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ロリドワーフ・ハイドワーク〜TS転生して地世界生活〜

うほごり

第5話「温泉タイム」

 水底から浮き上がるように意識が戻る。朝目覚める時とは違う。近いとすれば寝ているのか寝ていないのか曖昧な昼寝から覚醒する時みたいだ。
 最初に目に映ったのは知らない天井。ボクはどうして自分の部屋で寝ていないのだろうかという疑問は、ボクを覗き込む顔を見て解決した。


「おはようございます、救世主様。急に倒れられたので心配しました」
「……うん、ごめんね」


 初代指導者であるエドワードからの遺産のティアラ……確か『叡智の王冠』だったかな。あれを頭につけた途端ボクは意識を失った。そして白い空間でボクは初代指導者と少しの間だけど話をすることができた。


「ボクはどのくらい寝てた?」
「二刻くらいでしょうか」


 二刻ってどのくらいだ。さっぱりわからん。地球みたいに12進法では無いのかな。


「ここは……ギレンのいた屋敷?」
「はい。一応私達の家族の居住地も併設されています。ちなみにここは私の部屋です」
「マレラの部屋……か」


 ベッドから身体を起こして、辺りを見回す。日本の女の子の部屋として思い浮かべるぬいぐるみなどが置いてあるファンシーな感じとは全く違う。どちらかというとヨーロッパの昔の子供部屋みたいな。いや知らんけど。
 机の上に乱雑に置かれた紙束。石細工の置物。今更だがやはり地下生活であるから木で作られたモノは少ないようだ。あの紙束も、もしかしたら植物性では無いのかもしれない。


「あれ?」


 窓から外を覗き見る。外が暗くなっている。松明などの灯りは灯っているが、倒れる前まであったあの不自然な灯りがなくなっている。
 この地下世界にも夜は来るらしい。


「外……暗くなってる」
「そうですね。もう夜ですから」
「これどんな仕組みなの?」
「……すいません。私には分かりません。ただ地上の昼と夜に連動してここも昼と夜に変わるらしい……という事です」


 猫型ロボットの漫画で出てきた光るコケみたいなのがあるのかと思ったが、地上と連動してる理屈が分からない。不思議だ、異世界。


「そうだ救世主様。お風呂に行きませんか?」
「お風呂? ここにもお風呂があるの?」
「はい。一緒に入って今日一日の疲れを取りましょう」


 いいねお風呂。肩まで浸かって汗を流して気持ちよくなりたい。
 ……あれ、一緒に?


「マレラも一緒に入るの?」
「はい。温泉なのでみんなと共同ですよ。流石に男女は分かれますが……」
「男女分かれるならマレラとも……」


 ここで思い出した。そう、ボクは女の子になっていた事に。えっ、何。合法的に女の子と一緒にお風呂に入れるの? 流石にそれまずく無い?
 自分の胸元を見る。真っ平らだ。その下にはぷっくりとしたイカ腹。そしてさらにその下には15年共にしてきた息子の存在感は無い。


「どうかなされましたか、救世主様?」
「よし、行くか!」
「……? 救世主様のお心はよく分かりませんが、承知しました。ご準備はお任せください」


 イエスロリータ、ノータッチ。
 しかしながらお互い幼女なら合法!
 さすればただの幼女の戯れ。楽しくなってきました。




   ■■■




「救世主様、頭にタオルを巻いてくださいね。救世主様は髪が長いですし、それに額の紋章も隠さなければなりませんから」
「わかった。……これってどうやって巻くの?」
「私がやりますね。救世主様はそのままにしていてください」


 男を15年やって、髪を長くする経験なんて一度もなかったから長い髪をタオルで纏めるやり方なんて知らなかった。普通知らないよね。ボクだけじゃ無いはずだ。


「はい出来ました。服の脱ぎ方は分かりますか? そちらもお手伝いしましょうか?」
「いや、そっちはいいから!」


 幼女に服を脱がされるってどんな羞恥プレイだよ。しかし改めて見るとこの服装凄いよな。晒しみたいに胸元だけ隠してる服に、スカートを履いてるだけの露出の激しい服装。日本でこんな格好した幼女いたら警察に連れて行かれるよ!?


