異世界転生 〜奴隷からの成り上がり〜

ぴえろ

死神との約束

「転送されたのはいいけど怪我でしばらく動けそうにな・・・あれ?俺さっきまで怪我してたよな?怪我が消えてる?」

さっきまでスケルトンと戦っていて怪我をしていたはずなのに今は体のどこにも怪我は見あたらない。

「どういうことだ?でも、怪我が治っているのならありがたい。流石にあのまま放置していたら死んでたからな
しかし、ここはどこだ?床は大理石みたいな石だけど・・・」

俺が転送された先は床も壁も一面真っ白な所だった。周りには柱が1列に並んでおり、1本1本が人間が作ったとは思えないような精巧さで作られていた。
そして、その奥には漆黒の色に金の細工がしてある門があった。それを開けて進むと今度は大広間みたいな場所に出た。

「いったいここはどこなんだ?見当がつかない。それにこの広さ、あの声の奴は本当にここに居るのか?居たとしても見つけれるのか?」

そう思えるくらいに広かった。大広間の真ん中には上に登る階段があり、そこを登って行くと奥に玉座があった。しかし、その玉座には誰も座っておらず、何となくだが
この世界の人間に忘れ去られたような、そんな感じがした。そのまま玉座に近づいていくと、足元のタイルの1枚が少し地面にめり込んだ。

「なんだ?何かの仕掛けのスイッチか?」

ゴゴゴゴゴゴゴ

そんな音が聞こえ始め、周りを警戒しながら玉座に近づこうとした。すると、玉座がタイルの下に沈んでいき、変わりに四肢に大きな釘を打たれ、鎖で厳重に封印されている人らしきものが水晶の中に入った状態で出てきた。

「なっ、なんだ?!こいつは?!」

(お前か、我の力を欲する者は)

「お前があの声の主か!ああ、そうだ!俺だ!お前の力を望んだ奴は!」

(汝は我の試練に合格した。よかろう、我の力を貴様にやろう。しかし、この力を手にすればその時点で人間を辞めることになるがよいか?)

「人間を辞める?それも不安だが、それよりもお前は誰だ?なぜそんな状態で生きている?」

(我は死神だ。お前のいた世界で言えばな。
我は元々神であったが神達にさからっ)

「その前にお前その喋り方辞めたら?無理にキャラ作ってるだろ?さっきから言葉使いがめちゃくちゃだぜ?」

(ならそうさせてもらおう。先程も言った通り私は元々神であったが情に流され、神達に逆らった為、堕落し、死神となった。それ以来ここに封印されている。)

「なるほどな、神様でも情に流される事はあるのか。ていうかそんな事はどうでもいいんだよ。俺はここから早く抜け出したい。だから早くお前の力を寄越せ!」

(はっはっは!薄情な奴だな!しかし、いいのか?先程も言ったが、人間を辞めることになるぞ?)

「具体的にはどうなるんだ?」

(私の後を継いで死神になってもらう)

「は?」

(聞こえなかったのか?私の後を継いで死神になって)

「いや、聞こえてるよ!でもさ、人間を辞めるって単純に力が跳ね上がるとかの肉体的な話だと思ってたんだが、種族そのものが変わるのか?」

(そういうことになるな。死神はその名の通り死の神だ。お前のいた世界とは少し違うかもしれないが、この世界の死神は死を操れる。そのせいで自分は絶対に死ぬことはない。しかし、ダメージなどは知覚出来るので、痛みはある。簡単に言えばどれだけ剣で切られても、痛みだけ残って、死にきれないって言うことだ)

「・・・それで、お前の力さえあれば竜王は殺せるのか?」

(もちろん、殺せるとも。と言うよりこの世界の全ての生物を殺すことが出来る。ただ、それをしようとすれば他の神たちが全力で止めに来るけどね)

「なら決まりだ。その話に乗ってやる。俺はお前の後を継ぎ、死神になる。」

(そうか、なら今からお前に力をやろう。私の後ろにある大鎌を持ってきてくれ)

水晶の後ろの壁に大鎌が飾ってあった。それを持ってくると、

(ならそれを使って俺をこの水晶ごと真っ二つに切って殺してくれ。そうすれば俺の力はお前のものだ)

「は?お前さっき自分で死神は死ねないって言ってたじゃないか。どういうことだ?」

(確かに死ねないよ。だが何事にも例外はある。死神は自分が認めた者に自分の武器を持たせて自分を殺すと死ぬことが出来る。
私はお前を既に認めているのでお前は私を殺すことが出来るという事だ。理解したのなら早く殺せ。俺も死にたいんだ)

「確かに俺は薄情な奴かもしれないな。今からお前を殺すの事になんの躊躇いもない。だが、一つだけ忘れないで欲しい。俺はあんたの後を継いで死神となる。しっかりとあんたの役目は引き継ぐさ」

(生意気だな。まあ、そこら辺はお前に任せるさ)

「ああ、任された。それじゃあ、短い間だったが世話になった。じゃあな」

(ああ、さらばだ)

そう言うと俺は大鎌を振り下ろした。

パリン

大きな音を立てて水晶は崩れ落ちた。すると、水晶の破片が光の粒子に変わり、空中に溶けるようにして消えていった。

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