テンプレ幼なじみに俺は憧れを抱かない
特別編 ちょっとした昔の話〜クリスマス〜
進side
これは高校1年の冬の話である。
憂鬱である。
そんなことを思うのはこれで何度目だろうか。
周りには淡い青色のイルミネーションによって飾られた木々。そして、その木々に囲まれた道を歩く何組ものカップル。そして、毎年のことながら冬の寒さに耐え忍びながら一人歩く俺。
「はあ······」
ため息が出るのも仕方が無いだろう。
基本的に人と行動を共にすることの少ない俺は今更、一人で歩くぐらい何ともないのだが。
なまじ、周りの雰囲気が幸福に溢れているためか、相対的に普段通りにしている俺が独り身でぼっち(前者は恋人なし、後者は友達なし)な可哀想で惨めな男に見えてくるから不思議だ。
いや、これはあくまで俺の想像だけども。
まあ、つまりは、だ。
「クリスマスなんて無くなっちまえばいいのに······」
恋人いるヤツら全員を生贄にすれば無くなるんだろうか。
まあ、自分でも完全に逆恨みだってことは分かってるんですけどね。
だからこそ、余計に辛いのだ。
***
家に着くと、冬の寒さで冷えきった部屋が俺を待っていた。
「寒っ······」
寒さでかじかんだ手を動かして、電気ストーブの電源を入れる。
しばらくすると、電気ストーブは熱を発し始めた。手が少し急な熱さで痛むが心地よい温もりだ。
「はぁぁぁ······」
なんか、虚しくなってきた······。
もう少し小さかった頃、それこそ小学生ぐらいまではクリスマスが楽しみで仕方がなかったというのにいつから、こうなってしまったんだろうか。
やはり、時の流れは残酷だ。
そんな益体も無いことを考えていると、玄関の扉が叩かれた。
「進、どうせいるんでしょー?   中に入れさせてー」
外から聞こえてくるのは亜梨須の声だ。
玄関の扉を開けると、そこには寒さのせいか鼻の先を少し赤くした亜梨須がいた。
「亜梨須、一体なんの用だよ   」
「むー、人がせっかくひとりぼっちで寂しくしている進のために来てあげたのに」
「いや、別に寂しくなんかしてないって」
ちょっと、部屋で時の流れの残酷さについて考えていただけだから、別に寂しくなんかしてない······よな?
「もう、相変わらず面倒臭いわね。いいから、早く中に入ってよ」
「はいはい、お邪魔しまーすって、ここ俺の部屋じゃねえか」
全くなんだっていうんだ。
「うわあ······、寂しい部屋······」
入って早々に亜梨須からイラっとくる一言頂きました。
「普通だろ、こんなん」
「えー、クリスマスツリーとかちっちゃいのでもいいから飾ればいいのに。殺風景すぎるわよ、ここ」
確かに俺の部屋は生活必需品以外は特にない面白みのない部屋ではあるが、亜梨須の意見に納得することはできない。
「あのな、亜梨須。考えてもみろ、お前のいうひとりぼっちの俺がクリスマス一人で小さなクリスマスツリーを部屋に飾って一人で楽しそうに笑いながらクリスマスパーティーをしているのって客観的に見てどう思う?   」
「うん、気持ち悪いわね。なんか、すみませんでした」
な、そうだろ。素直に謝れるのも釈然としないが。
まあ、後半部分が一人暮らしの高校生として完全に危ないヤツな気がするのは間違いない。
「それで、一体何しに来たんだ」
「あ、忘れてた。はい、これ」
ん?これって······。
「マフラー?   」
それもよく出来ているが市販の物ではない気がする。
「もしかして、亜梨須がこれを編んだのか?   」 
「えへへ、すごいでしょ!   まあ、作ったのが余っちゃっただけだから。どうせ、あんたマフラーとか持ってないでしょ?   」
「えーと、亜梨須ありがとうな」
「どういたしましてー」
亜梨須は照れくさかったのか俺から目を少しだけ逸らした。
「うん、まあ、これだけ渡しに来ただけだから、また明日ね」
「あぁ、また明日な」
亜梨須はそそくさと部屋の外へ出ていってしまった。
俺は亜梨須から貰ったマフラーを早速付けてみる。
「おぉ、暖かい······」
なんともまあ、俺はいい幼なじみを持ったものだ。マフラーを作りすぎるなんてこと亜梨須はするはずなのに。
なんだか、少しだけ、クリスマスのことが嫌いじゃなくなりそうな夜だった。
お久しぶりです。
まさかの特別編を連続で出してしまうことになるとは······。
リアルの方が最近忙しく、本編の方を3ヶ月以上投稿出来ていなかったので、これから前のペースに徐々に戻していくつもりです。
まあ、といいつつ、たぶん次は大晦日、もしくは正月の投稿になりそうなんですがね······。
あ、あといつの間にか1周年突破してました。
いつも、読んでくださっている皆様ありがとうございます。
皆様のおかげで3000pvも突破致しました。
失踪はしないのでどうか最後までお付き合いください。
