一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
48 ハッピーエンドでいいのかよ? バベルの制服者編(END)
ダムキナという兵器が爆発し、また空中で合体すると、その姿が小さく変わっている。紅玉を輝かせた天使は俺に襲い掛かって来たのだった。硬く速く強いその天使と戦わされ、何とか弱点を探ろうと動きを見定める。顔についている紅玉が怪しいと壊して見るが、何の変化も見られなかった。胸の部分も壊して見るが、やはり変化は見られない。紅玉以外にはあやしい所は見つからず、全部の紅玉を破壊してみるこになる。破壊を続けるとその動きが鈍くになっていく。だが不利と見たマスティアが戦いに参戦し、こちらの方が不利に。俺は紅玉の天使に狙いを絞り、全ての紅玉を破壊した。その天使が完全に停止すると、マスティアが新たな動きを見せる。その紅玉の天使と合体をはたし、パワーアップしたのだ。しかし、背が縮んでしまっているマスティアでは満足に動く事が出来ず、俺に叩き落とされるのだった…………
べノムザッパー(無力となったマスコット)
ベリー・エル (無口な女)
バール (女好きの馬鹿)
黒井明(メイ)(振られ男)
ダルタリオン (戦い好きな元上官)
ランツ (制御不能野郎)
マスティア (塔の天使)
空から落ちたマスティアだが、床でウネウネと動き続けている。
結構な高さから落ちたというのに、特に怪我もしていないらしい。
頑丈過ぎて嫌になりそうだが、今の内に縛っとくとしようか。
「おい、出来ないと思うが抵抗はするなよ」
「私に酷い事する気なのですね! いいでしょう、では恋人になってくださいです!」
「しねぇしならねぇよ!」
俺は誰かが置いていった建築資材用のロープを使い、天使マスティアを厳重に縛り付けた。
さて、それは良いんだが、この天使はどうするべきだろうか。
少し残っていた男共も、爆発したり光線を撃たれたりと、危険だからと逃げてしまっている。
もうこれでは誰かに押し付ける事もできない。
元の塔にでも捨てて来たい所だが、この場所を知ってしまった天使が、暇だからという理由で来る可能性はかなり高い。
そんな事を思いながらマスティアを見つめていると、天使も俺を見つめ返している。
「恋人になるですか?」
「だからならねぇよ! というか俺だ、気付けよ!」
「? 誰です?」
俺の事を分かっていない様だ。
戦ってる間も変身したままだったから分からないのだろう。
口調まで変えていた俺が馬鹿みたいだが仕方がない。
俺は魔法を解いて本物の体をあらわした。
「これでわかっただろうが、俺だ俺」
「あ、あなたは……黒い人!」
「べノムだ、べノムって言うんだよ。まあ覚えとけや!」
「つまりあなたは妻が居ると言っているのに、この私の体を貪りたいと言うんです?」
「ちげぇよ、さっきのは冗談だ! 兎に角この国で妙な事をされちゃあ困るんだよ! この国に居たいのなら大人しくしとくんだな!」
「ですが私は恋人が欲しいのです。誰か一人でも……貴方恋人になるですか?」
「何度言わせるんだ、ならねぇて言ってんだろ!」
駄目だ、こんな奴と話していても何にも話しが進まねぇ。
一度王の元に連れて行って、この女の処遇を決めて貰うとしよう。
俺はロープを掴み持ち上げようとするんだが、この鎧を着こんでいる天使は圧倒的に重かったのだ。
力を入れて持ち上げようとしても、サッパリ持ち上がってくれないのである。
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ、重いんだよコラァ!」
「何を言ってるのですか。女の子には軽いというものなんですよ! まったく、女心というものを分かっていないのですね。奥さんにも逃げられてしまうのですよ?」
「うっせぇ! そんな馬鹿みたいに重い物着てるからだろうが! もういい、誰か呼んで来てやるからそのまま待っていやがれ!」
「ロープを解いてくれれば脱げるのですよ」
「駄目だ、そのまま待っていろ!」
そう言って俺は人手を探す為に、この建物から飛び出して行った。
あの荷物を王城まで運ぶとなると、相当に力があるやつが必要である。
無駄に人数を集めるのもなんだと、一番力がありそうなグラビトンを呼び寄せた。
グラビトンとは、町の正門で門番をしている男である。
青い鎧の様な体と、三メートルはある体躯、普通に巨人といってもいいぐらいの大きさだ。
一度は暴走して門の前に佇んでいたのだが、最近復帰して門番に復帰した様である。
門番の仕事を投げ出す訳にはいかないと色々拒否していたが、天使の事を教えてやると簡単に頷きやがった。
「門番は重要な仕事だ。しかし他ならぬお前の頼みとあらば、私も手を貸さねばならぬな! さあその天使という可愛らしいその人の元に案内をしてくれ!」
と言って明らかに嬉しそうである。
まさかこいつも天使の恋人になりたいとか言うんじゃねぇだろうな?
