
む。
私は彼が以前言っ
ていた言葉を思い
出す。

『真冬さん…僕を
否定しないで』

そう、それは
今の私が彼に対す
る言葉と良く似て
いる。
私は深く心に突き
刺さる。

それはまんま
あたしの言葉だ。
あたしはもう
後戻りは出来ない

ついにはそれを
口にするなんて。

涙で視界が狭まる


笑えるよ。
捨てられたくない
のはあたしだ。

真冬「望。」

望「なんだよ。」

涙を堪えてるのが
解った。
私は望の両手首を
ぐいっと持ち上げ
壁に抑え込んだ。

望は目を丸くして
いた。

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