一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
27 やった人。
強化されたゴワスには、私の攻撃が効かなかった。シャーンを下がらせ、何度も攻撃してみるも、自分の体の方が痛くなる。もう逃げようと後退すると、そこに知らない人が現れた。その人から箱が投げられ、私はそれを受け取らなかった。知らない人だし警戒していたから。箱からは靴が現れるのだが、そんなやり取りをしている間に、落ちた靴はゴワスに潰されてしまう。何か駄目そうだとシャーンを連れて逃げようとすると、またもあの女から靴が投げられた。手が塞がっている私はそれを受け取らずにいると、シャーンに説得されて履いてみることに。壁を歩いたりと速度が上がったりと、良さそうな靴だけど、実は失敗作だった。私はそれでも使いこなし、硬くなったゴワスを退治した…………
モモ (天使に選ばれた猫)
シャーイーン (王国の王子)
サルビア (魔道研究所の職員)
ゴワスを倒した私だけど、あの靴のあまりの急激な動きに体がちょっと痛くなっている。
靴の力がなくなり、止まった所でその靴をぶん投げた。
結局はあの靴の力で勝てたのだけど、暴走してただけかもしれない。
また勝手に走り始めたら十分止まれなくなってしまう。
そうしたらもっと足が痛くなるし、そんなのは嫌なのだ。
私はその場で大の字になって床に寝そべり、ちょっと休憩している。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「ん~、ちょっと足が痛いぞ。何か動きたくないから、ここでもうちょっと寝てたい」
「駄目だよお姉ちゃん、こんな所で寝てたら風邪ひいちゃうよ。お部屋にもどろうよ」
「お部屋か~、お布団はいいなぁ」
お布団で眠るのは気持ちがよく、その方がグッスリ眠れるかもしれない。
「分かった、私戻る。じゃあ行こうシャーン」
「うん!」
私は起き上がり部屋に帰ろうとするのだけど、遠くに居たさっきの女の人が走って来ていた。
一応助けてくれたから警戒はしないでおこう。
「お二人共待ってください。私の事を忘れているんじゃありませんか?! まずは自己紹介を聞いてください。私はこの魔道研究所で平の研究員をしていますサルビア・リンドウです。どうぞ宜しくお願いします」
「よろしくね、お姉さん! お姉ちゃんを助けてくれてありがとう!」
「あの靴は嫌だけど助かったぞ。ありがとう!」
「こちらこそありがとうございます! あの靴も役に立って嬉しく感じてくれているはずです! あっ、今いいことを思いつきました。あの靴を改修してモモさん専用装備にしようと思います。出来たらお送りしますので。ちゃんと履いてくださいね!」
「私嫌だ! 体が痛くなるからあの靴は履かないぞ!」
「大丈夫です、その辺りもバッチリ調整しますから。それにまた強敵が現れるかもしれません。その時には絶対必要になるでしょう。この靴は必須なんですよ!」
「お姉ちゃん、折角くれるっていうんだから貰っといたら? きっと使いやすく調整してくれるよ」
「う~ん、そうなのか? う~ん、じゃあ貰う~……」
「ああよかった、じゃあ早速調整してきますから、また今度持ってきますね。じゃあまたです!」
「うん、またねお姉さん!」
「またな!」
サルビアは靴を持って階段を走り上がって行く。
続いて私達も、部屋に戻ろうと、来た道を引き返して行ったのだった。
部屋の前にはアビゲイルさんが待ちわびていて、私達は部屋の扉を開けてもらい中に戻った。
「「ついたああああああ!」」
ちょっと早いけど、私とシャーンは自分のお布団にドーンと飛び込み、直ぐにグウグウと寝息を立てる。
朝までたっぷり眠って体力を回復させると、また何時も通りの日常が始まるかに思えた。
本を読んだり寝具を跳びはねて遊んだりとか、暇をつぶしているが、今日はちょっと変なのだ。
昨日は寝ちゃってたけど、夜ご飯も運んできてくれる気配がない。
今日にしてもそうで、何時もは直ぐに来るアビゲイルさんなのだけど、何時まで経ってもごはんを持って現れないのだ。
もう直ぐ昼になりそうだし、まさか忘れられているのでは?
