一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
8 小さく大きな物語39
翼をもつカバとの戦いが始まり、俺とストリア、リッドは一体を担当するのだが、隣に居る新米冒険者達の相手のカバが、こっちに寄って来たりして攻撃のタイミングをずらされる。それでもリッドの魔法により地面に落とし、剣の当たる距離となった。しかしまたまた邪魔をされたが、ストリアとリッドが向うを手伝うらしい。俺は改めて集中し、その一体を斬り伏せると、隣に居る奴を狙い、一気に走り出す。だが新米冒険者達も走り出し、俺の攻撃進路をふさいでしまう。結局俺は攻撃する事なくカバは倒され。他の班も次々と打倒していた。全ての敵が一掃され、俺達は再び移動を開始する…………
レティシャス(シャインの息子)ストリア (村娘)
リッド (村人) リーゼ (リッドの母ちゃん)
ジャネス (変な女の人) バール (ジャネスの父親)
ハルバックス(青髪の新米) メタリアス (黒髪の新米)
アウティーテ(桃色の新米)
何度かの戦いが繰り返し、新米達も少しずつ戦いに慣れてきていた。
いや、むしろ調子に乗り始めている。
全体を率いるが如く、積極的に前に出て、自分の実力を誇示し始めていた。
調子に乗る事は悪い事じゃないのだが、敵の実力を測れない内から、手柄欲しさに突っ込むのは、命を縮めてもおかしくはないぞ。
だがそれを伝えた所で、きっと止まってくれないだろう。
初めというのは、そういうものなのだ。
慎重に行こうとする方が稀なのである。
このままの全体指揮だけでは無理だと、俺達三人もあのカバの時に横に居た、あの三人を面倒見る事になった。
「宜しくだぜぃ、経験を積んだこの俺達に掛かれば、もうどんな敵だって倒してやるさ!」
そう言ってるのが、リーダーのハルバックス。
三人とも俺達と年齢も同じで、青色のした青年がこの男だ。
新米らしく、下ろしたての鎧や剣は輝いて見える。
動きやすいように、胸のプレートと籠手(こて)ぐらいしか装備がないが、きっとお金がないのだろう、鎧だって結構高いから。
「ヒャッハー、俺の魔剣にかかれば、敵なんて軽く一刀両断してやりますぜ!」
二人目が黒髪のメタリアス。
基本的にハルバックスと同じ様な恰好で、武器も剣と一緒である。
持っているのも魔剣なんかじゃなくて、普通のロングソードってやつだろう。
三人で揃えようとしているのかもしれない。
「私の魅力で魔物も虜にしてあげる!」
桃色の髪のアウティーテ。
羊みたいなフワモコの髪が、腰のあたりまで伸びた女の子だ。
やはり装備も同じで、一緒の剣を持っている。
多少武器を変えた方が色々やりやすいと思うんだが、まあ何か狙いでもあるのかもしれない。
その辺は、俺達が口を出すべきところじゃないな。
俺達はその三人と合同で戦い続け、隙あらば前に出ようとする、その三人をフォローし続けた。
そして炎獄山の麓にまで到着すると、馬車を置き、徒歩での行進が始まる。
半数が馬車の見張りにつくが、俺達は山を登る班だ。
リーゼさんも此方の班だが、此方に費やす時間はないかもしれない。
寒さ対策に結構な厚着をして、山の準備を終えると、リーゼさんが合図をした。
「じゃあ出発するわよ。ただし、もう簡単に前に出ちゃダメだからね。まず見つからない事、逃げることを優先しなさい、いいわね?」
リーゼさんの話に頷いているが、その中の何人かがただ頷いているだけなのか。
横に居る三人は特に信用出来ない。
先頭が進み始めると、俺達も足を進め始める。
「じゃあ俺達も行くぞ。お前達もくれぐれも跳び出すなよ?」
「大丈夫だぜぃ、まあ俺達に任せてくださいよ」
「フヒャ、今まで俺達の力を見たでしょう。全然余裕なんですぜ!」
「美しさがあるから大丈夫です!」
どう考えても任せられないから言ってるのだが。
奴等が俺達の先を進みだし、少々距離が離れたので、俺はストリアとリッドに口添えをし、目を離さないようにと気を配らせた。
「おい、奴等から目を放すなよ? どう考えてもまたやるからな」
「うむ、分かっているぞ。連勝して調子に乗りまくっているからな。一度上下関係を教えておいた方がいいかもしれない」
