テンプレ幼なじみに俺は憧れを抱かない
第23.5話 そろそろ帰ります(裏)
亜梨須side
なんだか、幸せな夢を見ている気がする……。
そこは、このまま、ずっとここにいたいと思えるそんな場所だった。
明るく、暖かい場所。
そして、私の望むもの、好きなものがなんでもあるそんな場所。
でも、気がつくと……、
その場所はどんどん、私から遠ざかっていた。
それを私は必死で追いかける。
でも、追いつくことは出来なかった。
置いていかれてしまった私は、
いつの間にか、一人、真っ暗な冷たい場所にいて……。
そして……、
***
私の目が覚めた。
何か夢を見ていた気がするけど……。
なんの夢だったっけ?
全く思い出すことは出来ない。
「んー! よく寝たぁ……」
私は、思いっきり手を上に伸ばす。
ふと、横を見てみると、進がこちらから、視線を逸らし、下をじっと見ている。
「······何やってるの? 」
「地面を見ている」
確かにそうなんだけど……。
まあ、いっか。
「そ、そう……」
そこから、沈黙が続く。
そのうち、妃愛蕾さ、······妃愛蕾も、起きた。
「······おはよ〜。亜梨須、進くん」
妃愛蕾さんは、半分目を閉じたままこちらに、挨拶をする。
「おはよ、妃愛蕾」
「おはよう、妃愛蕾さん。
って、亜梨須と妃愛蕾さん、いつの間に互いのことを呼び捨てで呼ぶようになったんだ? 」
「えーと、昨日の夜に、ちょっと、ね。
女の子には色々あるのよ」
「そ、そうか」
進もそれ以上は聞きにくいのか、興味が無いのか、聞いては来なかった。
―――昨日の夜。
私は、確かに聞いた。
妃愛蕾が、進のことを好きだという、宣戦布告を。
それを聞いた私も半分勢いで進のことが好きだと妃愛蕾に告白した。
後悔はしていない、していないのだけれど……。
うぅ、今はどっちとも顔を合わせずらい。
妃愛蕾も、さすがに話しづらいのか、黙っている。
あ、違ったわ。
妃愛蕾さん、半分目を閉じている。
眠っているのかしら……?
進もその微妙な空気を察しているのか、ずっと地面を向いたままだ。
この空気を改善できる人はどうやら、この場には居ないみたいだ……。
***
その後、後藤さんが迎えに来てくれた。
そして、別荘に戻り、水着から着替えて、お風呂に入り、朝食を食べた。
その時に後藤さんから、どうして、私達をあんなに、すぐに迎えにこれたのかを知った。
「お嬢様たちのボートにはGPSがついていたのですが、それが、突然途絶えたので驚き、すぐ迎えに行こうとしたのですが、何分、昨日の大雨で……、探すのが遅くなって申し訳ございませんでした」
なるほどね、それで早く見つけられたのね。
あのボートに、GPSが付いていたなんて驚きね……。
私達はそのあと、ここに来た時と同じように、後藤さんに船で港に送ってもらい、そこから、車に乗り換えて、寮まで送ってもらった。
私は車の中でそのうち、眠くなってしまい……。
***
また、私は夢を見ている。
悲しい夢だ。
私が追いかけても、それは離れていく。
真っ暗な冷たい闇の中に一人だけいる私。
すると……、
私の周りに小さな光ができた。
その数は次第に増えていき、
気づいた時には、もう暗くはなかった。
光に包まれた私は、暖かくなった。
幸せな気分に包まれた私に誰かの声が聞こえる。
「―――たぞ」
誰だっけ?
「―――きろ」
暖かく、それでいて懐かしいこの声。
「亜梨須……」
その声が私を夢から現実へと引き戻す……。
***
「―――亜梨須、着いたぞ。
起きろ、亜梨須」
ん……、ん?
