サクセス・ヒーロー

宇宙 のごみ

5項 目標



「また、知らない天井だ……」


 なんて言ってみる。
 天井の代わりに見えるのはミリィの顔だ。
 まつ毛が長くてキレイな目をしている。


「……リアム、なに、いってるの……ここ、外だよ……」
 外……?
 そんなことをボーっと考えていたが脳が覚醒していくにつれて状況を理解していく。


 これは、まさか……膝枕?
 というか俺は魔法戦の途中で上級魔法を使って、
 魔力欠乏で……


 自分の置かれていた状況を思い出しバッと起き上がる。




「あ、あの!俺の魔法……、どうでしたか」


「……まだまだ」
 あれだけ圧倒的な差を見せつけられた、冒険者として一戦で戦い続けてる人たちとの差を感じた。
 そりゃそうだ。
 でも、正直魔法戦には自信があったから正直ショックだ。




「そう、ですか……」




「いやいや、貴方の魔法は凄かったですよ。私も魔法の心得はありますがあそこまでの火球は一度に発生させられませんよ」


「うむ、それに上級魔法。まだまだ無駄が多いとはいえおぬしと同じ年齢で使える奴は極少数だろうな」
 そう賛辞を送りながら近づいてくるのはルークさんとガルドさんだ。


「……リアムを甘やかさないで」


「大体、お主は魔法のことになると厳しすぎるぞ。"氷柱アイスボール"で攻撃し始めた時はヒヤヒヤさせられたわい」


「……何回も弟子に逃げられてる、ガルドに、言われたくない……」




 あぁ、なんだか俺が原因で言い合いになっているみたいだ。




「リアム君が困惑してるから、静かにして」


 オタオタしているとパンと手を叩いて、言い合いを止めてフィンさんが言う。
 こういう事には慣れているのかフィンさんは手慣れた感じで熱くなるミリィさんとガルドさんをなだめ、場を収めていく。
 ガルドさんとミリィさんはバツが悪そうにしている。




「よし、じゃあ僕から見て君の評価を伝えよう。確かに君はその年齢にしてはよくやれている。ただ、実践を想定した魔法が使えていない」


「実践を想定した魔法……ですか」


「そう、例えば君の使ったファイヤーボール、あれは対人戦には向いていない。理由は魔法士が最初に覚える魔法、"防御魔法" 各属性のそれを突破しにくいからだ」


「君はバーストウェーブを使ったね。ということはもちろん中級魔法の"ファイヤーランス"なんかも使えたはずだ。
あれは速度も速くて貫通力があるからね、なぜ初手でそれを展開しなかったのか。使う魔法の判断力、そう言った意味で君には経験が足りないといえる」


 確かにそうだ。
 自分の力を誇示しようと考えすぎていたのかもしれない。
 数を出して圧倒しようとしていた節はある。


「はい……」


「後は単純に魔力量が圧倒的に不足しているね。上級魔法一発と、ファイヤーボールで切れるようじゃダメダメだ。よって君には毎日魔力を0まで使い切ってもらうよ」


 続けざまの的確な指摘。自己嫌悪に陥りそうだ。


 なぜ、あの時こうしなかったのか、ああやって対処していればもっとやれたのではないか。
 後悔の波が押し寄せる。


 でも、凹んでてもだめだ……
 俺はヒーローになる、的確なアドバイス、具体的になにをすればいいか教えてもらえる。
 こんな素晴らしい環境を用意してもらったんだ……


――――超えよう、この人たちを。




「あとミリィ、ガルドも言ってたけど"氷柱アイスボール"はダメだ。実態と質量を持つ攻撃になるから魔法戦初心者に使うのはやり過ぎだ」




 初心者にはダメだ、そんな言葉が手を抜いていたんだ。
 と言われているようで嫌だった。






 そんなことを考えてるうちに思わず口に出してしまう。




「……いえ、俺が未熟でした」
 フィンさんが驚いた顔をする。






――――そして悔しさ、そんなものが溢れて、










――――言葉になる。






「俺は、魔王を倒して、"英雄ヒーロー"になるんで」
 口に出すと、胸が熱くなる。












「……なら、私は英雄の、師匠…….」


「私も子供の時のことを思い出してしまいましたよ」


「ククク……そうか、我らは思ったより大役を任されたのかもしれんな」


 皆、おかしいと笑わないのだろうか。






「この世界で魔王を倒すと宣言する、君は、その意味を知っているんだね?」




 その答えに言葉は要らないと思った。












「……そうか。リアム、君にその覚悟があるのなら、挑むのなら、本気なら」




「全力で答えよう」












「そういうわけあれば、休んでなぞいられんな」
「来い、リアム。今度は格闘術だ、お前のレベルを測る」
「リアム君、そのあとは私とも模擬線を模擬線をしましょう。なんだか私もウズウズしてしまいますよ」




「はい!宜しくお願いします!」




 ふと、フィンさんが僕に耳打ちする。
「因みに僕の目標だけど……」
















「君と同じ"英雄ヒーロー"さ」



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