私とシャーンのお腹がググゥと鳴っている。
「お姉ちゃん、僕お腹空いたよ」
「私もだシャーン、すごくお腹すいたぞ。何か食べたいなぁ。あの扉開けてみよう」
「鍵がかかってるから開かないと思うよ?」
「そうかなぁ」
私が扉に手を掛けると、重そうな扉が開いてしまった。
アビゲイルさんがキチンと閉めるのを忘れたのだろう。
「何か開いたぞシャーン。ご飯探しに行こ~!」
「えええええ、閉めるの忘れてたのかなぁ? う~ん、僕もご飯食べたいし、誰かに言って持って来てもらえば良いよね? じゃあ探検しよっか!」
「うん、ご飯探しの冒険だな!」
「「しゅっぱ~つ!」」
ご飯の為に部屋からとび出した私達は、この研究所の中を周って行く。
「お姉ちゃん、お台所はどこだろうね?」
「昨日は見当たらなかったな。まだ行ってないところかも? う~んと、昨日はあっちに行ったから、今度は逆側に行ってみようかな?」
「うん、そうしよ~!」
部屋を出て真っ直ぐ行って突き当りを左の道。
昨日進んだのとは逆側の、研究所の入り口方面に向かう道を歩く。
私達はお腹を鳴らしながらそちらに進み、食べ物を探している。
直ぐに誰かに会えるだろうと思ったのだけど、この中はシーンとしていた。
通路や部屋の中もガランとしていて、誰の気配も感じられない。
これではまるで、昨日の続きのようだ。
でもそれより、私はお腹がへっている。
ちょっとでもいいから何か口に入れたい。
お菓子でもないかと部屋の中をゴソゴソと漁るが、変な紙の束しか出て来ない。
チラリとみると、シャーンがどうとか書いてある。
これを読み上げることもできるけど、そんな事をしている暇はないのだ。
お腹の音が急げと言ってる。
私達は開けられる所を全部開けて、部屋を幾つも回り、やっとの事でお菓子を探し当てた。
「お姉ちゃん、ここお菓子があったよ!」
「お菓子!」
机の引き出しには、カステラ状の丸いお菓子が何個か皿に乗っている。
他にもキャンディーとかチョコレートが塗ってあるパンとか、かじりかけのサンドウィッチ等。
ここの机の人はそうとうに食いしん坊なのだろう。
お腹がへってる私はサンドウィッチに手を伸ばす。
「美味いなこれ! シャーンも食べろ!」
私に続き、シャーンも置いてある物に手を伸ばす。
「うん、美味しいね」
私達はそれを食べてお腹を満たし、部屋にでも戻ろうかと考えたのだけど、この部屋に何者かが近づいて来ている。
もうちょっと食べられるから、食料のありかを聞きたいところだ。
向かって来る人物を待ち、私達はキャンディーを舐めていた。
部屋の扉が開けられると、やって来た人物の顔が見える。
靴を持って来たサルビアという女性だ。
「クッ、やっと見つけたわよ! あの部屋からどうやって出たのか知らないけれど、私の机を探ったりと、こそこそと嗅ぎ回っていたらしいわね! その様子だともう気付いているのでしょう。全ては私の計画だったと!」
私とシャーンはよく分からなかったけど、勝手にサルビアが喋りはじめた。
「始まりはそう、偶然に発見した青の物質を見つけてしまったから。もうご存知なんですよね? 動物を青化させる妙な物質を、私は人で試したくなったのです」
別に何も言ってないのだけど、話しは続くらしい。
「でも勘違いしないでください。密に被験者を探す為、食事に薬を盛ったのだけど、シャーン王子に当たったのはただの偶然です。あれはお菓子をつまみ食いした王子が悪いのです! 自業自得というものなのです。私の所為ではありません!」
「そうなのかシャーン?」
「う~ん、つまみ食いはたまにしているけど、そうなのかなぁ? よくわかんない」
「今更とぼけなくてもいいじゃありませんか。王子が被験者になったのは想定外でしたが、きちんと見守っていたのですよ。なるべく安全には気を使い、青化した人達は速やかに隔離したりして手を回したり。あの靴の時だって助けた人に偽装して貸して助けに来たじゃありませんか! でもまさか二十人が協力して逃げるとは思っていませんでした。あれは本当に誤算でした」
つまり、シャーンが変になってるのもこの人が原因なんだろう。
倒した方が良いのだろうか?
「王族にこんなことをしたと知れれば、私の首が飛ぶのも確実でしょうか。きっと逃げても、何をしてもお尋ね者になるでしょう。こうなれば仕方がありません! わざとじゃないんです! 王子、謝りますから許してください! この通りです!」
サルビアが頭を下げて謝っている。
一応反省はしているのだろう。
「う~ん、どうするんだシャーン?」
「お姉さん、僕の体を直してくれるのなら許してもいいよ」
「も、もちろんでございます王子、体の事は確実に治して御覧に入れます! このサルビア、王子の優しさに触れて感銘を受けました。これからは奴隷のようにこき使ってください! 靴を舐めろと言われれば即座にお舐めしますよ!」
なんか変なところで真実を知ってしまった。
それはまあいいんだけれど、人が居ないのもサルビアの所為なのだろうか?
