異世界転生 〜奴隷からの成り上がり〜

ぴえろ

掃討

「結構不味いな、あの人達。何とか抑えてるみたいだけどこのままじゃ時期に押しつぶされるな」

俺は目の前の出来事を観察して結論を出した。

「助けるか、バレないように」

目の前では馬車の護衛と思われる完全武装の騎士が上位悪魔を5人で何とか押さえ込んでおり、馬車も車輪が壊され、完全に進めなくなっている。

「くそっ!なんで上位悪魔がいやがる!これじゃリリアーナ様が危ねぇ!」

そう叫びながら上位悪魔と対峙している人は確か今馬車を背にして隣の金髪の子供を守っている騎士団長から命令を受けていたから多分副団長辺りの人だな。

「しかし、顔を見られずにどうやって盗賊を倒すか・・・なんかいい感じの仮面でもあればいいけどな・・・っと、仮面はあるにはあるがこれはいい感じの仮面なのか?」

そう言いながら空間魔法から取り出した仮面は片目から血の涙を流している絵が描かれている骸骨の仮面だった。しかし、あまりにも血の涙がリアルだったので触って確認してしまうほどだ。

「こんな仮面を被って降りたら確実にこっちを狙って来るよな・・・
というかもし仮に俺が同じ立場ならそうする。だって怖いし・・・
でも、どうやら迷っている暇は無さそうだな。そろそろ助けに入らないと戦線が崩壊する」

副団長たち5人が上位悪魔を押さえ込んでいたが、徐々に押し負けている。

「仕方ない、行くか」

そう言って俺は仮面を被り魔術師の後ろに飛び降りた。




「くそっ!上位悪魔ってこんなに強かったか?!前はもっと楽に倒せたぞ!まさかあの魔術師が召喚でもしたっていうのか!」

「その通りだよ、副団長殿。そいつは私が召喚したものだ。私の指示に従い、私に絶対服従をしている」

「くそがっ!そんなのありかよ!
・・・え?」

「なんだっ!お前はっ!」

「さあな」






「さあな」

俺が魔術師の後ろに飛び降りたことに一番最初に気づいたのは上位悪魔と戦っていた副団長だった。次に魔術師が気づいたがその時には既に魔術師の喉元に双剣の刃が潜り込んでいた。

ドサッ

という音と共に魔術師の体が倒れた。それと同時に上位悪魔も崩れるようにして灰になり消えていった。

「へぇ、召喚者が殺されたら召喚された物も消えるのか。いい勉強になる」

さて、と周りを見渡す頃には既に剣がぶつかり合う音は消えていた。この場にいる全員が俺の方を向いたまま固まっている。

(やっべー、超恥ずかしい。えっ?なんでみんなこっち見てるの?って当たり前だよな、こんな怪しい仮面を付けたやつが急に出てきたりしたら)

「さて、消えてもらおうか」

(なに、恥ずかしいこと言ってんだよ!俺!調子に乗ったはいいけどこれはやり過ぎだ!)

心の中で羞恥に悶えながら俺は盗賊の頭の前へと潜り込んだ。

「なっ!いつの間にここまできやがった!まぁいい!ぶっ殺してやる!」

そう言うと頭は剣を振り下ろしてきた。

・・・遅い。単純に遅すぎる。動体視力の差が歴然としていた。まさかここまで変わってくるとは思ってもいなかった。
俺は振り下ろされた剣を軽く避けると双剣を一閃、頭の首を切り落とした。
そのまま新しい武器、竜王の髭から作った糸を牙から作った針に通したものを複数、近くの木に投げた。牙は木に突き刺さり、固定された。そのまま手元の糸を操作し、残りの盗賊全員の首に巻き付けた。そして両手を一気に振り下ろすと盗賊の首が同時に全て飛んだ。

「案外出来るもんだな、初めてでも」

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