一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
39 そこを殴るのはマジでヤメロ!
扉の奥で罠の作り出した俺は、成功したのか確かめる為に部、屋の外に飛び出していた。罠の場所経向かった俺は、その罠を踏み込んでみるものの、毎回鳴っていた音は鳴らなかった。だが罠自体の発動は成功し、俺の体は一つ前の巨大な物へ戻ったらしい。これなら戻れるんじゃないかともう一度部屋に戻り、同じ罠を二つ設置してみるのだが、その罠を踏んでももう一つ前の状態には戻らず、再び同じ姿へと戻ってしまう。この罠では駄目だと拡大の罠を踏み込み、天井に突く程の身長となるが、もう一つの罠で後少しのところまで身長が戻っている。俺の騒がしさにあの天使が起きてしまい、バールを襲っているのだが、俺はそれを放って、残りの罠に向かいだした。だがバールを仕留めた天使は、標的を変えて俺に向かって跳びかかる。本当にギリギリの所で、俺の体は巨大化したのだった…………
べノムザッパー(無力となったマスコット)
ベリー・エル (無口な女)
バール (女好きの馬鹿)
黒井明(メイ)(振られ男)
ダルタリオン (戦い好きな元上官)
ランツ (制御不能野郎)
マスティア (塔の天使)
「なんか大変な事になってますけど、僕達は行かなくても良いんでしょうか?」
「うむ、関わっても碌な事にはならんからな。ほとぼりが冷めるまでワシ等は離れておればいい。巻き込まれたいと言うのなら止めはしないがな」
「…………うん」
「ふぁいやふぁいや!」
スイッチを押してかなりの巨大さになった俺は、この階層で立てるレベルではなくなっている。
天井を突き抜けるぐらいならまだいいが、たぶんこの硬い素材で頭の方がやられそうだ。
そして大きくなったからこそ、少し遠くの仲間達の声も聞こえてきていた。
巨大化してしまった俺は今直ぐに体を戻したい所だが、それを出来ない理由がある。
「この私にあれ程の事をして置いて、許されると思っているのですか! 天使の名において地獄に送ってあげるのですよ!」
もう止まらなくなって怒り狂ったあの天使は、巨大になった俺の脚の先から、激しい打撃を続けていた。
本当なら一発でダウンしそうな威力なんだろうが、今の俺にはそこまで効いてはいない。
このまま暫く待って、彼女の怒りが収まるのを待った方がいいだろう。
そう、俺は安心していたのだ。
デカくなった分、防御力も桁違いに上がっているから。
「!」
「巨大化して防御力を上げたですか! だったら防御の無い場所に移動するのみです!」
もう来るなら来いといった所だったのだが、状況は悪い方向に流れているらしい。
女の天使マスティアは足の先から段々二本の足の間に侵入し、俺の足を殴りながら進み始めた。
膝の辺りの骨の辺りはかなりの痛みが走るのだが、問題はそこではない。
このまま進んで行ってっしまえば、どう考えても行きつく先に行ってしまうのだ。
そしてそこにある物体といえば、誰もが知ってる男の急所である。
女には分からないと思うが、あれの防御力は尋常じゃないほどに低いのだ。
例えどれ程の大きさとなったとしても、さほど変わりはしないだろう。
ハッキリ言ってそんな物を殴られてしまえば、この大きさであったとしても悶絶はまぬがれない。
それはどうしても避けなければならない!
今後の生活も危なくなるかもしれないし!
