痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

22 「真冬」 /私はそれだけの為にこんな下らない事を繰り返してた

ねぇ、セックスは本当にこんなものなのだろうか?

私は忙しい合間にこの男、健と会って、何度も体を重ねた。

けれど
一度も気持ち良いと思った事が無かった。

コケシの様に無表情な私の上には、彼の情けない顔がそこに在った。

健「あーイクイク!イクよっ!」

馬鹿じゃないの?•••つまらなかった。
そしてこの下らない男の顔を見るのに毎度ウンザリする。

毎回同じ顔。
そして、私はこのツマラナイ男の性処理便器なんだ•••。

そう思って閃きが浮かび出した。
金でも取ってやろうとも考え始める。

その時でさえも

健「アーイクイク」

キモチワルイ、吐き気がする。

その時だった。

いつもなら私にお構い無しのこの人。

健「お前、好きな奴がいるんだろう?」

私は焦った。
好きな人は勿論居ないけれど。

真冬「何で?」

私は訪ねる。

健「だって俺とヤッてる時、気持ち良くなさそうだし、それに全然濡れないし、うわの空。どーせ好きな奴でも居るんだろ?」

そう言って健は、珍しく私を抱き寄せてきた。

真冬「やめて!触らな
いで!」

吐き気がした。
もう、総てが馬鹿馬鹿しく思えた。

健「おい•••御免•••真冬•••?」

•••そうだ。

私は、誰かに私の名前を呼んで貰いたかった。
きっと私が、この下らない男と一緒に居られたのは、この人が只、私の名前を呼んでくれるからってだけの理由だった事を知った。

だけど結局この人は

’私の名前を呼んではくれてはいなかった’
事に気付いては

嗚呼
認めたくなかった
気付きたくなかっ


私は
「真冬」と呼んで欲しかっただけの為に、セックスをしていたのだった。

ほんと、わたしはこんな自分に泣けてくる。

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