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ロリドワーフ・ハイドワーク〜TS転生して地世界生活〜

うほごり

第2話「地下世界」挿絵付き

 壁に沿って螺旋状に連なる階段を一つ一つ降りていく。ボクの幼女サイズの身体でも無理なく降りていけるように階段と階段の間には補助の段差がある。ボクとマレラの幼女コンビは小さな足でチョコチョコと降りていく。
 デカイゴリラ……ゴドルは二段飛ばしでズカズカと降りていく。ボクたちにスピードを合わせているのか、置いてかれる心配はしなくて良さそうだ。


 この地下にはもちろん太陽の光は入って来ていなかった。それなのに足元どころか遠くにある家までくっきり見えるほどの明るさだ。所々にある松明だけではこうはならないだろうから何か別の要因があるのかもしれない。


 階段を降りきるの村への入口があった。その前には2人の屈強な男達が立っていた。たぶん門番だ。さっき通った大きな扉は外からの侵入を防ぐための外門。こちらは村の出入りを管理するための内門といったところか。
 しかしドワーフは揃いも揃ってこんなゴリラ達なのか……。


「ゴドルさん、おかえりなさいっす!」
「マレラ様もおかえりなさいませ。……そちらのお方は……見ない顔ですね」


 門番の2人はマレラ達に挨拶をした後、ボクに訝しげな目を向けて来た。いやまぁ、見ず知らずの人を見たらそんな反応をするなんて門番としては当然だよね。でも筋肉ダルマの2人にそんな目で見られると少し恐怖を覚える。


「こちらはヒカル殿ですぞ。我らが待望の救世主様ですぞ!」


 ゴドルはボクに向かって膝をつき、両手をボクに向けて門番に紹介した。自分の2倍以上の背丈の男にこんな扱いを受けるとこっぱずかしくてかなわない。


「ほ、ホントっすか!? 確かに額にあの紋章が!? ついに……ついにあの予言が!?」
「オレ達はついに救われるのか……」


 門番ゴリラ2人が涙を流して天を拝み始めた。正直きもい。
 救世主ってそんなすごい存在だったのか。誰が残した予言か知らないけどとんだ迷惑だ。中身は普通の男子高校生のボクにそんな大役出来そうにない。期待が重い。……逃げるか。


「私達は今から指導者の所へ救世主様を連れて行きます。それから救世主様の事はまだ内密にお願いします。みなさまが救世主様が来たことを知ったらきっとパニックになりますからね」
「ではではヒカル殿参りますぞ」


 ゴドルとマレラに右手と左手をそれぞれガシっと握られる。逃げられなくなった。


「救世主様、もしかして緊張しておられますか?」


<a href="//22302.mitemin.net/i310193/" target="_blank"><img src="//22302.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i310193/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>


 マレラがボクを心配して話しかけて来た。ふむ、首を傾げた彼女はとてもかわいくついついジッと見つめてしまう。短めに切り揃えられた綺麗な銀髪に、パッチリとした瞳。普通に美少女だ。いやいや、そうじゃなくてだな。


「いや、緊張なんてしてないよ。それより早く行こう。お腹空いたし」


 彼女達に弱みはまだ見せられない。ボクが救世主かどうかは置いておいて、もしこの2人に見捨てられたらボクはこの世界で1人になってしまう。まったく、何が転生だ。夢なら覚めてほしい。好きな漫画の続きが読みたい。


 ゴドルとマレラの2人に連れられて村の中を歩いていく。村は思っていたよりも発達していてお店には美味しそうな食べ物が並んでいて、小さいが服屋などもある。
 ドワーフの子供達が、元気な声で走り回っている。それを微笑ましげな目で見守る屈強な男達。そしてその屈強な男に肩車されている幼女。……おかしい。


「ねぇ、マレラ」
「はい、いかがなされましたか?」
「この村って大人の女の人が見当たらないんだけど、どうして?」
「えっ……?」


 目を大きくまん丸に開けてマレラは首を傾げる。ボク、何か変なこと言ったかな。


「その……救世主様。童顔とはよく言われますけど、私はこう見えても大人ですよ。それから、そこの肩車されている彼女は二児の母ですよ」
「んんっ!?」


 あのド幼女が二児の母?
 身長は1メートルもないのに!?
 ロリどころかペドだよ!?
 あの人が子供を産んだの? しかも2人?


 ここまで考えてボクはある一つの言葉が頭に浮かんだ。カブトムシやアンコウなどに代表される生物は雌雄でその身体が大きく違う。


 『性的二形』


 人間の場合では男性と女性の性差はあるにはあるが、そこまで大きなものではない。しかし同じ霊長類であるマントヒヒでは雄と雌の体格差は親子と同じくらい違う。
 つまりこのドワーフという種族は雌雄でその体格が大きく異なる種族なのだ。ゴドルに代表される男性は筋肉あふれる屈強なゴリラに。そしてマレラに代表される女性は身長1メートル程度の幼女……合法ロリになるわけなのか。


「……はは。まじか。ちなみにマレラは何歳なの?」
「私は今年で18歳になります」
「……ちなみにボクは何歳に見える?」
「私より少し下……くらいでしょうか。16歳くらいでしょうか」