「ストリアストリア、流石にそれはやり過ぎだよ。もう少し経験を積めば、ただ真っ直ぐ突っ込むのがどれ程危険なのか分かるんじゃないかな?」
「おいリッド、そんな悠長な事を言ってる間に、あいつ等の命がなくなりそうじゃないか?」
「う~ん、かも? とりあえずフォローはしてあげないとね」
「まっ、死なれるのは可哀想だし、頼んだぞ二人共」
「ああ任せろ」
「やれるだけやるよ」
二人に口添えも終わり、この山の雰囲気を感じている。
この炎獄山だが、年中マグマが流れ出ている、いわゆる活火山だ。
その代わりといっては何だが、岩石を飛ばすような事はない。
マグマが流れるルートも決まっているので、無駄に近寄らなければ平気だろう。
山の斜面だからか相当風も強く吹いている。
周りには草木一本生えていない、ハゲ山だが、標高は相当高い。
五千、六千ぐらい平気でありそうだが、実際測った者は居ないだろう。
ボコボコと斜面が凹み、幾つかの洞窟のようなものが見えている。
かなり小さな穴だから、あんな巨大なものが入れる訳がない。
人の入れそうなサイズでもないしな。
まっ、この山がいくら高くとも、あの巨大なヴァ―ハムーティアを見つけるまでの仕事だ、案外簡単に終わるかもしれない。
山の上部を見ればほら…………やっぱり何も無いな。
あんな巨大な化物が何処に隠れているんだ?
山の反対側だろうか?
それとも火口部に?
その辺は、先頭に居るリーゼさんに考えて貰うとしよう。
因みに俺達の居る場所は、最後方だ。
全体が見回せる位置に居るから、何か有れば直ぐに分かる。
そう、直ぐに分かるのだ。
「お前ら、勝手に何処行くんだよ!」
魔物との遭遇もなく、行進は順調に進んでいた。
山の二割程度は登れたんじゃないかと思う頃、俺達の担当のあの三人が、隊列から離れて別の場所へ向かおうとしていた。
「あ、レティさん、小さな魔物が隠れていたんで、俺達が直ぐ退治して来ますぜぃ! ちょっと待っててください!」
「本当に雑魚だから、俺達だけで充分ですぜ!」
「行ってきま~す!」
「行くなこらあああああああああ!」
「どうも前の奴等は気付いていないな。先頭のリーゼさんには声が届いていないのか?」
「結構向かい風が強いからね、声がかき消されているのかもしれないよ」
「如何するんだレティ、このまま帰って来るのを待つか?」
「いや、あいつ等だけに任せるのは危険だ、俺達も追い掛けるぞ!」
隊列を外れた俺達は、あの三人を追い掛け始めた。
レティシャス(シャインの息子)ストリア (村娘)
リッド (村人) リーゼ (リッドの母ちゃん)
ジャネス (変な女の人) バール (ジャネスの父親)
ハルバックス(青髪の新米) メタリアス (黒髪の新米)
アウティーテ(桃色の新米)
何度かの戦いが繰り返し、新米達も少しずつ戦いに慣れてきていた。
いや、むしろ調子に乗り始めている。
全体を率いるが如く、積極的に前に出て、自分の実力を誇示し始めていた。
調子に乗る事は悪い事じゃないのだが、敵の実力を測れない内から、手柄欲しさに突っ込むのは、命を縮めてもおかしくはないぞ。
だがそれを伝えた所で、きっと止まってくれないだろう。
初めというのは、そういうものなのだ。
慎重に行こうとする方が稀なのである。
このままの全体指揮だけでは無理だと、俺達三人もあのカバの時に横に居た、あの三人を面倒見る事になった。
「宜しくだぜぃ、経験を積んだこの俺達に掛かれば、もうどんな敵だって倒してやるさ!」
そう言ってるのが、リーダーのハルバックス。
三人とも俺達と年齢も同じで、青色のした青年がこの男だ。
新米らしく、下ろしたての鎧や剣は輝いて見える。
動きやすいように、胸のプレートと籠手(こて)ぐらいしか装備がないが、きっとお金がないのだろう、鎧だって結構高いから。
「ヒャッハー、俺の魔剣にかかれば、敵なんて軽く一刀両断してやりますぜ!」
二人目が黒髪のメタリアス。
基本的にハルバックスと同じ様な恰好で、武器も剣と一緒である。
持っているのも魔剣なんかじゃなくて、普通のロングソードってやつだろう。
三人で揃えようとしているのかもしれない。
「私の魅力で魔物も虜にしてあげる!」
桃色の髪のアウティーテ。
羊みたいなフワモコの髪が、腰のあたりまで伸びた女の子だ。
