テンプレ幼なじみに俺は憧れを抱かない

九夜空猫

第11話 約束

進side

「あんたさ、今度の土曜日に、

                              私とデートしなさいよ」

亜梨須からこんなことを言われました。

へえ、デートねえ、デート……。

「へ?」
俺は自分でも気づかないうちに間抜けな声を出していた。
「何よ、その反応は……、変な顔になってるわよ?」
どうやら、顔も酷いことになっていたらしい。
それにしても、デート、デートねえ……。

「あんた、それわざとやってるの?」

うん、思考放棄してたわ。
また、俺は変な顔になっていたらしい。

だってさ、亜梨須が俺をデートに誘う?
そんなこと有り得るはずかないないだろう。
あの高飛車で二次元美少女が大好きな、幼なじみの松原亜梨須だぞ?
そんな亜梨須が俺をデートに誘うはずかないのだ。

だから、俺は亜梨須にもう一度聞き返すことにした。

「亜梨須、ごめん。もう1回言って?」

「なんでよ! あぁ、もう!
いいわよ! 言ってやるわよ!
進! あんた今度の土曜日私とデートしなさい!」

おぉう、怒ってらっしゃる。
それにしても、まじでデートか……。

「あんたが勘違いしないように言っておくけど、デートって言ってもあくまで名前だけのよ。私の買い物にあんたがついてきて荷物持ちをして、私が見たかった映画にあんたがついてきて、ポップコーンを買ってきてって感じのデートよ」

それは、ただの奴隷では?
俺に拒否権はないのか。
まあ、この亜梨須様には逆らわない方がいいだろう。

別に土曜日何も用事ないしね……。

「わかったよ……、そのデートっていう名の俺にとっての地獄について行ってやるよ」

じ、地獄ってそこまで言わなくてもいいじゃない……私は進とのデート、楽しみにしてたのに……
亜梨須はボソボソとなにか独り言を言っている。

「なんか言ったか?」
小さい声って聞き取りづらいんだよなあ。


「い、いえ、何も。
それより、進! デートは柳沢駅前に集合だからね! 集合時間は9時ね! 」
何かを誤魔化すように亜梨須は慌てながらそう伝えてくる。

「はいはい、分かりましたよ」
俺は適当に亜梨須に返した。

「むぅ……こんな可愛い美少女幼なじみからデートに誘われてもやる気がないのね……
デートなんて、ラブコメの中じゃ、大きなイベントの1つじゃない!」

まあ、普通はそうなんだろうがな……
俺のテンションが上がらない理由は、まずはこのデートはほぼ奴隷のような扱いを受けるからだ。
そして、もう1つは、この自分のことを美少女って言っちゃう残念幼なじみと一緒だからだ。
まあ、それを口に出すと殺されそうなので、
「楽しみだなあー、亜梨須とのデートー」
「まるっきり、棒じゃない!
はあ、もういいわよ……。
土曜日は、さっき言った時間に集合よ、
じゃあね、進、また明日」
「じゃあなー、また、明日ー」
そして俺達はお互いに自分の部屋に戻って行った。

***

部屋に帰ったあと俺は風呂に入り、
夕食を食べ、課題となっていた、数学のプリントを終わらせてから、ベッドの中に入った。

それにしても……土曜日は亜梨須とデートかあ……
デート……デート……デート……

あいつにデートに誘われた時、正直ドキッとした。亜梨須にはバレないようにしていたが。

・・・あいつ、見た目だけは可愛いんだよな。

って!俺は何考えてるんだよ!
相手はあの亜梨須だぞ!
オタクで傲慢で高飛車で……、
それに、本人には絶対には言ってやらないけど……、美少女で……。
実際すげえ、良い奴で……。

だから、俺は何を!

その日、俺の思考はそんな感じで亜梨須とのデートのことがループし続け……、
気づいた時には朝日が登っていた。

***
亜梨須side
私は部屋に戻ったあと、自分のベッドへ飛び込み……、

「(あぁ、もう!
何してるの!?私!?そりゃ、短冊にはデートしたいって書いたけど!
あれは今すぐって意味じゃなくて!
なのに、あの時、私の頭の中はデートのことでいっぱいになって……
それに、私誤魔化すために、変なこと沢山言っちゃったし……。
・・・・・・進、私とのデート、楽しみじゃないよね……。
そりゃ、そうよね……、無理やり、私が、嫌がる進を誘って行くんだし……。

うん、よし、決めた!
土曜日のデートは進と一緒に楽しむデートにする!
それで、進にも楽しいデートだと思ってもらって、一生のお互いの思い出にする!
今まで、ギャルゲーを沢山やってきた私なら進も攻略してみせるもん!

まずは、どんなシチュがいいかなぁ……)」

亜梨須は1人静かに土曜日のデートに燃えて、気づいたら朝日が昇ってきていた。







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