テンプレ幼なじみに俺は憧れを抱かない

九夜空猫

第6話 調理実習

進side
妃愛蕾さんがこの学校に来てから、約1ヶ月が過ぎた。

彼女は最初こそ、転校生という雰囲気があったが、今ではクラスに馴染み、クラスの一員となった。

それに彼女、すでに、たくさんの友達が出来たみたいだ。
そして、彼女は今では学校の2大美少女(俺はつい最近まで知らなかった)の一角となっている。
あ、ちなみに、もう1人は俺の幼なじみである、亜梨須だ。

まあ、妃愛蕾さんのあの優しい性格でさらに顔も可愛ければそりゃ、2大美少女にも選ばれるだろう。

すでに何人もの生徒が妃愛蕾さんに告白して玉砕したらしい……。
お気の毒に。

まあ、そんな感じで、
梅雨に入った頃の事だった。

***
現在、俺は孤立している。

いや、元々だろって言われるかもしれないが。
今回は本当の意味で孤立している。

今、この時間はなんの時間かというと、調理実習である。
男子はパスタで、女子はもう1つの調理室で、クッキー作りだ。
まあ、普通のよくある授業だ。
しかし、ここで問題が。
それは、この先生の一言だった……、
「じゃあ、みなさん好きな人とグループを組んで4グループ組んでくださいー」
家庭科担当の齋藤さいとう先生はそういった。

好きなグループ……だと!?

この時俺は戦慄した。
なぜなら、うちのクラスの男子の人数は18人である。
そして、今日は1人田辺君(話したことは無い)が休んでいる。
つまり……、17÷4=4……余り1
余りが1人だけ出ているのである。

そして、俺が予期していた通り、案の定、俺は余った。
さて、ここからが地獄なのだ……。
1人余るのと2人余るのでは大きく違うのにお気づきだろうか?

実は普段、18人の時は6人ずつの3グループで、もう、だいたい入る場所も決まっているのでそんなに、困らないのだ。

しかし……、
今回は違う。

1人余りなのだ。

しかも、俺は最近、
妃愛蕾さんとよく一緒にいることで、主に男子たちから目の敵にされているのだ……。

ここは地獄でしょうか?


「あれれ、1人余ってますよー、
どこかに入れてあげてくださいー」

先生、それ、さらに俺辛いんですが……。

こんな状況で俺を入れてくれるところなんてあるはずも……、

「天羽、うちのグループに来ないか?」

いた!

一体だれが、俺の事を……、
俺が振り返り、そこにいたのは、
学内カーストの中でもかなり高いところにいて、俺でも知っているレベルの高橋 明 たかはし あきら君であった。
なぜ、彼が俺なんかを……、
と一瞬思いもしたが、渡りに船ということで、ご一緒させてもらうことにした。



「あ、うん。こちらこそ、お願いさせてもらうよ」

「グループ決まったようですねー。それじゃ、始めてください」


そうして、俺の調理実習は始まった。

***

調理実習は本当に楽なものだった。

高橋君は、料理も上手で、ほとんどすることが何も無かったのだ。
俺がしていたことと言えば、皿洗いぐらい。

出来上がったナポリタンはとても美味しかった。


そして、放課後……、
亜梨須からクッキーをもらった。
今回は、特に変なものを入れず、作ったようでとても美味しいプレーンのクッキーだった。
まあ、その亜梨須本人はなぜか、俺にクッキーを渡して、そのあと
「べ、別にあんたのために作ったわけじゃないからね!
ちょっと作りすぎちゃって余っただけなんだから!
勘違いしないでよね!」
と、そんなことを言い残し、顔を真っ赤にして、走り去っていった。

こちらはいつものテンプレ具合であった。
普通に渡したらいいのに……。
別に俺のためだなんて勘違いしてないしね……。
そんなんで、勘違いするのはラブコメ主人公ぐらいだっての。

あとは、妃愛蕾さんからもチョコチップクッキーをもらった。
まあ、こちらはパスタや亜梨須のクッキーを食べてお腹がいっぱいだったため、その場では食べず、後で寮に戻ってから食べることにした。


―――まあ、理由はそれだけじゃなく、貰った時に周りの男子の視線がめちゃくちゃ痛かったからでもあるからなんだけどね。



***

そして、寮に帰って、
妃愛蕾さんのクッキーを食べることにした。

「んじゃ、いただきますっと」

そして、俺は妃愛蕾さんのクッキーを口の中に入れた。

ガリっ!

え、今クッキーからしないはずの音が、
俺がそう思っている間に、舌がクッキーの味を感じ取り……

甘い、とてつもなく、甘い!
いや苦っ、辛!?酸っぱ!?しょっぱ!?また、また、甘i!?らtなgはやpふめ、ま。あtめのgbむてれpそtkなまむて7てこtめのほoてゆxゆめおのゆ)むnれ……。








***

気づいたら、俺は朝ベッドの中で横になっていた。

なぜか、頭が冴えわたっている。

それに、寝巻きへの着替えもしっかりと済ませていて、今日の学校の準備なんかもできている。

―――え、なぜに?
実は俺、昨日寝た時の記憶が全くない。
それどころか、着替えた記憶や、準備した記憶すら頭の中からすっぱりと抜けているのだ。
最後に覚えているのは妃愛蕾さんのクッキーを食べたところまで……。



「怖すぎるだろ!」
なんで、全部準備とか終わってるんだよ!?
ただ、まずいクッキー食べて、気絶したんならまだ分かる。
しかし、なんだこれ……。
なんで、記憶ないうちに全て出来てるんだよ……。

よし、これから妃愛蕾さんの手作りだというものには、絶対の警戒をすることにしよう。
そう、俺は固く決心をして、制服へと着替えるのであった。










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コメント

  • 空挺隊員あきち

    高橋明とか俺の名前と同じだわぁwww

    0
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