 転生前のボクの歳とドンピシャだ。
  それからマレラはボク(男子高校生)よりずっと年上だった。確かにそれならこの丁寧な口調にも納得がいく。……というか、この世界の1年はボクらの世界の1年と同じなのだろうか。18歳(この世界の一年は地球の半年)とかだったら実質9歳だし。


「ちなみにヒカル殿。私は24歳ですぞ! 絶賛成長期真っ只中、ヒカル殿のために日々進化し続ける所存です」
「これ以上ゴリラになるのか!?」
「ごりら……とは何ですかヒカル殿? 初めて聞く言葉にこのゴドル興奮を隠しきれません!」


 う、鬱陶しい。出会ってからずっとこのテンションで接してくるゴドル。悪い気はしないけどやっぱり鬱陶しい。


「ん、あれは何だろう」


 ふと視界の端に映ったモノに目を奪われる。漆黒の石像が広場の中央に建てられていた。見た感じだとドワーフの男性個体をモチーフにしているようだが……。


「あれは私達の指導者様です。かつて地上の住処を追われ途方に暮れていた私達の先祖を導いて、この大地深くのこの国を築き上げた伝説上の人物です」


 マレラがそう答えた。なるほど、話を聞く限り確かに偉大な人物のようだ。つまりは、この地下世界の基礎を作り上げたドワーフと言うことだ。


「……と言うことは、マレラ達のご先祖様は昔は地上に住んでいたという事?」
「はい。もう1000年も昔の事と伝えられています。かつて地上で繁栄していた私達ですが、ある日突然現れた邪鬼と言うものに国を襲われ生きる住処を失ってしまったと聞いています。そんな時にドワーフを導いてくれたのが、指導者様なのです」
「じゃ、じゃき……。聞くからに怖そうな単語……」


 ゴドル達の先祖。つまり筋肉ダルマ達を擁するこのドワーフの国を壊滅させるなんて生半可な事じゃない。


「そして、その指導者様が残した言い伝えこそ、救世主様の予言なのです!」
「お前のせいか!?」


 救世主の予言を残したのはあの石像の指導者様という奴らしい。このおっさんのせいでボクはさっきから救世主としてもてはやされているのか……。はた迷惑な。
 石像をよくよく見てみると、額のところに紋章が刻まれている。転生したあの泉で見た自分の額と同じ紋章。
 自分の額をなぞってみる。特に何か感触があるわけではない。


「救世主様、そろそろ行きましょう。もうすぐ村長のいる屋敷に着きますよ」
「あぁ……」


 ボクと同じ紋章を持つ指導者という人物。住処を追われたドワーフを救い救世主の予言を残したと言われている……。一体何故ボクは転生してきたんだ。謎が深まるばかりだ。


 それからしばらく歩く。
 村の外れにある丘の上にその屋敷はあった。今まで見てきた家とは比べ物にならないほど大きい。普通の民家と学校くらい違う。
 この大きさだと住処と言うよりは役所的な感じなのかもしれない。


「ゴドル様、マレラ様おかえりなさいませ」


 幼女が出迎えてくれた。まぁ、多分大人なんだろうけどボクには見分けがつかない。


「父上……村長に御目通り願いたい」
「かしこまりました。『翡翠の間』でお待ちくださいませ」


 父上が村長って事はゴドルってお偉いさんの子供だったの! ゴリラなのに。
 そうなると兄妹のマレラも村長の娘になるわけか。あの泉のある場所で祈祷も捧げていたし低い身分ではないとは思ってはいたけど。


「救世主様、どうぞお座りください。私達は立っていますので」


 部屋に通されると子供用サイズの椅子に座らされた。確かにボクは今幼女なんだけどね。なんだか恥ずかしいね。
 キョロキョロと辺りを見回す。ボクの座っている椅子の後ろにはゴドルとマレラが侍っている。机に向かって正面にはもう一つ椅子がある。もちろん大きさは特上サイズなので男性が座るようなのだろう。
 しかしそれ以外はこの部屋には何もない。松明で明かりは灯されているが、装飾品は全く無い。話を聞く限りここは客間らしいが……見栄を張る文化が無いのか……それとも……。


 コンコン


 考え事をしていると、ドアをノックする音が聞こえた。ドアが開き、ゴドルより少し背の低い男が入ってきた。ヒゲをたらふく蓄えて、男性にしては長く伸ばした銀髪をかきあげて、オールバックにしている壮年の男。超渋い。それに迫力もある。
 その男は私を一瞥して、正面の椅子に座る。マフィアとかにいそう。


「初めまして……オレが今代指導者のギレンだ。よろしくな、救世主様」


 おっ、ゴドル達と違って盲目的に救世主を信仰している感じではなさそうだ。これはボクが救世主である事を疑っているのか?
 正直ボクも自分が救世主である事を疑っているんですけどね……。


「初めまして。救世主……かどうかは知りませんけど、ヒカルです」


 握手をするために手を伸ばした。
 そう言えばこの世界って握手って文化あるのだろうか。失礼に当たったらどうしよう。そんなこと考えていたが、ギレンが握手に応じてくれたので杞憂だったようだ。


「さて、早速で悪いが本音で話させてもらう。オレは救世主の予言なんてこれっぽっちも信じちゃいねぇ」


 ……お、おう。
 これはまた一波乱ありそうだ……。

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