痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

31 目蓋の裏側 /否定された様な気でぼくは目蓋の裏側を隠した

「やーい又泣いた
!」

「吉井はいつも睨
んで来る」

「先生!又吉井君
に睨まれたー!」

「どうして睨んだ
りするの?」

「解りません」

「何か悪い事され
たから睨んだの?


「…」

「答えないと解ら
ないよ」

「テストをカンニ
グしたと言われた
から」

「本当にしてない
の?」

「してない」

「じゃあきっと吉
井君の視線が感じ
たからだよ」

そうですね
ぼくがおかしいん
です。
友達を見てたから
ね。
だって奴は、いつ
も他の友達と話し
てる。
友達と話してる時
は随分と楽しそう


「吉井君、歪んで
るのね」

どうせぼくがいけ
ないからね。
知ってる。
只ぼくは、構って
欲しかっただけ。

「どうしてそうい
う風になるの?」

「構ってくれない
から」

「構ってって言っ
たらイイじゃない
。自分から言わな
いと何も始まらな
いよ」

「じゃあ先生。ぼ
くが構ってと言え
ば皆は仲良くして
くれますか?」

「きっとしてくれ
るよ。まずは自分
が言わないと駄目
だよ」

「先生ー!吉井君
がしつこい!」

「どうしたの?」

「あのねー吉井君
が、私が友達と話
してたら何で僕も
構ってくれないの
?って言われた」

「何でいつもそう
なの?」

「何がですか」

「どうして他の友
達と話をしてる時
にそう言う事言う
の?皆友達でしょ
!」

「先生ー吉井君が
又しつこくして来
た」

「今度は何なの?
吉井君」

「…」

「自分ばっかりが
可哀想と思ってる
んでしょ?もし、
吉井君が同じ事さ
れたらどう思う?


「ぼくは、ぼくに
仲良くしたいって
思ってくれるなら
嬉しいです。」

「でもお友達は、
吉井君だけじゃな
いんだよ?どうし
て皆と仲良く出来
ないのかな?」

「ぼくの事構って
くれないからです


「呆れたよ」

ぼくは
友達を独り占め
したかった。
そう、ぼくだけの
誰か。
哀しいけどさ
目蓋の裏側に
秘める事にした。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品