 一度深呼吸してから胸元の布を取る。……前世の子供の頃の胸と何も変わらない。ドワーフって本当にこんな胸で子育てするの? 子育ての時だけ少し膨らむとか?
 マレラの方をちらりと見る。マレラはもう脱ぎ終わって服をカゴにまとめていた。背中を向けているので胸元は見えないが多分似たようなものなんだろう。


 さて……。
 残るはスカート、そしてパンツ。
 順番に脱ぐのもなんか恥ずかしいのでまとめて一気に脱ぐ。出来るだけアレは見ないようにしてスカートとパンツをカゴに投げ入れる。タオルで胸元と……股間を隠して準備完了。
 男の頃ならこんなの適当にポイポーイで済んでいたのに。女の子になると慣れていないせいか、なんか恥ずかしい。


「救世主様、脱ぎ終わりました? では行きましょう!」


 ちょっ、マレラ前隠してない!?
 男湯に父親と一緒に入ってきた幼女レベルの開放感!
 見ない見ない見ない見ない。まだ直視できる心のゆとりはない。


 マレラに手を引かれ、更衣室(とは言っても、温泉の前に服を置く棚とカゴがあるだけだが)を出る。
 温泉は一つだけ。大きな湯船があり、その中に何人かの女のドワーフが浸かっていた。


「分かっていたけどみんな幼女体型なんだね。これじゃあ小学校の低学年のプールだよ」
「『ぷーる』とは何ですか?」
「あぁ……水風呂?」
「暑い日は良いですよね〜」


 水風呂という概念はあるらしい。地下なのであまり寒暖差は無さそうだけど暑い日もあるのか。


「救世主様、湯船に浸かる前に身体と髪を洗いましょう。私が洗って差し上げますね♪」


 湯船から少し離れた場所。
 大きな石樽に湧き出た温泉が注がれている。そこからお湯を取って髪と肌を濡らす。


「タオル外しますね。一応樽の影にいてください。もしかして紋章に気付く人がいるかもしれません」


 石でできた椅子に座り、マレラがボクの髪をお湯ですすぐ。手櫛でボクの長い髪を一つ一つほぐしていく。気持ちいい。
 マレラは屋敷から持ってきた筒状のものから黒いドロっとした液体を手に垂らす。


「それなに? 色やばくない?」
「これは炭と泥を混ぜて作った洗髪料ですよ。汚れがよく落ちます」
「あぁ〜シャンプーね」


 頭の地肌から指先でマッサージされるように洗われる。長い髪を何度かに分け、すすいではシャンプーをつけまたすすぐ。丁寧に丁寧に長い時間をかけて洗っていく。


「なんか髪長くてごめんね」
「気にしませんよ。むしろ楽しいです」


 鼻歌を口ずさみながら、毛先まで洗い終えたマレラは最後にボクの頭からお湯をかけて残ったシャンプーを流した。


「次は身体ですね♪」
「身体は自分でやるから!」


 流石に身体を女の子に洗われるのは恥ずかしいってもんじゃない。今は女の子同士だけども。というか今更だけど何でボクは女の子に転生したの? エドワードパイセンの様に男で良かったじゃん。いや、でもゴリラか。


「むぅー、そうですか……」
「代わりにボクがマレラの髪を洗ってあげるよ。ボクの髪を洗ってもらったお礼にね。……まぁ、髪の長さは全然違うけど」
「えへへ、じゃあお願いしますね」


 ポジションを交代して、今度はボクがマレラの髪を洗う。肩にかからない程度に切り揃えられた銀髪。健康的に見える浅黒い背中が妙にエロい。幼女なのに。中身は18歳でお姉ちゃんだけど。