兎に角こいつの気持ちがどうであれ、今はその力を頼るとしよう。
俺達は天使を置いてきた建物に向かい、縛り上げた天使を運ぶのだった。
王城の玉座の間、俺達が、というかグラビトンが一人で天使を運び、王の座るその足元に天使を転がしている。
今その天使は、芋虫のようにウネウネしていた。
それを見て怒りが収まったのか、イモータル様は穏やかな表情を取り戻していた。
「さて天使マスティアさんと言いましたね? 貴女の行動はこの国の為にはなりません、妙なことを考えるのはやめて欲しいのですが」
「貴女がこの国の王ですか? ですが私は別に悪い事はしていませんですよ。ただちょっと恋人を募集しただけなのです」
「恋人が欲しいのなら一人にしてください! これ以上人民を惑わせようとするなら、それなりの対処を考えますからね!」
「じゃあ私に恋人をください!」
「じゃあ是非この私が!」
早速手を上げたのは、やっぱりグラビトンだった。
もしかしたら天使の呼びかけに答えなかったことを後悔しているのかもしれない。
女でも紹介してやれば良かったかと思いもしたが、俺の周りにはあんまり紹介できるような女はいない。
まあこれで上手く行ってくれれば丁度良いんじゃないだろうか。
「では貴方は私の恋人になるのですよ! さあ私に契約の口付けを…………」
「来たあああああああああああああああ!」
「うるせぇから耳元で叫ぶなよ!」
もう世界が滅んでも良いというような、グラビトンの叫びが城内に響き、そのまま二人が契約のキスをして恋人になったらしい。
結局この天使は背が高ければ誰だっていいんだろう。
「ではお二人共お幸せに。もう王国に迷惑をかけないでくださいね?」
「当然でございます! これからは我等夫婦が手を取り合ってこの国の為に暮らして行きたいと存じます!
「夫婦じゃなくて恋人なのですよ? 分かってますですか?」
グラビトンはこの機を逃さないようにと、随分必死になっている。
だがいいのかグラビトン、その女は八方美人どころか千方を向く奴だぞ?
今後浮気されないように気を付けてくれと思いつつ、この物語がハッピーエンドか分からない感じで幕を閉じたのだった。
END
べノムザッパー(無力となったマスコット)
ベリー・エル (無口な女)
バール (女好きの馬鹿)
黒井明(メイ)(振られ男)
ダルタリオン (戦い好きな元上官)
ランツ (制御不能野郎)
マスティア (塔の天使)
空から落ちたマスティアだが、床でウネウネと動き続けている。
結構な高さから落ちたというのに、特に怪我もしていないらしい。
頑丈過ぎて嫌になりそうだが、今の内に縛っとくとしようか。
「おい、出来ないと思うが抵抗はするなよ」
「私に酷い事する気なのですね! いいでしょう、では恋人になってくださいです!」
「しねぇしならねぇよ!」
俺は誰かが置いていった建築資材用のロープを使い、天使マスティアを厳重に縛り付けた。
さて、それは良いんだが、この天使はどうするべきだろうか。
少し残っていた男共も、爆発したり光線を撃たれたりと、危険だからと逃げてしまっている。
もうこれでは誰かに押し付ける事もできない。
元の塔にでも捨てて来たい所だが、この場所を知ってしまった天使が、暇だからという理由で来る可能性はかなり高い。
そんな事を思いながらマスティアを見つめていると、天使も俺を見つめ返している。
「恋人になるですか?」
「だからならねぇよ! というか俺だ、気付けよ!」
「? 誰です?」
俺の事を分かっていない様だ。
戦ってる間も変身したままだったから分からないのだろう。
口調まで変えていた俺が馬鹿みたいだが仕方がない。
俺は魔法を解いて本物の体をあらわした。
「これでわかっただろうが、俺だ俺」
「あ、あなたは……黒い人!」
「べノムだ、べノムって言うんだよ。まあ覚えとけや!」
「つまりあなたは妻が居ると言っているのに、この私の体を貪りたいと言うんです?」
「ちげぇよ、さっきのは冗談だ! 兎に角この国で妙な事をされちゃあ困るんだよ! この国に居たいのなら大人しくしとくんだな!」
「ですが私は恋人が欲しいのです。誰か一人でも……貴方恋人になるですか?」
