テンプレ幼なじみに俺は憧れを抱かない

九夜空猫

第6.5話 調理実習(裏)

亜梨須side

今日は調理実習だ。
男子はパスタ作りで私たちはクッキー作り。

クッキーは1人で作ってもグループで作っても構わないみたいだったので、私は恵実花と一緒に作ることにした。

「ねえ、恵実花はなんのクッキー作りたい?」
「んー、プレーンのクッキーかなあ」
「―――恵実花、男子って何味のクッキーが好きだと思う?」
「あー、わかったよ。うーん、それでも、やっぱり、プレーンでいいと思うよ」
そっか、進もそっちの方がいいのかな……。
うん、プレーンにしよう。
「わかった。プレーンのクッキー作ろう!」
「はいはい、全く……分かりやすいんだから」
何か恵実花が言っていたようだけども、私にはもう聞こえていなかった。
このクッキーで私は進の心を鷲掴みにするのだ!
最近、生徒会の方が忙しくて、進との時間がただえさえ、減っているというのに、さらに鈴村さんが、よく進と喋っているので私が喋ろうとしても、話しかけずらかったのだ。

だからこそ、ここで挽回して進との距離を詰めなければいけない!

たぶん、今日の私は最もこの調理実習で気合いを入れていた。



***


「んー、もう焼けたかな?」
「そうだね、そろそろ取り出してよさそうだよ、亜梨須」
私は綺麗に焼けたクッキーをオーブンから取り出した。

1つ食べてみると、
「うん、美味しい!」
「そうだねー、美味しいねー。
たぶん、進君も喜んでくれるんじゃない? 」
「!?ケホッ、ケホッ! 恵実花!
別に、私、進のために、クッキー焼いているわけじゃないからね!? 」
「あー、うん、ごめん、ごめん、そうだねー」
「分かればいいのよ! 」
びっくりしたあ。私が進のこと好きなのを恵実花にバレてるんじゃないかと思った……。
まあ、そんなはずないんだけどね。

あとはこのクッキーを進に渡すだけ……。


***

「進!あんたにこれあげる! 」
進は……
「お、サンキュー、亜梨須」
す、進がありがとうって……。
ま、舞い上がるな!私!
「べ、別にあんたのために作ったわけじゃないからね!
ちょっと作りすぎちゃって余っただけなんだから!
勘違いしないでよね!」
よし!これで進は私が進のために使ったとは絶対に思わないはず!
そして、私はその場から逃げるようにして去った。
うぅ、やっぱり、恥ずかしいよぅ。
―――でも、進にクッキー渡せてよかった。


今日の夜はいい夢が見られそう。







***
妃愛蕾side

今日の調理実習で女子はクッキーを作る。
そして、私はこの前のお礼も兼ねて進くんに、クッキーを渡すつもりだった。

「(うーん、男の子ってどんなクッキーが好きなんだろう……。)」
「妃愛蕾さん、なにか悩み事?」
「ううん、別になんでもないから気にしなくてもいいよ!」
「そう?なら、いいのだけれど」
この娘は、1番仲のいい友達である、
橋本はしもと心音ここねさんだ。
私の前の席の娘で、初めは怖そうな人だと思っていたけれど、とても、いい人でした。
その後1番最初に仲良くなった同性の友達でもある。

「それにしても、なにを作ればいいかなあ……」

「作っているもので悩んでるなら、私と同じチョコチップスクッキーにする?」
チョコチップクッキー!
それなら、いいかもしれない!

「うん!一緒にそのクッキーにする!」
「わかったわ、じゃあ、一緒に作りましょ」
そうして、私と心音さんは一緒にチョコチップクッキーを作り始めた。

***
「ふう……。できたぁー」
「うん、綺麗に焼きあがってるわね」

うん!これなら、進くんも喜んでくれるはず!
それに、隠し味も入れて、栄養も満点だしね!


そして、授業の時間も終わり、

「心音ちゃん」
「ん、なに?」
「ちょっと、私クッキー渡してきたい人いるから、先に教室行ってていいよー」
「渡したい人って、天羽くん?」
「へ?なんでわかったの!?
心音ちゃんって、超能力者?」
心音ちゃん、人の心読めるんだ……。
凄いなあ。
「違うわよ。妃愛蕾たちのこと見てれば普通に分かるって……」
「そう?じゃあ、私、進くんにクッキー渡してくるね!」
「はーい、いってらしゃい」

そして、私は進くんの事を待ち伏せするために、第1調理室へと急いだ。


***

えへへ、ちゃんと、進くんに渡せてよかった。
進くんも喜んでくれたし。
じゃあ、私も、自分の食べようっと……。

!?これほんとに食べ物……?
あれれ、まずい……。
ほんとに、まずい……。
どうやら、私が、進くんの栄養を考えて
たくさん、入れたものがこの複雑な味を出しているらしかった。

―――待って!これ進くんに渡しちゃった!
今更、返してなんて言えないし……。

進くん!ごめんーー!!

私は人生で1番後悔した。


こうして、私、鈴村妃愛蕾の黒歴史が生まれたのであった。














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