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テンプレ幼なじみに俺は憧れを抱かない

九夜空猫

第21話 水着ハプニング前編

進side
夏の日差しを受けて、暑くなった砂浜から、海水の流れがゆるやかな冷たい海の中に入った。

水中に顔を入れ、目を見開くと、海水が少し目に染みたが、しばらくすると、慣れてきて、周りの様子がよく見えた。

まあ、浅瀬だし、海の中を漂う海藻ぐらいしかなかった。魚などはいなかった。
それでも、ここの海はとても綺麗だなと思った。水が澄んでいて、前に行った海のようにゴミが落ちている訳でもない。
こまめに清掃している人がいるんだろう。

さすがは、プライベートビーチ。

水の中から出ると亜梨須と妃愛蕾さんも、海で泳いでいるのが見えた。
亜梨須、お前速すぎて妃愛蕾さんか、全然追いつけてないぞ……。

そんな感じで、海を満喫していた俺たちであった。

亜梨須side
ふぅ……、ちょっと、疲れたわね。
妃愛蕾さんも、疲れただろうし、そろそろ海から出ようかしら。

「妃愛蕾さん、そろそろ海から出ましょ!」
私のはるか後方で、泳ぐのをやめて、海の上に浮いている妃愛蕾さんに、呼びかけた。

「わかったよぉ……。早く出よー……」
妃愛蕾さんの声がとても弱々しい。
そんなに疲れたのかしら?

私と妃愛蕾さんは、海から出て、砂浜に戻った。
砂浜には、ビーチパラソルの下のシートで寝ている進がいた。
「おー、おかえりー。
お前ら、随分遠くまで行ったんだな」
「進は何してたの? 」 

「俺は、海の中に潜って、景色を楽しんだ後、疲れたから、戻って寝てたよ」
「それって、私たちが泳いでいる間はほとんど寝てたってことじゃない……」

「仕方ないだろー、普段運動しない俺がいきなり、動いたら、そりゃ、すぐバテるって」

まあ、それはそうかもしれないけどさ……。

もう、ちょっと、海に来たんだからここでしか、出来ないこととかしたくないわけ?
進は……。

「それじゃあ、妃愛蕾さんも、進も少し疲れたみたいだし」
「いや、俺は休憩してたからともかく、妃愛蕾さんのあれは、少しってレベルじゃないと思うんだが……」
「次は、ボートに乗らない? 」

「話を聞けよ……。ボートねえ、うーん。
まあ、楽しそうではあるよな」

「わ、私も乗って、みたい、かな」

息切れをしながらも、妃愛蕾さんも、乗りたいみたいなので、ボートに乗ることにした。

***
進side
「後藤さんに、ボートを出してもらったからこれに、乗りましょ」
亜梨須が、見せてくれたボートは、6人は普通に乗れるので、俺たち3人なら、広々と乗れる大きさだ。
亜梨須は、ボートを漕いだことがあるらしいので、まず、亜梨須にやり方を見せて貰ってから、その後、俺と交代でやるということになった。
妃愛蕾さんは……、まあ、疲れているので、ボートの上でゆっくり休んでいてもらおうと思う。

「それじゃ、出発ー」
ボートは、ゆっくりと、岸から離れ、海に漕ぎ出した。

ゆったりとした波の上で揺れるこの感じは俺はとても好きだった。

こののんびりとした独特な感じは船でしか味わえないものなのでゆっくりしたい。

亜梨須から、やり方を教えてもらい、俺も漕いでみたのだが、なかなかに難しい。
力と体力もいるし、あまり、力を入れて速く漕いでも先程のような気持ちよさはなかった。
むしろ、揺れが大きすぎて、気分が悪くなる。

亜梨須の、万能さがまたよくわかった瞬間であった。

途中、3匹のカモメがボートの上に乗ってきたので、妃愛蕾さんは持ってきていたパンの欠片をあげようとしたが、亜梨須に止められてしまった。
亜梨須いわく、
「カモメに食べ物をあげたくなるのは分かるけど、あげちゃうと、それを覚えて、ゴミとかを荒らすようになっちゃうから、やめたほうがいいって後藤さんに昔、教えてもらったわ」
へえ、そうなのか。

俺と妃愛蕾さんは、亜梨須というか、後藤さんに教えて貰ったことを胸に刻み込んだ。

カモメはいつの間にか、飛び去っていた。

***
あれ?
「亜梨須、雨が降ってきたぞ」
「そうね、そろそろ岸に戻った方が良さそうね」
亜梨須はボートを方向転換させた。

「亜梨須ちゃん!
大変、ボートに穴が空いてる!」
「え!? どうしよう……。
とりあえず、進と妃愛蕾さんで、なんとか、穴を塞ぎながら、入ってきた水を外に出して! 」

俺達は、言われた通りに、妃愛蕾さんに、手で穴を塞いでもらい、俺はボートの中の水を何度も手ですくって、外に出した。
しかし……、
「だめだ。入ってくる量が多すぎる。
これじゃ、あそこまではもたないぞ」

うーん、どうしたら、良いものか。
ここから、あの砂浜までの距離を雨の中泳ぐとなると危険だし……。
そうだ!
「亜梨須、この近くにほかの島ってないのか!?」
「あるには、あるけど……、小さな無人島よ? 」
「そこは、ここからどれくらいなんだ? 」
「私たちの別荘があるところよりは、近い」
「なら、そこでいい!
そこまで、なんとか、船を漕いで、そこに船を止めて、雨宿りをしよう」
「······分かったわ」
亜梨須は、船をまた方向転換させ、
その無人島に向かわせた。



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