やはり装備も同じで、一緒の剣を持っている。
多少武器を変えた方が色々やりやすいと思うんだが、まあ何か狙いでもあるのかもしれない。
その辺は、俺達が口を出すべきところじゃないな。
俺達はその三人と合同で戦い続け、隙あらば前に出ようとする、その三人をフォローし続けた。
そして炎獄山の麓にまで到着すると、馬車を置き、徒歩での行進が始まる。
半数が馬車の見張りにつくが、俺達は山を登る班だ。
リーゼさんも此方の班だが、此方に費やす時間はないかもしれない。
寒さ対策に結構な厚着をして、山の準備を終えると、リーゼさんが合図をした。
「じゃあ出発するわよ。ただし、もう簡単に前に出ちゃダメだからね。まず見つからない事、逃げることを優先しなさい、いいわね?」
リーゼさんの話に頷いているが、その中の何人かがただ頷いているだけなのか。
横に居る三人は特に信用出来ない。
先頭が進み始めると、俺達も足を進め始める。
「じゃあ俺達も行くぞ。お前達もくれぐれも跳び出すなよ?」
「大丈夫だぜぃ、まあ俺達に任せてくださいよ」
「フヒャ、今まで俺達の力を見たでしょう。全然余裕なんですぜ!」
「美しさがあるから大丈夫です!」
どう考えても任せられないから言ってるのだが。
奴等が俺達の先を進みだし、少々距離が離れたので、俺はストリアとリッドに口添えをし、目を離さないようにと気を配らせた。
「おい、奴等から目を放すなよ? どう考えてもまたやるからな」
「うむ、分かっているぞ。連勝して調子に乗りまくっているからな。一度上下関係を教えておいた方がいいかもしれない」
「ストリアストリア、流石にそれはやり過ぎだよ。もう少し経験を積めば、ただ真っ直ぐ突っ込むのがどれ程危険なのか分かるんじゃないかな?」
「おいリッド、そんな悠長な事を言ってる間に、あいつ等の命がなくなりそうじゃないか?」
「う~ん、かも? とりあえずフォローはしてあげないとね」
「まっ、死なれるのは可哀想だし、頼んだぞ二人共」
「ああ任せろ」
「やれるだけやるよ」
二人に口添えも終わり、この山の雰囲気を感じている。
この炎獄山だが、年中マグマが流れ出ている、いわゆる活火山だ。
その代わりといっては何だが、岩石を飛ばすような事はない。
マグマが流れるルートも決まっているので、無駄に近寄らなければ平気だろう。
山の斜面だからか相当風も強く吹いている。
周りには草木一本生えていない、ハゲ山だが、標高は相当高い。
五千、六千ぐらい平気でありそうだが、実際測った者は居ないだろう。
ボコボコと斜面が凹み、幾つかの洞窟のようなものが見えている。
かなり小さな穴だから、あんな巨大なものが入れる訳がない。
人の入れそうなサイズでもないしな。
まっ、この山がいくら高くとも、あの巨大なヴァ―ハムーティアを見つけるまでの仕事だ、案外簡単に終わるかもしれない。
山の上部を見ればほら…………やっぱり何も無いな。
あんな巨大な化物が何処に隠れているんだ?
山の反対側だろうか?
それとも火口部に?
その辺は、先頭に居るリーゼさんに考えて貰うとしよう。
因みに俺達の居る場所は、最後方だ。
全体が見回せる位置に居るから、何か有れば直ぐに分かる。
そう、直ぐに分かるのだ。
「お前ら、勝手に何処行くんだよ!」
魔物との遭遇もなく、行進は順調に進んでいた。
山の二割程度は登れたんじゃないかと思う頃、俺達の担当のあの三人が、隊列から離れて別の場所へ向かおうとしていた。
「あ、レティさん、小さな魔物が隠れていたんで、俺達が直ぐ退治して来ますぜぃ! ちょっと待っててください!」
「本当に雑魚だから、俺達だけで充分ですぜ!」
「行ってきま~す!」
「行くなこらあああああああああ!」
「どうも前の奴等は気付いていないな。先頭のリーゼさんには声が届いていないのか?」
「結構向かい風が強いからね、声がかき消されているのかもしれないよ」
「如何するんだレティ、このまま帰って来るのを待つか?」
「いや、あいつ等だけに任せるのは危険だ、俺達も追い掛けるぞ!」
隊列を外れた俺達は、あの三人を追い掛け始めた。
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