「何度言わせるんだ、ならねぇて言ってんだろ!」
駄目だ、こんな奴と話していても何にも話しが進まねぇ。
一度王の元に連れて行って、この女の処遇を決めて貰うとしよう。
俺はロープを掴み持ち上げようとするんだが、この鎧を着こんでいる天使は圧倒的に重かったのだ。
力を入れて持ち上げようとしても、サッパリ持ち上がってくれないのである。
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ、重いんだよコラァ!」
「何を言ってるのですか。女の子には軽いというものなんですよ! まったく、女心というものを分かっていないのですね。奥さんにも逃げられてしまうのですよ?」
「うっせぇ! そんな馬鹿みたいに重い物着てるからだろうが! もういい、誰か呼んで来てやるからそのまま待っていやがれ!」
「ロープを解いてくれれば脱げるのですよ」
「駄目だ、そのまま待っていろ!」
そう言って俺は人手を探す為に、この建物から飛び出して行った。
あの荷物を王城まで運ぶとなると、相当に力があるやつが必要である。
無駄に人数を集めるのもなんだと、一番力がありそうなグラビトンを呼び寄せた。
グラビトンとは、町の正門で門番をしている男である。
青い鎧の様な体と、三メートルはある体躯、普通に巨人といってもいいぐらいの大きさだ。
一度は暴走して門の前に佇んでいたのだが、最近復帰して門番に復帰した様である。
門番の仕事を投げ出す訳にはいかないと色々拒否していたが、天使の事を教えてやると簡単に頷きやがった。
「門番は重要な仕事だ。しかし他ならぬお前の頼みとあらば、私も手を貸さねばならぬな! さあその天使という可愛らしいその人の元に案内をしてくれ!」
と言って明らかに嬉しそうである。
まさかこいつも天使の恋人になりたいとか言うんじゃねぇだろうな?
兎に角こいつの気持ちがどうであれ、今はその力を頼るとしよう。
俺達は天使を置いてきた建物に向かい、縛り上げた天使を運ぶのだった。
王城の玉座の間、俺達が、というかグラビトンが一人で天使を運び、王の座るその足元に天使を転がしている。
今その天使は、芋虫のようにウネウネしていた。
それを見て怒りが収まったのか、イモータル様は穏やかな表情を取り戻していた。
「さて天使マスティアさんと言いましたね? 貴女の行動はこの国の為にはなりません、妙なことを考えるのはやめて欲しいのですが」
「貴女がこの国の王ですか? ですが私は別に悪い事はしていませんですよ。ただちょっと恋人を募集しただけなのです」
「恋人が欲しいのなら一人にしてください! これ以上人民を惑わせようとするなら、それなりの対処を考えますからね!」
「じゃあ私に恋人をください!」
「じゃあ是非この私が!」
早速手を上げたのは、やっぱりグラビトンだった。
もしかしたら天使の呼びかけに答えなかったことを後悔しているのかもしれない。
女でも紹介してやれば良かったかと思いもしたが、俺の周りにはあんまり紹介できるような女はいない。
まあこれで上手く行ってくれれば丁度良いんじゃないだろうか。
「では貴方は私の恋人になるのですよ! さあ私に契約の口付けを…………」
「来たあああああああああああああああ!」
「うるせぇから耳元で叫ぶなよ!」
もう世界が滅んでも良いというような、グラビトンの叫びが城内に響き、そのまま二人が契約のキスをして恋人になったらしい。
結局この天使は背が高ければ誰だっていいんだろう。
「ではお二人共お幸せに。もう王国に迷惑をかけないでくださいね?」
「当然でございます! これからは我等夫婦が手を取り合ってこの国の為に暮らして行きたいと存じます!
「夫婦じゃなくて恋人なのですよ? 分かってますですか?」
グラビトンはこの機を逃さないようにと、随分必死になっている。
だがいいのかグラビトン、その女は八方美人どころか千方を向く奴だぞ?
今後浮気されないように気を付けてくれと思いつつ、この物語がハッピーエンドか分からない感じで幕を閉じたのだった。
END
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