ダンジョンコアになった俺は最強のダンジョンを目指す!
いざ、ダンジョンメイク
「おはようございます。ユーヤさん」
目を覚ますとルナが俺の顔を覗き込んでいた。
顔が近い……。
「おはよう」
昨日はあの後すぐに寝た。
いや、一緒の場所で寝たわけではないからな?
とはいえ現状、地下に部屋があるだけだから一つの部屋で寝てはいるんだけど、ルナはあの後泣きつかれて眠ってしまっていたので俺は空気を読んでなるべく離れたところに位置取って、眠りについた。
さて、俺はルナを魔王にするために状況を伝えなければ。
これこそがダンジョンコアの務め。
さっき朝目覚めたときに気が付いたのだが、自分が今何をすべきかどんな状況か、この世界の知識が植え付けられたようにわかるのだ。
まあ、ダンジョンコアになったときに実際に植え付けられたのだろう。
「ルナ、まずは今日からダンジョンを運営して行くわけだけど、まずはこの状況。ただの部屋だ。モンスターどころかただの部屋でしかない。」
「はいっ!」
元気よく相槌をうってくれるルナとは昨日の件があってから距離が縮まった気がする。
特殊な状況に置かれると距離が縮まりやすいと聞いたことがある、そんな心理効果が働いているのかもしれない。
「ダンジョンコアの俺としては、まずはダンジョンを作り上げていかないといけないと思っている。本来、マスターのルナに行くべき情報は俺がコアになったために俺が口頭で説明しなくてはいけない。わかっていると思うけど今回ルナが作ったダンジョンは地下型だ。場所は"神域の森"。強力なモンスターが多く、神聖な属性を持ちが多い。ここに来る人間も大体が強い。正直、厳しい状況にある。」
「はい、最初は弱いモンスターの集まるところで力を蓄えていくのが定石だと教わっていたのですが、"氷晶龍"に襲われたため、とても危険なところにダンジョンを作ってしまいました。」
さっきのってグレイクォーツドラゴンっていうのか。
知らんかった。
ダンジョンについては詳しくなっても、モンスターに関してはまだそんなに情報はない。
「このダンジョンの開放は今から29日後だ。それまでに戦力を整えたい。」
「わかりました。私は何をすればいいですか?」
こうなることはわかっていたらしく焦ることもなく言葉が返される。
「今、ダンジョン作成のできることのリストを出すからそこから選んで。」
そう言って俺は空中に文字を浮かべていく。
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[DP] 5000
- NEWS(出来事)
- SUMMONS(召喚)
- CREATE(作成)
- SYNTHESIS(合成)
===========================
「まず、ニュースではダンジョン内での出来事がリストで表示される。作成ではダンジョンに罠や部屋を作ったり家財道具や食料を生み出すことが出来る、召喚ではモンスターの召喚が、合成にはモンスターを合体させて新たなモンスターを作ることが出来る。召喚や作成は上部記載のDPを使用して実行可能だ。ダンジョンポイントはダンジョン内で一定以上の魔力を持つ生物が命を落とすことで増える。」
「とりあえずは、今いる部屋を中心に個人の部屋を作ろう。」
頷いたルナは増築の項目を選択し部屋を追加していく。
部屋の増築は各 100 DPだ。
トイレや簡素なシャワー室が完備されているのでかなり快適になる。
「ん? 今二つ作ってくれたの?」
「え? はい! 私の分とユーヤさんの分です。」
「俺はダンジョンコアだから不要だけど……。」
「いえ、ユーヤさんはダンジョンコアですが私の命の恩人です! そんな雑な扱いはできません。」
「そ、そう。」
かなり強めの口調で言われたので気圧される。
仕方ない、ありがたく住まわせてもらおう。
「あとはルナの食事と家財道具だ。俺はこれに関しては本当にいらないよ。おなかが減らないんだ。」
「わかりました!」
そういうとルナはパンと乳牛のセット(1DP)とベット(20DP)を2つだす。
えー、わかりましたって……。えー。
「…………あの」
「ユーヤさんは命の恩人です!」
満面の笑みを浮かべてそう答えるルナに俺は何も言えなかった。
わからないはずがないんだ、この状況。
ルナは理解している、それでもなお俺のことを考えてポイントを使用してくれる。
なら俺もそれに答えるよう動かなくては。
「そうか……ありがとう。」
そういってパンと牛乳を食べた。
味は簡素だしお世辞にも美味しいとは言えない食事だったけど、美味しそうに頬張るルナを見てると幸せな気分になる。
「じゃあ次だ、ダンジョンらしく上に階層を作ろう。この部屋はいうなればボスの部屋。ルナが待ち構える部屋だからね。階層を上げるのには最低1000DPとポイントの供給が出来ない今、かなりの出費だ。慎重に選ぼう。」
「選べる改装サイズは小(÷2)、標準(1000DP)、大(×2)とあるのですね。環境的には森林・岩石地帯辺りが安いですね。」
「そうだね、まずは1階層をどんなステージにするか決めよう。俺のオススメは立地ボーナスでポイントが1/4になっている聖森林(2000DP)がいいと思うんだけど……。」
「聖森林を選んだ場合はどんなモンスターを召喚できるのですか?」
「俺は名前を出すことが出来ても詳細はわからないから見て判断してほしい。」
そういうと召喚項目から聖森林の中で生息できるモンスターを探していく。
===================================
[召喚]
F ----
E ----
D ホーリースライム [100DP]
D エンジェルスライム[100DP]
D レディアンスラビット[150DP]
C アンツゥデンゴーレム[500DP]
C シュライデンビートル[500DP]
etc...
===================================
「聖森林だとF、Eランクのモンスターいない。Dランクのモンスターからになるんだけど。」
そう、立地ボーナスで本来現状増築できないはずの聖森林は強力なモンスターを最初から召喚できる。
と考えていたところでルナからの意見が入る。
「うーん、私は逆に闇属性や邪属性のステージを選んだ方が良いと思います。」
「それはなんで?」
「まず、この区域がそもそも聖属性を宿した神域の森であるため、入ってくる魔物は聖属性になります。人間が入ってきた場合も勿論対策をしてくるでしょう。なので私は逆に反対の属性を選んだ方が良いと考えました。」
確かに、一理あるがそれに関しては現状出来ない。
なぜなら立地ボーナスでポイントが減ることもあれば増加する場合もある。
闇属性などで作ろうとした場合は通常の4倍、つまり32000ポイントが掛かる計算になる。
「それはポイント的に難しいんだよね。確かにその言い分は正しいけどどうしてそれでは足りないんだ。」
「そうですねー。では補正のかからない状態で闇属性や邪属性が生息できるステージを選ぶのはどうですか?」
「それだと強力な闇や邪属性のモンスターは召喚できないし、相手にとって弱点なものは自軍に取っても弱点だからねー戦力的に不利になるかも」
自分の意見をすらすら述べてくれるルナとのダンジョン作りは正直楽しかった。
あーでもない、こーでもないと2人で丸一日話し合った結果、標準的な森林ステージ(1000DP)を作ることに決めた。
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無名のダンジョン
第1階層 "森林" が作成されました。
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