知り合いを増やすだけで異世界最強になってしまった件

ノベルバユーザー279985

王宮へのご招待

そこは明らかに俺達がいた教室ではなかった。俺達が座り込んでいる床はキラキラ薄い光を放っている。周りには甲冑に身を包んだ兵士らしき人達。俺達の前にある背の高い椅子に金銀財宝で着飾った男性。マルマルと太ってまるで…
「ねえねえ友英、あの人豚みたいだね笑」
玖珠菜が指を指して面白そうに言いやがった。たまたま聞こえてしまったらしい人達は笑いを堪えるのに必死そうだ。(俺含め)
「よくぞ来たなお前ら」
豚が偉そうに話し出す。
「我はこのウテペリッデ帝国の皇帝、
アレフォンドル・ルペリチーク・カワモロウ・ブタ・カルリロストだ」
豚じゃねえか!!
「貴様らを呼んだのは他でもない魔王をお前らに殺してもらおうと思ってな」
「ちょっと待って下さい!!」
一瑳が声を上げる。
「我々は何の力も持たない一般人です!戦うことなどできません!」
ブタは手で一瑳を制した。
「それはお前らの世界での話だ。ここはお前らの世界とは違う」
ブタが手を挙げると家臣のような人が俺達に本と針を俺たち一人一人に配った。
「これは魔導書(グリモア)だ。これの表紙に血を1滴垂らすとお前らはスキルやパークを使うことができるのだとりあえず血を垂らしてみろ!」
俺は血を1滴落としてみた。血はグリモアに当たると波紋のように広がった。俺は思わず息を呑んだ。血を垂らした後のグリモアは黒色の表紙に金色で名前が刺繍されている。
「友英どんなグリモアだった〜?」
玖珠菜が寄ってくる。その手には青色の表紙のグリモア。周りを見ると皆色とりどりのグリモアを持っている。
ブタがまた話し出す。
「パークには火、水、土、風、光の4種がある。これらの適正をグリモアは色で示している。ので…」
ブタは今度は手を叩いた。全員に白い粉が配られる。
「魔法の粉だ。これをグリモアにかければ自分以外がグリモアを見たとき色が分からなくなるという優れものだ」
「なるほど、確かに作戦が立てやすくなるからね」
パークが何かも分からんのに納得している奴もいる。思考を放棄したのだろうか…
「さあどうだ?十分君達でも戦えるだろう?」
断れば確実に殺されるだろう。俺は死ぬためにここに来たのではない。
「とりあえずOKして、情報を増やそう。ヤツの話がホントかどうかはそれで決めよう」
一瑳はコクンとうなずくとブタに向き合い
「貴女のお話を受けさせていただきます」
ブタは満足そうに頷くと俺達を部屋に連れて行くよう家臣に命令した。

部屋は高級ホテルのような豪華さだった。
そんなことはどうでもいい。明日から俺達一人一人にパークやらスキルやらを教えてくれる専属の先生が来るはずだ。明日のことは明日考えよう…そう思い俺は泥のように眠った。

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