テンプレ幼なじみに俺は憧れを抱かない

九夜空猫

第7話 お誘い


あのクッキー事件(俺命名)から、1週間が過ぎた頃、

クラスは次なるイベントに向け、
盛り上がっていた。
そのイベントというのは職場体験である。

誰とどこの場所に行くだとか、自分の夢にもっとも近いところを選ぶやつ。
様々なやつがいた。

まあ、俺は余ったところなんで関係ありませんがね。


そんなことを考えていた放課後の帰る時、
左側から肩を優しく叩かれた。

左隣の妃愛蕾さんだ。

あのクッキー事件後、
とても、謝られた。
まあ、確かに個性的な味では、あったけど、そんなに気にすることないのに……。

そして、それ以来、微妙に気まずくなっていた。

「進くん、進くんはどこか行く場所決めた?」
「いや、特には。余ったところにするつもりだよ」
「そっかあ、進くんって将来なりたいものとかもう決まってる?」
「まあ、漠然とだが……。
将来は普通の会社に務めて、毎日馬車馬のようにこき使われると思っている」
うん、社畜になりたくないが、 
俺大学行く気もないし、ニートする金もない。
そのため、働くしかないんだよなあ。
「そ、そうなんだ」
なぜか、妃愛蕾さんが少し引いていた。

「妃愛蕾さんも特に行くとことか決まってないの?」
「私はもう決まったよー。
喫茶店で、職場体験をすることにしたんだー」
へえ、妃愛蕾さんはもう決めたのか。
そこで妃愛蕾さんが、少し声のボリュームを落として、

「あのさ、進くん……。
もし、良かったらなんだけど、進くん、私と一緒にこの体験先に行かない……?」
上目遣いで妃愛蕾さんが、俺のことを誘ってきました。
口には出せないけど、可愛い。
「別にそれはいいけど……。
俺、ほかのメンバーと上手く会話できるか、分からないよ? 
仲の良い人達ばっかりだったら、お邪魔するのは悪いしね」
まあ、正直喫茶店とか、接客業は俺はあまり、得意ではない。
そのうえ、あまり、喋れないクラスメートと一緒になっても、みんなの輪を乱すだけだろう。
ならば、俺は初めから参加するべきではない。
だから、俺は断ろうと思い、そう言った。

「ううん、大丈夫だよー。
進くんも知っている人だから。
実はね、ファミレスに行くことに、なっているメンバーって3人なんだけど、もう1人足りなかったの。
それでね、その、もう1人誰を誘おうかって時に、もう1人のメンバーの女の子が進くんならまだ決めてないと思うよって教えてくれたんだー」

俺にもう少し交友関係があれば、
そのメンバーのもう1人の女子が誰なのか分からなかっただろう。

しかし、俺の交友関係は本当に狭い。
そして、俺のそんなことまで知っている人物と言えば……、
「亜梨須か……」
そう、今は放課後の生徒会の仕事があって、このクラスにいない、俺の幼なじみの亜梨須しかいない。

「そうだよ!よく分かったねー。
亜梨須ちゃんから、進くんと幼なじみだって聞いてビックリしちゃった。
普段喋ってるところも見ないし」

「まあ、そうだな」
俺と亜梨須はたまにある亜梨須との昼食タイムを除いて、学校ではほとんど喋らない。

俺と亜梨須では、学校で住む場所が違いすぎるのだ。

「というわけで一緒に進くんも、喫茶店の職場体験に行かない?」

「うん、まあ、そういうことなら喜んで行かせてもらうよ」

まだ、接客業と言う不安が残るものの、
ほかの体験先でほとんど知らないクラスメートと体験するよりはよさそうだ。


「そっか! 
じゃあ、先生に伝えてくるねー」

そう言って、妃愛蕾さんは先生に伝えに行った。


 
あれ? 今思ったが、これ、また俺の例の美少女2人を二股している、陰キャ(二股以外はだいたいあっているため、強く否定はできない)って噂広まるじゃん……。

はあ……。
もう、断れねえよな……。
諦めるか……。







まあ、でも、その不安の多い職場体験を俺は少し楽しみに思っていた。

そのことは、亜梨須にも妃愛蕾さんにも秘密である。







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