もう急いで対策をしたいが、このまま足を閉じたり、腕で掴みに行くのも不味い。
さっき地面を叩いた時もそうなのだが、力加減が難しいのだ。
下手をしたら、それでプチっと潰しかねない。
「流石にそれは勘弁だ! 俺はもう逃げさせてもらうぜ!」
「誰が逃がすものか! 大人しく天罰を受けて地獄で成仏するのです! 了承してくれるのであれば、私が気の済むまで殴った後に、優しく埋めて差し上げるのですよ!」
「絶ッ対嫌だわ!」
やはり彼女も追って来るが、今は狙われないように逃げるしかないだろう。
俺は足の指で地面を掴み、体を浮かせて前進を始めた。
別にそう遠くまで移動するつもりはなく、俺が移動する場所は決まっているのだ。
それは俺が元に戻る為の、最後の罠がある場所だ。
スピードも相当上がっているから、五秒もすれば到着するはずである。
しかし、あの女は俺の足を掴み、しっかりと前に進んで来ていたのだ。
もう罠も見え、手を伸ばして押そうとしたが、俺のある部分から圧倒的な電流が流れだした。
「はぐあああああああああああああ!」
「天罰天罰天罰天罰! 天罰ううううううううううう!」
もう分かるだろう。
俺がその手を伸ばす前に、あの場所を殴りつけられていたのだ。
それも一撃ではなく、何度も何度も殴って来ている。
もう浮く事もできないくらいの極限の痛みが、俺の体中を支配してしまっている。
というか普通に落ちて勢いで滑ってしまっていた。
だがそれが幸いし、痺れて動けない俺の体が滑り、最後の罠が触れたのだ。
体はドンドンと縮みあがり、気が付いた時には一番最初の元の体へと戻っていたらしい。
俺が縮んでしまったからか、天使マスティアの攻撃も止んでいる。
だが俺は、尻を突き出して無様な格好で四つん這いとなり、もう攻撃されないようにと股間に手を添えていた。
恰好悪いのも分かってはいるのだが、どうにも仕方がないのである。
その後、何分間の沈黙の末に、俺はその痛みから立ち直ったのだった。
「諦めた……か?」
まだ痛む股間を押さえ立ち上がった時、あの天使の姿は見えなくなっていた。
もう満足して消えたのかと思ったが、どうもそうではないらしい。
周りを確認すると小さな天使が浮いていて、それが先ほどの天使と同じ人物だと気づいてしまう。
俺の触った罠に巻き込まれて、その体が縮んでしまっているらしい。
今彼女は何かが起こっていると、周りを見返している。
「これは……まさか巻き込まれたのですか?! 何故、この階層にはまだ罠は無かったはずなのに。天使のこの私には効かないはずなのに?!」
俺と一緒に縮んだ為か、今やっと自分の状況を理解したようだ。
少し動揺しているが、やるべき事を決めたらしい。
天使マスティアは、あの扉の中の部屋の中へ向かって行く。
罠の地図でも確認するのかもしれない。
だが残念な事に、その地図は俺の懐にあったりする。
もし場所を忘れてしまった時の為にと持って来ていたのだ。
もうあんな天使は放っておいて、帰ってしまえばいいだけだった。
それでも一応俺も経験者で、体が戻らない苦しみは分かっている。
「はぁ、結構酷い目に遭わされたが、一応俺にも非は有る。助けてやるか」
天使を追い掛け部屋の中へと入ってみると、落ちているのか置いてあるのか分からないヌイグルミを投げ捨て、天使は地図とスイッチを探していた。
蹴られたり殴られたりした分、もう少し見学してやってもいいんだが、また怒り出す前にわたしてやるとしよう。
俺は部屋の中を散らかす天使に声を掛けた。
「おいそこの天使、お前の探し物はこれか?」
天使は振り向き、俺の手に持っている地図を見ている。
べノムザッパー(無力となったマスコット)
ベリー・エル (無口な女)
バール (女好きの馬鹿)
黒井明(メイ)(振られ男)
ダルタリオン (戦い好きな元上官)
ランツ (制御不能野郎)
マスティア (塔の天使)
「なんか大変な事になってますけど、僕達は行かなくても良いんでしょうか?」
「うむ、関わっても碌な事にはならんからな。ほとぼりが冷めるまでワシ等は離れておればいい。巻き込まれたいと言うのなら止めはしないがな」
「…………うん」
「ふぁいやふぁいや!」
スイッチを押してかなりの巨大さになった俺は、この階層で立てるレベルではなくなっている。
天井を突き抜けるぐらいならまだいいが、たぶんこの硬い素材で頭の方がやられそうだ。
そして大きくなったからこそ、少し遠くの仲間達の声も聞こえてきていた。
巨大化してしまった俺は今直ぐに体を戻したい所だが、それを出来ない理由がある。
「この私にあれ程の事をして置いて、許されると思っているのですか! 天使の名において地獄に送ってあげるのですよ!」
もう止まらなくなって怒り狂ったあの天使は、巨大になった俺の脚の先から、激しい打撃を続けていた。
本当なら一発でダウンしそうな威力なんだろうが、今の俺にはそこまで効いてはいない。
このまま暫く待って、彼女の怒りが収まるのを待った方がいいだろう。
そう、俺は安心していたのだ。
デカくなった分、防御力も桁違いに上がっているから。
「!」
「巨大化して防御力を上げたですか! だったら防御の無い場所に移動するのみです!」
もう来るなら来いといった所だったのだが、状況は悪い方向に流れているらしい。
女の天使マスティアは足の先から段々二本の足の間に侵入し、俺の足を殴りながら進み始めた。
膝の辺りの骨の辺りはかなりの痛みが走るのだが、問題はそこではない。
このまま進んで行ってっしまえば、どう考えても行きつく先に行ってしまうのだ。
そしてそこにある物体といえば、誰もが知ってる男の急所である。
女には分からないと思うが、あれの防御力は尋常じゃないほどに低いのだ。
例えどれ程の大きさとなったとしても、さほど変わりはしないだろう。
ハッキリ言ってそんな物を殴られてしまえば、この大きさであったとしても悶絶はまぬがれない。
それはどうしても避けなければならない!
