東方英雄録:英雄の幻想入り

ノベルバユーザー280308

幻想の庭、幻想郷へ。

……この日、この日差し照りつける庭で、
青と黒のローブを着た青髮の青年が草の上で寝転がっていた。名は、クリマティス・アルコロレ。

「……式典の日からおおよそ三ヶ月、何度日が沈み、何者と分からぬ者を、何人殺したか………」

虚ろな目で空を見上げ、彼はそう呟いた、
クリマティスは三ヶ月前、王国直々に魔術師となれ、と任命され、早三ヶ月、その手で幾人いくにんと殺めてきた、それでも立ち直れたのは、王妃の影響が大きかった。

「……ホント、ピリトレーが羨ましいぜ」

そうポツリと、さっきより小さく呟く、今日は休めと言われ、渋々庭で地霊の加護を得ていた訳だが、王妃のボディーガードのピリトレー・マクリリア、最も重要な役回りであり、剣技指導官全責任担当、剣城剣舞ケンジョウケンブより重い仕事だが、奴は大抵。 

「ウィース,クリスマス・・・・・
「燃やすぞサボリ魔」

ワザとらしく俺の名を間違え、頭上から声がかかる、それに対して威圧共に魔力を向け,瞬時に誰か判断する。間違い無く、ピリトレーである。

「うるせーな、死人の癖にーーーーーー」
……空間が歪んだ。クリマティスの顔が憎悪で歪む。
「テメェ……責任問題はテメェにしかねぇって事,忘れてやがるのか?」
本物の杖、宝杖ホウジョウを向け、額に青筋を浮かべてそう言う,マジでブチギレ5秒前、しかし。

「事実だろォが、夢の世界幻想に逃げて、早三ヶ月ゥ?三百年の間違いだろォ」

全て事実、この世界には三英雄しかいない、姫も、兵士も、世界も、城しかない、
城の外は魔力マナが渦巻く暗黒空間、出たら死ぬしかない、いや、既に全員処刑されている、が、国では最早昔話。

そして、反論もなく黙り込んでいると。

「知ってるだろォ?この夢の世界が、
本物の幻想へ向かってるのはよォ?」

ピク、とクリマティスが動く、そして立ち上がる。
「知ってるさ、幻想郷、忘れ去られた者を迎える世界、つまり俺らは全て忘れ去られた。」

そう聞くと、苦い顔をしてピリトレーは蒼色の空の幻想を見て、一言、そういった。

「……忘れ去られた、それが良いんだろォ、国にとって、俺とテメェ等は消えるべき存在であったんだからよォ、」

……待て、ちょっと待て、そうカッコつけてるとこ悪いんだが。
「テメェ等?原因お前だって言ってんだろ頭スポンジガァ!」

そう言って、彼は遠い目をしているピリトレーの脇腹に杖を抉り込む。
ぐぉ、と呻き、全然痛くない、と言わんばかりに杖を掴む、が。

伝う電撃ライトニング、杖を伝え。」
雷撃が杖を伝い、ピリトレーがあばばばば、と本当に苦しそうに震える。


そして、その会話は、とある1人によって叩き斬られる、物理的に。

「切り捨て御免、貴方方はふざけているのですか?」
「ふっざけてんのはテメェだろ!!挨拶がわりに剣を俺の杖に振り下ろす馬鹿がいやがるか!?」

気配もなく、剣をクリマティスの杖振り下ろした、キモノの青年、髪は黒く、日本生まれのイケメンである。
そして青年は、剣の柄に戻し、一言、端的に告げた。

「剣ではなく、刀です、お間違いなく、」
「「めんっどくさ!!」」
「斬りますよ」

クリマティスとピリトレーの育ちでは剣ではなく刀と呼ぶため、めんどくさいと2人が叫ぶ、その直後にフォッンと刀が振り下ろされ、土に突き刺さる。

「……で、アレ何?」
ドガッと刀を蹴り上げ、城の上、徐々に上昇しており、目だらけの裂け目に入ろうとしていた。
「……眠るとするか。」
「待て待て待て待て!」
「次の世界で会おうやァ。」
「待てやテメェ等ァァァァァァァ!!
ァァァァァァァ!?」

そう言い残す寝転がる2人、それを制止した瞬間、2人はスキマに吸い込まれ、俺だけが残る、ハズもなく、吸い込まれ、気を失った。

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