世界がきえるその時まで

大空 ヒロト

夏のひととき

期末テストやら何やらが終わりもう夏休みだ。この辺はそこまで都会とは言えないのでせみの鳴き声がうるさい。ただでさえ暑いのにさらに暑く感じさせてくる。あー動きたくない。

「修…アイス…」

幻が持ってきたアイス、かりかりくんを俺は受け取る。その時幻をみると、し、下着が……透けて見えちゃってます。俺と幻は実際は双子、と言うか血がつながってない。まぁこの世界じゃなぜか一緒に生まれたことになってるが。とにかくだからすげぇドキドキする。やめてもらいたい、寿命が縮まったきがするから。俺は幻から顔をそらしながら言う。

「冷たくてうまいな」

幻はそれに振り返ってうんと答えた。また静かになってせみの鳴き声がきこえてくる。ざくざくざく一気にかりかりくんをたべる。

「うぅ…」

頭が痛くなった。すると俺の後ろからもおなじような声がきこえてきた。どうやら幻もやらかしたようだ。

「大丈夫か?」

「うん……」

少し弱い返事がかえってきた。俺は幻の方に顔を向ける。その瞬間見てしまった。幻ののこっていたかりかりくんが棒から滑り落ちるその瞬間を。

「あっ……」

幻から小さな声がもれる。

べちゃっ

あ、落ちた。幻をみると少し泣きそうだ。俺はとりあえずティッシュでふく。

「ざ、残念だったな。アイス」

俺にはそれしか言えなかった。幻も気を落としてうつむいている。いや、よく見るとうつむいているんじゃない、アイスの棒を凝視していた。俺も後ろから棒をのぞき込む。すると棒に、

当たりもう一本

と書かれていた。

「良かったな、幻!当たりだまた食べれるぞ」

「うん!」

「じゃあ交換しにいくか」

「うん」

俺はそう言って自分の残ったかりかりくんを食べる。痛い。棒を見る、やっぱりそう当たらないか。俺はそう思いながらうらがえす。

書いてあった。当たりだ。

「どうしたの?」

幻が俺が動かなくなったので不思議に思ったのか聞いてきた。

「俺もあたったよ」

「ほんとう?」

「ああ、じゃあ一緒にまた食うか!」

「うん」

俺たちは暑いのを我慢して近くのコンビニにむかう。幻とならんで。こんなことでもなんか俺は楽しいと思った。

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く