今後の生活も危なくなるかもしれないし!
もう急いで対策をしたいが、このまま足を閉じたり、腕で掴みに行くのも不味い。
さっき地面を叩いた時もそうなのだが、力加減が難しいのだ。
下手をしたら、それでプチっと潰しかねない。
「流石にそれは勘弁だ! 俺はもう逃げさせてもらうぜ!」
「誰が逃がすものか! 大人しく天罰を受けて地獄で成仏するのです! 了承してくれるのであれば、私が気の済むまで殴った後に、優しく埋めて差し上げるのですよ!」
「絶ッ対嫌だわ!」
やはり彼女も追って来るが、今は狙われないように逃げるしかないだろう。
俺は足の指で地面を掴み、体を浮かせて前進を始めた。
別にそう遠くまで移動するつもりはなく、俺が移動する場所は決まっているのだ。
それは俺が元に戻る為の、最後の罠がある場所だ。
スピードも相当上がっているから、五秒もすれば到着するはずである。
しかし、あの女は俺の足を掴み、しっかりと前に進んで来ていたのだ。
もう罠も見え、手を伸ばして押そうとしたが、俺のある部分から圧倒的な電流が流れだした。
「はぐあああああああああああああ!」
「天罰天罰天罰天罰! 天罰ううううううううううう!」
もう分かるだろう。
俺がその手を伸ばす前に、あの場所を殴りつけられていたのだ。
それも一撃ではなく、何度も何度も殴って来ている。
もう浮く事もできないくらいの極限の痛みが、俺の体中を支配してしまっている。
というか普通に落ちて勢いで滑ってしまっていた。
だがそれが幸いし、痺れて動けない俺の体が滑り、最後の罠が触れたのだ。
体はドンドンと縮みあがり、気が付いた時には一番最初の元の体へと戻っていたらしい。
俺が縮んでしまったからか、天使マスティアの攻撃も止んでいる。
だが俺は、尻を突き出して無様な格好で四つん這いとなり、もう攻撃されないようにと股間に手を添えていた。
恰好悪いのも分かってはいるのだが、どうにも仕方がないのである。
その後、何分間の沈黙の末に、俺はその痛みから立ち直ったのだった。
「諦めた……か?」
まだ痛む股間を押さえ立ち上がった時、あの天使の姿は見えなくなっていた。
もう満足して消えたのかと思ったが、どうもそうではないらしい。
周りを確認すると小さな天使が浮いていて、それが先ほどの天使と同じ人物だと気づいてしまう。
俺の触った罠に巻き込まれて、その体が縮んでしまっているらしい。
今彼女は何かが起こっていると、周りを見返している。
「これは……まさか巻き込まれたのですか?! 何故、この階層にはまだ罠は無かったはずなのに。天使のこの私には効かないはずなのに?!」
俺と一緒に縮んだ為か、今やっと自分の状況を理解したようだ。
少し動揺しているが、やるべき事を決めたらしい。
天使マスティアは、あの扉の中の部屋の中へ向かって行く。
罠の地図でも確認するのかもしれない。
だが残念な事に、その地図は俺の懐にあったりする。
もし場所を忘れてしまった時の為にと持って来ていたのだ。
もうあんな天使は放っておいて、帰ってしまえばいいだけだった。
それでも一応俺も経験者で、体が戻らない苦しみは分かっている。
「はぁ、結構酷い目に遭わされたが、一応俺にも非は有る。助けてやるか」
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