王国の騎士

吟遊詩人

騒々しい日の始まり

「んでよぉ!そんとき俺は言ってやったのさ!酒のつまみにケーキを出すのか?ってな!」

がははと笑う巨体の大男、私とコイツしかいないからいいものの朝っぱらの共同浴場でよく口が回るものだ。

「それは良かったな。だが私ならお前にこう返したぜ?お前はホットケーキにバターを塗らないのか?ってな」
「…ん?どういうことだ?」
「…そろそろ私は上がるよだいぶ頭も冴えた。」
「おー」

…酒にケーキでもいいじゃないか
浴場を出て、ロッカーを開ける仕事着を着用して鏡の前に立つ。
髪にワックスを塗りヘアゴムで後ろ髪を縛る。
いつも通りだ。
見慣れた顔、私の陰気臭い気だるげな表情。
帽子を抱え自室に戻り食事を取る。
トーストに目玉焼き、カリッと焼いたベーコンを乗っけてサラダとオニオンのスープを作る。
十字を切り食事を初める。
デザートは何にしよう、ホットケーキ…は気分じゃあないな。ゼリーなんていいかもしれない。仕事の前に喫茶店にでも寄ってそれから…
寮に備え付けの水晶がパッと光る
【思考が止まった】
ハッと息を飲んで水晶へと声を発する

「何がありましたか!!」

「緊急だ。
エルゼン街D地区に魔物が出現した。
各部への伝達を行っている。伝達を聞いたものは直ぐに向かえ」

おそらくこちら側の声は遮断してあるという事だろうあらげた声に物怖じせずに淡々と内容を語った。だがその声は何処と無く焦りを感じる。
緊急通知。私が騎士となって1年近く経つというのに初めてだ。
腰に掛けた銃剣に弾を込め、小走りで部屋を出る。寮の面々も同じように武器を持ち現地に向かっている
王都に魔物が現れるなんて前代未聞だ。だがそれ以上にこの騒動に大きくか関わることができれば…
騎士隊のしたっぱではなく確実に昇格はあるはずだ。出世、場合によっては近衛になることすらも有り得ないことではない

いち早くと外に出た同僚達を横目に私は自分の馬に又借り向かう。
他にも馬に乗るものは当然でいる。だかそれでも、私の馬術の方がいくぶんか優れている。
一番槍は任せろ。もっとも二番があるかは分からんがな。なんて自惚れたことを心の中で呟き馬を走らせる。初めて全力を出せるかもしれない。
その好奇心や自尊心に胸を膨らませ私は進む

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品