そのあたりも聞いてみることにしよう。
モモ (天使に選ばれた猫)
シャーイーン (王国の王子)
サルビア (魔道研究所の職員)
ゴワスを倒した私だけど、あの靴のあまりの急激な動きに体がちょっと痛くなっている。
靴の力がなくなり、止まった所でその靴をぶん投げた。
結局はあの靴の力で勝てたのだけど、暴走してただけかもしれない。
また勝手に走り始めたら十分止まれなくなってしまう。
そうしたらもっと足が痛くなるし、そんなのは嫌なのだ。
私はその場で大の字になって床に寝そべり、ちょっと休憩している。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「ん~、ちょっと足が痛いぞ。何か動きたくないから、ここでもうちょっと寝てたい」
「駄目だよお姉ちゃん、こんな所で寝てたら風邪ひいちゃうよ。お部屋にもどろうよ」
「お部屋か~、お布団はいいなぁ」
お布団で眠るのは気持ちがよく、その方がグッスリ眠れるかもしれない。
「分かった、私戻る。じゃあ行こうシャーン」
「うん!」
私は起き上がり部屋に帰ろうとするのだけど、遠くに居たさっきの女の人が走って来ていた。
一応助けてくれたから警戒はしないでおこう。
「お二人共待ってください。私の事を忘れているんじゃありませんか?! まずは自己紹介を聞いてください。私はこの魔道研究所で平の研究員をしていますサルビア・リンドウです。どうぞ宜しくお願いします」
「よろしくね、お姉さん! お姉ちゃんを助けてくれてありがとう!」
「あの靴は嫌だけど助かったぞ。ありがとう!」
「こちらこそありがとうございます! あの靴も役に立って嬉しく感じてくれているはずです! あっ、今いいことを思いつきました。あの靴を改修してモモさん専用装備にしようと思います。出来たらお送りしますので。ちゃんと履いてくださいね!」
「私嫌だ! 体が痛くなるからあの靴は履かないぞ!」
「大丈夫です、その辺りもバッチリ調整しますから。それにまた強敵が現れるかもしれません。その時には絶対必要になるでしょう。この靴は必須なんですよ!」
「お姉ちゃん、折角くれるっていうんだから貰っといたら? きっと使いやすく調整してくれるよ」
「う~ん、そうなのか? う~ん、じゃあ貰う~……」
「ああよかった、じゃあ早速調整してきますから、また今度持ってきますね。じゃあまたです!」
「うん、またねお姉さん!」
「またな!」
サルビアは靴を持って階段を走り上がって行く。
続いて私達も、部屋に戻ろうと、来た道を引き返して行ったのだった。
部屋の前にはアビゲイルさんが待ちわびていて、私達は部屋の扉を開けてもらい中に戻った。
「「ついたああああああ!」」
ちょっと早いけど、私とシャーンは自分のお布団にドーンと飛び込み、直ぐにグウグウと寝息を立てる。
朝までたっぷり眠って体力を回復させると、また何時も通りの日常が始まるかに思えた。
本を読んだり寝具を跳びはねて遊んだりとか、暇をつぶしているが、今日はちょっと変なのだ。
昨日は寝ちゃってたけど、夜ご飯も運んできてくれる気配がない。
今日にしてもそうで、何時もは直ぐに来るアビゲイルさんなのだけど、何時まで経ってもごはんを持って現れないのだ。
もう直ぐ昼になりそうだし、まさか忘れられているのでは?