 炭と泥でできたシャンプーを手の平にだす。指で擦って見ると少しザラつく。前世のシャンプーとは比べ物にならないほど低品質なのか……それともこの細かい粒子が汚れを落とす役割をしているのか……。
 指の平を使ってワシャワシャとマレラを洗っていく。


「んんっ、救世主様いいです。そこ……」
「そう。よかった」
「そこ……もっと、もっとして……ください」
「…………」
「救世主様に揉み揉みされて、私……もう……。ああん、もう……ダメ……」
「ちょっと静かにしようか」
「んっ、わかりました」


 これ以上は規制的な意味でヤバい。都条例が発動してチェーンすら出来ない。幼女の艶やかな声とかもはや凶器ですよ。


 その後は順調に洗い終え、お互いに自分の身体の汚れを流した。そして待ちに待った温泉タイムが始まった。


「……熱っ!」


 足先からゆっくりと湯船に浸かっていく。最初は少し熱すぎな気もしたが、次第に慣れていく。肩まで浸かり、マレラの横に座った。


「あぁ〜いいお湯」


 微かに香る硫黄の匂い。それはこちらの世界でも変わらない様だ。昔別府に旅行に行った時を思い出す匂いだ。友人から聞いた話だけど、温泉街は硫黄などのせいで電化製品の劣化が早いらしい。旅行するには良いところだけど住むところには向いてないのかもしれない。まあこの世界は電化製品なんてなさそうなので気にする必要は無さそうだ。


「マレラ様ぁ〜、久しぶりだよ〜」
「マレラ様の横に見ない人がおるよ」
「ほんとね。誰かしら」


 温泉に入っていた幼女3人がボクらの存在に気づいて姦しい声を出しながら近づいてきた。丸出し幼女戦隊だ。


「マレラ様、その子はどちら様ですか?」


 なんて答えればいいのだろう。救世主とは言うなと釘が刺されている。マレラがなんと答えるのか気になってマレラの方を見る。


「この子はヒカルちゃんよ。村の隅に母親と2人っきりで暮らしていたらしいのだけど、その母親が亡くなってしまったの。だから指導者の一族である私達が一時的に預かることにしたのよ」


 なるほど。そんな言い訳を考えていたのか。これはボクも合わせた方が良さそうだ。…………ヒカルちゃん?


「ヒカルです。世間知らずなところもありますけど、これからよろしくお願いします」
「よろしくだよ。ヒカルちゃん可愛いね。今15歳くらい? もう成人してる?」


 15歳は当たってるけど成人って……。ドワーフは何歳で成人なんだ。
 返答に困っているとマレラが助け舟を出してくれた。


「ヒカルちゃんは14歳よ。来年で成人になります」


 ドワーフは15歳で成人なのか。というか何で14歳って誤魔化したんだ? ボクは15歳なのに。
 そんな疑問に答える様にマレラが耳元で呟く。


「……成人になると婚約の相手とした男達に見られます。救世主様は……その……見た目が可愛らしいので殺到する可能性もあるので、ご迷惑がかかると思い14歳にしました」


 確かにそれはメンドくさそうだ。救世主としての活動に出来る限り時間を使いたいのでマレラの作戦はありがたかった。


「じゃあわたしと同じだね。来年の成人式は一緒に出ようね。わたしはナーサ」


 ボクはナーサと握手した。それに続いて残りの2人の名前も教えてもらって、この2人とも握手する。そう言えば握手って文化がこちらの世界にもあるの不思議だったけど、初代指導者のエドワードが広めたからかもしれない。前世だって国が違えば文化が違った。こちらは世界すら違うのだから、偶然にも握手=あいさつ、親愛の意味を持ったとは考えづらい。


「よーし、今日はヒカルちゃん歓迎の宴だよ。みんな盛り上がっていこー」


 なんやかんや盛り上がってしまい、みんな揃ってのぼせてしまったのは想像に難くない。

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