「······進? 今、どこ?」
「もう、寮の前だぞ、起きろ」
「うん、分かった……」
私は、車から眠い目を擦りながら降りた。
先に車を降りていた妃愛蕾さんも、私と同じように目を擦っている。
「じゃあな……」
「うん、またねー」
「バイバイー」
私は疲れた体を動かして、自分の部屋へと戻った。
私は、眠かったので着替えを済ませたあとすぐに、ベッドの上に身を投げ出した。
「······進と妃愛蕾との海、楽しかったなあ」
途中、遭難したりもしたが、それでも、楽しかった。
そんな、幸せな気分に包まれながら、私は再度、眠りへとついた。
今度は、夢を見ることは無かった。
連続で2話投稿いたしました。
一週間に2回投稿ぎりぎり達成……。
なんだか、幸せな夢を見ている気がする……。
そこは、このまま、ずっとここにいたいと思えるそんな場所だった。
明るく、暖かい場所。
そして、私の望むもの、好きなものがなんでもあるそんな場所。
でも、気がつくと……、
その場所はどんどん、私から遠ざかっていた。
それを私は必死で追いかける。
でも、追いつくことは出来なかった。
置いていかれてしまった私は、
いつの間にか、一人、真っ暗な冷たい場所にいて……。
そして……、
***
私の目が覚めた。
何か夢を見ていた気がするけど……。
なんの夢だったっけ?
全く思い出すことは出来ない。
「んー! よく寝たぁ……」
私は、思いっきり手を上に伸ばす。
ふと、横を見てみると、進がこちらから、視線を逸らし、下をじっと見ている。
「······何やってるの? 」
「地面を見ている」
確かにそうなんだけど……。
まあ、いっか。
「そ、そう……」
そこから、沈黙が続く。
そのうち、妃愛蕾さ、······妃愛蕾も、起きた。
「······おはよ〜。亜梨須、進くん」
妃愛蕾さんは、半分目を閉じたままこちらに、挨拶をする。
「おはよ、妃愛蕾」
「おはよう、妃愛蕾さん。
って、亜梨須と妃愛蕾さん、いつの間に互いのことを呼び捨てで呼ぶようになったんだ? 」
「えーと、昨日の夜に、ちょっと、ね。
女の子には色々あるのよ」
「そ、そうか」
進もそれ以上は聞きにくいのか、興味が無いのか、聞いては来なかった。
―――昨日の夜。
私は、確かに聞いた。
妃愛蕾が、進のことを好きだという、宣戦布告を。
それを聞いた私も半分勢いで進のことが好きだと妃愛蕾に告白した。
後悔はしていない、していないのだけれど……。
うぅ、今はどっちとも顔を合わせずらい。
妃愛蕾も、さすがに話しづらいのか、黙っている。
あ、違ったわ。
妃愛蕾さん、半分目を閉じている。
眠っているのかしら……?
進もその微妙な空気を察しているのか、ずっと地面を向いたままだ。
この空気を改善できる人はどうやら、この場には居ないみたいだ……。
***
その後、後藤さんが迎えに来てくれた。
そして、別荘に戻り、水着から着替えて、お風呂に入り、朝食を食べた。
その時に後藤さんから、どうして、私達をあんなに、すぐに迎えにこれたのかを知った。
「お嬢様たちのボートにはGPSがついていたのですが、それが、突然途絶えたので驚き、すぐ迎えに行こうとしたのですが、何分、昨日の大雨で……、探すのが遅くなって申し訳ございませんでした」
なるほどね、それで早く見つけられたのね。
あのボートに、GPSが付いていたなんて驚きね……。
私達はそのあと、ここに来た時と同じように、後藤さんに船で港に送ってもらい、そこから、車に乗り換えて、寮まで送ってもらった。
私は車の中でそのうち、眠くなってしまい……。
***
また、私は夢を見ている。
悲しい夢だ。
私が追いかけても、それは離れていく。
真っ暗な冷たい闇の中に一人だけいる私。
すると……、
私の周りに小さな光ができた。
その数は次第に増えていき、
気づいた時には、もう暗くはなかった。
光に包まれた私は、暖かくなった。
幸せな気分に包まれた私に誰かの声が聞こえる。
「―――たぞ」
誰だっけ?
「―――きろ」
暖かく、それでいて懐かしいこの声。
「亜梨須……」
その声が私を夢から現実へと引き戻す……。
***
「―――亜梨須、着いたぞ。
起きろ、亜梨須」
ん……、ん?
「······進? 今、どこ?」
「もう、寮の前だぞ、起きろ」
「うん、分かった……」
私は、車から眠い目を擦りながら降りた。
先に車を降りていた妃愛蕾さんも、私と同じように目を擦っている。
「じゃあな……」
「うん、またねー」
「バイバイー」
私は疲れた体を動かして、自分の部屋へと戻った。
私は、眠かったので着替えを済ませたあとすぐに、ベッドの上に身を投げ出した。
「······進と妃愛蕾との海、楽しかったなあ」
途中、遭難したりもしたが、それでも、楽しかった。
そんな、幸せな気分に包まれながら、私は再度、眠りへとついた。
今度は、夢を見ることは無かった。
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