痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

9 堕天使チョコレェト /鋭い矢を片手に持った甘い味した堕天使型チョコレェト

指先を
一本一本集中する。

傷に触れるから
優しく、優しく。

「ずっと寂しかっ
たの?」

「ウン…」

頷いた時の、長い睫毛。

「私は―…キミを…拒んだりしない。」

「・・・ん。」

涙まみれのキスをしよう。
キミといっぱい、いっぱい
抱き合いたい。

「お姉ちゃんは、
なんて?」

「あ、私は真冬。キミは?」

「ぼくは望(のぞむ)…。」

有り得ない。
名前も知らぬ儘キミに触れた。

でも、以前にも触れた感じがするのは何故だろう?

懐かしい香り。
何かに似てる?

…!
そうだ粉ミルクの
におい?

甘い
甘ぁーい
望はまるで

堕天使の
チョコレェト。

愛おしい海に堕としたい。

”ねぇぼく怖い•••”

大丈夫…

•••ぼくから離れていくの?

大丈夫•••。

髪の毛一本、毛根も愛おしい。
私はついに狂ったか。

私を必要として•••のぞむくん。

真冬さんの優しい手
―心地良かった。

涙まみれの
甘くて痛い接吻

私は
キミから離れる事を想定してみる。

こわい。
不可能だと思った。

ぼく
今まで
苦しかった。

哀しみに嘆くキミの隣。
私はとんでもない事を口走る。

”もう大丈夫、安心して私は貴男の為だけに存在し続ける”

苦しくなった時
ちょっとでも
泣きたくなったら
私の左手を呼んで
ね。





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