【村人】のジョブは可能性の塊!?成長チートで成り上がり!

クリフィ

第4話 邪魔と絶縁

 あのあと、孤児院のシスターを連れて、父さんのところに行き、事情を話した結果、孤児院のお金を横領していた役人は捕まった。
 小遣い稼ぎのつもりでやったらしい。もうちょっと考えれば、直ぐにバレるのは分かると思うんだが。
  そして、親父はアグリオス様にかなり褒められた。報告したとき、かなり激怒したらしい。
なんでも、

「そいつは、この私を血も涙もない人間にしようとしたのか!!」

と言っていたのこと。
 特に今、孤児院の改善を考えている途中だったらしいので、その役人は厳しい罰を与えられるのは確定だと、父さんは話していた。
 孤児院のレイだが、俺の特訓に付き合うようになった。パーティーの件も、【ジョブ】がよほど合わないようなものではない限り、了承をもらった。
 
「しかし、自分だけで鍛えたわりには筋が良いな。レイ君」

「一応、冒険者の人にやり方は教わった。スキルとった方が良いって言われたけど」

 庭でレイと組み手をしていた横で父さんが感想をこぼした。
 レイも満更でもないようだ。

「でも、レイがいて良かったよ。父さんとしか特訓出来なかったから、励みになるよ」

 模擬戦だって、父さんとのばっかりで良くはないと思っていたところだった。いまだに勝てないけど。
 
「俺も良かった。ラックさんに教えてもらえるし、お前との組み手は強くなっていることを実感できる」

そう言って拳を構えた。
続きをやろうというのだろう。俺も拳を構えた。
 その時、気が抜ける声が聞こえた。

 「あー、また喧嘩してる!ダメだよ。喧嘩したら!」

「ルビアナちゃん、危ないから入って来たらだめだぞ」

 ルビアナが俺とレイの間に割り込んできた。
父さんが注意しても聞かない。というか、注意したのは何十回になるのか。

「ルビアナ、これは喧嘩じゃない、特訓だって何度話せば分かるんだ。そして、邪魔だ。特訓が出来ないだろ。」

 この言葉も何回目になるんだろうか。いい加減なんとかならないのか。

「殴りあっていたら喧嘩だってお父さん言ってたもん。喧嘩だよ。だから、駄目!」

 ルビアナの父親もいい加減の事を言うなよ。
 本当に邪魔しかしないやつだな。

「父さん、この事、ルビアナの両親に話してよ。もううんざりだよ」

「そうだな。俺も非番になるのは少ないし、こう何度も邪魔されたらかなわない。今からでも行ってくる。すまないが、今日はここまでだ」

 父さんは、木剣を持ち家に返しに行った。
 俺はルビアナに振り返り、

「もういい加減、限界だ。幼馴染のよしみで付き合っていたけど、俺に付きまとうな。正直、お前の事大嫌いなんだ」

「そんな、ひどい!」

「ひどいのは、そっちだ。何度も言っても聞かないじゃないか。あと2年経てば、【ジョブ】を授かるんだぞ。それまでに準備するのは当然だろ?その準備の邪魔するのはひどくないのか?」

「?まだ、2年あるよ?それにお父さんとお母さんがいるもん!」

 こいつ、【ジョブ】を授かっても親のすねをかじるつもりなのか。それに、まだ2年じゃない、2年しかないの間違いだ。
 この世界だと、【ジョブ】を授かったら、半人前、12歳で一人前として扱われる。
 だから、12歳までに一人立ち出来るようにならなければ、落ちこぼれとか、臆病者とか呼ばれるようになる。
 この世界だと最低限戦えないと商人や職人でもきつい。魔物を倒してレベル上げが出来ないからだ。
 レベルが上がれば、スキルポイントが手に入り、必要なスキルを取るのがこの世界の常識だ。
 ルビアナの親も何を考えてこいつをほっといているんだか。

「やっぱり、お前と話してても時間の無駄だな。レイ、特訓出来なくなったし、冒険者ギルドに行かないか?どんな依頼があるか一度見てみたいんだ」

「そうだな、このまま帰っても一人で練習位しかないから、時間がある今に見に行く」

「待ってよ。私も行く!」

 俺達がルビアナを無視して冒険者ギルドに向かおうとしたが、またしても、前に立ちはだかる。
 
「だから、どっか行けよ。俺はお前とはいたくないんだ」

「なんで?幼馴染じゃない」

「話を聞いていたか?お前とは一緒にいたくないんだ。これ以上はぶん殴るぞ」

 真面目に対応しているこっちがバカらしくなってくる。
 これ以上、構っているのは本当に時間の無駄だな。

「レイ、こいつは放っておいて、さっさと行こう」

「あぁ」

「待ってよ!」

 ああ、邪魔だなぁ!ホントに!

「邪魔だ!どけ!」

 俺がそう言うとルビアナは後ずさり、泣きそうな顔をした。
 俺は、それを無視して家の中に入った。後ろから泣き声が聞こえるが、知ったことか!

「アスベル、さっきの横で見ていた俺も怖かった位ヤバかった」

 レイはそう言うが、これでも気が長いほうだ。ここ一年間、怒らずに諭していた俺をほめて欲しいぐらいだ。

「あいつにどんだけ迷惑掛けられたと思う?正直、殴っても、母さんでさえなにも言わないさ」

これで、縁がきれるなら願ったりだ。

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