これは高校1年の冬の話である。
憂鬱である。
そんなことを思うのはこれで何度目だろうか。
周りには淡い青色のイルミネーションによって飾られた木々。そして、その木々に囲まれた道を歩く何組ものカップル。そして、毎年のことながら冬の寒さに耐え忍びながら一人歩く俺。
「はあ······」
ため息が出るのも仕方が無いだろう。
基本的に人と行動を共にすることの少ない俺は今更、一人で歩くぐらい何ともないのだが。
なまじ、周りの雰囲気が幸福に溢れているためか、相対的に普段通りにしている俺が独り身でぼっち(前者は恋人なし、後者は友達なし)な可哀想で惨めな男に見えてくるから不思議だ。
いや、これはあくまで俺の想像だけども。
まあ、つまりは、だ。
「クリスマスなんて無くなっちまえばいいのに······」
恋人いるヤツら全員を生贄にすれば無くなるんだろうか。
まあ、自分でも完全に逆恨みだってことは分かってるんですけどね。
だからこそ、余計に辛いのだ。
***
家に着くと、冬の寒さで冷えきった部屋が俺を待っていた。
「寒っ······」
寒さでかじかんだ手を動かして、電気ストーブの電源を入れる。
しばらくすると、電気ストーブは熱を発し始めた。手が少し急な熱さで痛むが心地よい温もりだ。
「はぁぁぁ······」
なんか、虚しくなってきた······。
もう少し小さかった頃、それこそ小学生ぐらいまではクリスマスが楽しみで仕方がなかったというのにいつから、こうなってしまったんだろうか。
やはり、時の流れは残酷だ。
そんな益体も無いことを考えていると、玄関の扉が叩かれた。
「進、どうせいるんでしょー?   中に入れさせてー」
外から聞こえてくるのは亜梨須の声だ。
玄関の扉を開けると、そこには寒さのせいか鼻の先を少し赤くした亜梨須がいた。
「亜梨須、一体なんの用だよ   」
「むー、人がせっかくひとりぼっちで寂しくしている進のために来てあげたのに」
「いや、別に寂しくなんかしてないって」
ちょっと、部屋で時の流れの残酷さについて考えていただけだから、別に寂しくなんかしてない······よな?
「もう、相変わらず面倒臭いわね。いいから、早く中に入ってよ」
「はいはい、お邪魔しまーすって、ここ俺の部屋じゃねえか」
全くなんだっていうんだ。
「うわあ······、寂しい部屋······」
入って早々に亜梨須からイラっとくる一言頂きました。
「普通だろ、こんなん」
「えー、クリスマスツリーとかちっちゃいのでもいいから飾ればいいのに。殺風景すぎるわよ、ここ」
確かに俺の部屋は生活必需品以外は特にない面白みのない部屋ではあるが、亜梨須の意見に納得することはできない。
「あのな、亜梨須。考えてもみろ、お前のいうひとりぼっちの俺がクリスマス一人で小さなクリスマスツリーを部屋に飾って一人で楽しそうに笑いながらクリスマスパーティーをしているのって客観的に見てどう思う?   」
「うん、気持ち悪いわね。なんか、すみませんでした」
な、そうだろ。素直に謝れるのも釈然としないが。
まあ、後半部分が一人暮らしの高校生として完全に危ないヤツな気がするのは間違いない。
「それで、一体何しに来たんだ」
「あ、忘れてた。はい、これ」
ん?これって······。
「マフラー?   」
それもよく出来ているが市販の物ではない気がする。
「もしかして、亜梨須がこれを編んだのか?   」 
「えへへ、すごいでしょ!   まあ、作ったのが余っちゃっただけだから。どうせ、あんたマフラーとか持ってないでしょ?   」
「えーと、亜梨須ありがとうな」
「どういたしましてー」
亜梨須は照れくさかったのか俺から目を少しだけ逸らした。
「うん、まあ、これだけ渡しに来ただけだから、また明日ね」
「あぁ、また明日な」
亜梨須はそそくさと部屋の外へ出ていってしまった。
俺は亜梨須から貰ったマフラーを早速付けてみる。
「おぉ、暖かい······」
なんともまあ、俺はいい幼なじみを持ったものだ。マフラーを作りすぎるなんてこと亜梨須はするはずなのに。
なんだか、少しだけ、クリスマスのことが嫌いじゃなくなりそうな夜だった。
お久しぶりです。
まさかの特別編を連続で出してしまうことになるとは······。
リアルの方が最近忙しく、本編の方を3ヶ月以上投稿出来ていなかったので、これから前のペースに徐々に戻していくつもりです。
まあ、といいつつ、たぶん次は大晦日、もしくは正月の投稿になりそうなんですがね······。
あ、あといつの間にか1周年突破してました。
いつも、読んでくださっている皆様ありがとうございます。
皆様のおかげで3000pvも突破致しました。
失踪はしないのでどうか最後までお付き合いください。
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