ダンジョンコアになった俺は最強のダンジョンを目指す!
戦闘訓練、始めました。
1日目、まずはゴブリンたちを集めて身体能力の確認を行う。
身長は120cm位だろうか、土の匂いに深緑の体表。
飛び出た犬歯、そして大きくとがった鼻と耳はまさに想像していたゴブリンだ。
召喚時から着ている布きれと所持している剣は見るからに質が悪かった。
あきらかに知能の低そうな顔をしている……。
幸いにもダンジョンコアである俺はゴブリン語を話すことは出来ないが召喚したモンスターには指示を出すことが出来る。
 とりあえず、各々の持久力、反射力、速さ、知力、を個別に測定し、優秀な者とそうでないものを選別し10匹のうち特に知力が優秀な者をリーダーしよう。
 そうしてリーダーに任命したのが他のゴブリンより一回り大きいゴブリンだった。
 ふむ……、体格が大きくて持久力やパワーに優れていたのでその分知力が低いのかと思ったらそうでもないらしい。
「ゴブリン、いまからお前にニックネームを与える」
「ギギャア!! ギギャア!」
……何言ってんだろう、こいつ。
いや、まじで。
ありがたく頂戴致します、なんて言ってるのだろうか。
「お前は今からゴブリダだ、そして他のゴブリン達の面倒を見てくれ」
そういうとゴブリンリーダー。
……もといゴブリダは喜んでいるのか飛び跳ねている。
そして能力下位の雄雌別でゴブリンを分けて成績上位者5人をウルフのエリアで暮らさせて更にウルフと仲良くするよう指示する。
「ゴブリダ、その5匹のゴブリンはお前が鍛えろ。先ずはダッシュだ。持久力を鍛えてくれ。勿論、死なせてはだめだ。何かあったら俺のところへ連れてこい」
正直知力が高くなさそうだから、鍛えろだけ指示を出すと死ぬまでやりそうだ。
そしてゴブリンエリアに残した5匹のところへ向かう。
「お前らには今後、罠や鍛冶を行ってもらう予定だ。とりあえずスライムを生息させる池を作りたい。みんなで手分けして順番で休憩を取りつつここに穴を掘ってくれ」
そういってスコップ(2DP)を5つルナに事情を話して出してもらい、ゴブリンに手渡すとゴブリンは穴を掘っていく。
「1日でやれとは言わないから適度に頑張ってほしい」
そういうとギャアといってゴブリン達は頷いた。
自分で出せないのめっちゃめんどくさい!!!
俺の目の前にリストあるのに!!!
ウルフにはゴブリンを攻撃しないように言い、同じく仲良くするよう言いつけた。
ウルフはまだ数が少ない……。
というか2匹しかいないのでリーダーは決めない。
正直鍛え方もわからんし見た目も目がキリッとした大型犬にしかみえない。
まあ自由にやってもらおう。
そしてコボルト達。
コボルトは片言で会話が出来たので俺と一緒に剣術の練習をしていくよう告げる。
コボルトは犬のような顔をしているが2本足で立っていて鉄の胸当てとサーベルを標準装備している。
「コボルトの君たちは俺と共に剣術の特訓をしよう。正直素人の俺から見ても力任せに降ってるようにしか見えない。順番に出てきてくれ」
「ワカった」
そういうと雄の方のコボルトが前に出てくる。
それを受けて俺は例のごとくアイアンソード(30DP)を出してもらいに行く。
そうして初めて持つ剣からはずっしりとした確かな重みを感じる。
「じゃあ、始めようか、これは俺の特訓でもあるから双方、殺さない程度にやろう、合図をしてくれ」
そういうと雌のコボルトが手を振りかざして吠える。
「ワウッ!」
これがコボルト流のスタートの合図なんだろう
合図とともに犬の脚力なのか結構なスピードで正面から切りかかってくる。
刃物は正直怖い……。
でも、あの時ほどじゃない。
ドラゴンと対峙したときを思い出す。
愚直なまでにまっすぐな剣筋は容易に狙いがわかった。
迫りくる袈裟切りを右前方へ潜り込んで胸当てを思いっきり殴りつける。
「グッ……」
胸当ては少しへこんでいる、結構力も強くなってるみたいだ。
ドラゴンの時は余裕がなかったので感じなかったが、自分の思い通りに体が動くのが楽しい。
「狙いがわかりやすすぎるよ」
そういって悪いところをアドバイスしつつ戦闘訓練を進めていく。
こうして1時間ほど模擬戦をした。
疲れの見えてきた雄コボルトとは裏腹に俺はまだピンピンしている。
これならもう少し行けるか……。
コボルトの実力とステータス差を考えて雌のコボルトも参加させる。
「君も混ざっていいよ」
「ワカッタワ」
そういうと雄コボルトは少しカチンときたのか、対面からのプレッシャーの質が変わる。
……。
こういう時に言ってみたかった言葉があるんだよね。
「やっと本気になったか」
その言葉と同時に後ろから雌のコボルトがブレる。
アドバイスを聞いていたのかフェイントを入れつつ避けやすい袈裟切りではなく雌コボルトは横に凪ぐように剣を振るってくる。
「いいね、ちょっと怖かった」
俺はしゃがんで回避しながら言い放つ。
そして剣も振り切らない状態の雌コボルトの足を回避した勢いで払う。
動きが速くなっているのを感じる。
そして今度こそ当てようと迫る雄コボルトの袈裟切りを地を蹴って初撃と同じように回避する。
今度は続けざまに横に凪いできたのでそれをアイアンソードの背で受ける。
ここまで動けると気持ちいい。
そんな気持ちで剣戟を受けた手の痺れなど忘れて集中していく。
――――楽しい。
最初は感じていた危険もだんだんと感じなくなってきた。
こうしてユーヤは時間を忘れて模擬戦を続けていった。
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