異世界転生 〜奴隷からの成り上がり〜

ぴえろ

問題発生

「これでオッケーかな?って、まあまとめる物なんてほんの僅かしかないけどな」

俺は竜王の鱗と骨を剥ぎ取り、新しく覚えた空間魔法を使い、収納した。そこから前に居た洞窟に戻り、砥石などの僅かな道具をまとめていた。
今から俺はここ、竜の谷を出る。奴隷として連れてこられたが、結果的には奴隷からも解放されたし、生きているのでまあ、良しとする。

「さて、この谷から出たらまずは金を稼がないとな。竜王の城の中に大量に金貨はあったけど、安定した収入源がないと不安だな。多分だが、冒険者が1番なりやすい職業のはずだから冒険者になるか」

俺は谷を出てからの目標を決めると兵士達の墓に行って、合掌してから洞窟を出た。
案の定、竜の谷の入口にあった透明の壁は無くなっており、出入りが出来るようになっていた。

「よし!ここから俺の新たな人生の幕開けだ!多分この世界で1位2位を争うくらい強くなっているはずだからバレないように隠していこう。あと、元奴隷だっていう事もだな」

そう言って俺は竜の谷をあとにした。

「結構いい感じで竜の谷を出てきたのは良いものの、街がどっちにあるか全く見当もつかない。さっきまでの威勢が恥ずかしいわ」

そんな事を言いながら俺は目の前の森の中の道を歩いて行った。






「頭、目標が通り過ぎやしたぜ。どうしやす?」

「よし、退路を封鎖しつつ囲んで叩け!あいつを売れば相当な金額になる。絶対に逃がすなよ?お前ら」

「「おぉ!」」

そう言うと喋り方や装備から見て盗賊と思わしき奴らが動き出したのを木の上から見ていた。

「盗賊の言っていた目標ってのはさっき通り過ぎた豪華な馬車の事だよな?
ラノベのお約束展開だな。どうせ王女かそれと同じくらいの御身分の方が乗ってるんだろうな。とは言っても流石に目の前の事を見逃すほど俺も人間性は捨ててねぇしな。仕方ない。出来るだけバレないようにアイツらを殺すか。新しい武器の練習がてらに」

俺は木の枝から木の枝へと足場を変えながら盗賊を追いかけて行った。





「後方に15人、左右に合計30人、前方の林の影に15人の計60人。完全に包囲されている。私はリリアーナ様の傍で護衛を務める。お前達には賊の討伐を命じる!戦闘時の指揮はゼンに従え!行動開始!」

「「はっ!」」


(良かった〜、俺はバレてないみたい。というか結構護衛もしっかりしてるし、大丈夫かな?
賊の方もかなり数がいるけどこの人たちなら対処出来そうだ・・・いや、ちょっとやばいかもな。賊の中に魔術師が一人いるな。しかも、悪魔を呼び出す系の魔法陣だぞ?!あれ!・・・とりあえずどこまで戦えるかを見て、危なくなったら影から助けてトンズラすればいいか)



「全隊、迎撃体制をとれ!馬車の前に槍を構えていつでも突進出来るようにしろ!最悪の場合リリアーナ様だけでもお逃げしてもらわなければならない!後方は俺達が引き受ける!左右の警戒も怠るな!左右の人数が1番多いぞ!」

「ちっ!バレてやがったか!まあいい、リリアーナを生け捕りにしろ!他は全部ぶっ殺せ!」

「「おぉ!」」

「全隊!迎撃開始!」

「「はっ!」」

戦いは馬車を中心に巻き起こった。しかも、ゆっくりとだが馬車も進んでいる。

「ジル!ゼフ!ジン!お前で前方に逃げ道を切り開け!隊長はリリアーナ様のお傍にいるからリリアーナ様は安全だが、リリアーナ様を危険に晒しては意味が無い!全力で馬車を援護しろ!」

「「了解!」」

そう言うと、ジル、ゼフ、ジンと呼ばれた3人が槍を構えて突進攻撃を繰り出した。馬に乗ったままの攻撃なので相当な威力があったのか、前方にいた賊は成すすべなく吹き飛ばされた。

「今だ!総員、速やかに退避せよ!」

そう言うと馬車を先頭に3人が切り開いた逃げ道を使い、全速力で退避しようとした。

「逃がしはしない。我が野望のために」

そう言って目の前に先程悪魔召喚の魔法陣を構築していた魔術師が現れた。すると、次の瞬間ジルと呼ばれていた男の姿が消えた。

「なっ!上位悪魔だと!?」

これは不味いことになりそうな予感がする・・・

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