私とシャーンのお腹がググゥと鳴っている。
「お姉ちゃん、僕お腹空いたよ」
「私もだシャーン、すごくお腹すいたぞ。何か食べたいなぁ。あの扉開けてみよう」
「鍵がかかってるから開かないと思うよ?」
「そうかなぁ」
私が扉に手を掛けると、重そうな扉が開いてしまった。
アビゲイルさんがキチンと閉めるのを忘れたのだろう。
「何か開いたぞシャーン。ご飯探しに行こ~!」
「えええええ、閉めるの忘れてたのかなぁ? う~ん、僕もご飯食べたいし、誰かに言って持って来てもらえば良いよね? じゃあ探検しよっか!」
「うん、ご飯探しの冒険だな!」
「「しゅっぱ~つ!」」
ご飯の為に部屋からとび出した私達は、この研究所の中を周って行く。
「お姉ちゃん、お台所はどこだろうね?」
「昨日は見当たらなかったな。まだ行ってないところかも? う~んと、昨日はあっちに行ったから、今度は逆側に行ってみようかな?」
「うん、そうしよ~!」
部屋を出て真っ直ぐ行って突き当りを左の道。
昨日進んだのとは逆側の、研究所の入り口方面に向かう道を歩く。
私達はお腹を鳴らしながらそちらに進み、食べ物を探している。
直ぐに誰かに会えるだろうと思ったのだけど、この中はシーンとしていた。
通路や部屋の中もガランとしていて、誰の気配も感じられない。
これではまるで、昨日の続きのようだ。
でもそれより、私はお腹がへっている。
ちょっとでもいいから何か口に入れたい。
お菓子でもないかと部屋の中をゴソゴソと漁るが、変な紙の束しか出て来ない。
チラリとみると、シャーンがどうとか書いてある。
これを読み上げることもできるけど、そんな事をしている暇はないのだ。
お腹の音が急げと言ってる。
私達は開けられる所を全部開けて、部屋を幾つも回り、やっとの事でお菓子を探し当てた。
「お姉ちゃん、ここお菓子があったよ!」
「お菓子!」
机の引き出しには、カステラ状の丸いお菓子が何個か皿に乗っている。
他にもキャンディーとかチョコレートが塗ってあるパンとか、かじりかけのサンドウィッチ等。
ここの机の人はそうとうに食いしん坊なのだろう。
お腹がへってる私はサンドウィッチに手を伸ばす。
「美味いなこれ! シャーンも食べろ!」
私に続き、シャーンも置いてある物に手を伸ばす。
「うん、美味しいね」
私達はそれを食べてお腹を満たし、部屋にでも戻ろうかと考えたのだけど、この部屋に何者かが近づいて来ている。
もうちょっと食べられるから、食料のありかを聞きたいところだ。
向かって来る人物を待ち、私達はキャンディーを舐めていた。
部屋の扉が開けられると、やって来た人物の顔が見える。
靴を持って来たサルビアという女性だ。
「クッ、やっと見つけたわよ! あの部屋からどうやって出たのか知らないけれど、私の机を探ったりと、こそこそと嗅ぎ回っていたらしいわね! その様子だともう気付いているのでしょう。全ては私の計画だったと!」
私とシャーンはよく分からなかったけど、勝手にサルビアが喋りはじめた。
「始まりはそう、偶然に発見した青の物質を見つけてしまったから。もうご存知なんですよね? 動物を青化させる妙な物質を、私は人で試したくなったのです」
別に何も言ってないのだけど、話しは続くらしい。
「でも勘違いしないでください。密に被験者を探す為、食事に薬を盛ったのだけど、シャーン王子に当たったのはただの偶然です。あれはお菓子をつまみ食いした王子が悪いのです! 自業自得というものなのです。私の所為ではありません!」
「そうなのかシャーン?」
「う~ん、つまみ食いはたまにしているけど、そうなのかなぁ? よくわかんない」
「今更とぼけなくてもいいじゃありませんか。王子が被験者になったのは想定外でしたが、きちんと見守っていたのですよ。なるべく安全には気を使い、青化した人達は速やかに隔離したりして手を回したり。あの靴の時だって助けた人に偽装して貸して助けに来たじゃありませんか! でもまさか二十人が協力して逃げるとは思っていませんでした。あれは本当に誤算でした」
つまり、シャーンが変になってるのもこの人が原因なんだろう。
倒した方が良いのだろうか?
「王族にこんなことをしたと知れれば、私の首が飛ぶのも確実でしょうか。きっと逃げても、何をしてもお尋ね者になるでしょう。こうなれば仕方がありません! わざとじゃないんです! 王子、謝りますから許してください! この通りです!」
サルビアが頭を下げて謝っている。
一応反省はしているのだろう。
「う~ん、どうするんだシャーン?」
「お姉さん、僕の体を直してくれるのなら許してもいいよ」
「も、もちろんでございます王子、体の事は確実に治して御覧に入れます! このサルビア、王子の優しさに触れて感銘を受けました。これからは奴隷のようにこき使ってください! 靴を舐めろと言われれば即座にお舐めしますよ!」
なんか変なところで真実を知ってしまった。
それはまあいいんだけれど、人が居ないのもサルビアの所為なのだろうか?
そのあたりも聞いてみることにしよう。
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