一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
40 小さく大きな物語24
レッドマリンとの勝負が始まる。競技者十人がそれぞれに得意な競技を紙に書き、大きな箱にそれを入れると、くじ引きにより競技を決めるらしい。
第一競技はリッドが出て、その競技が決まる。変顔対決とリッドの書いたものを引き当て、相手はその場で辞退し、こちらが勝利を収めた。二戦目、今度はストリアがクジを引き、何故か俺まで駆り出されるが良く分からない誉め言葉を言わされるのだ。
結局ストリアは町に跳び出してイックし、競技的にも負けてしまう。第三競技は華道というものが選ばれるが、いいところがなくリーゼさんが負けてしまい、後が無くなった俺は、次の勝負で二勝にしろという。
それを受け入れたレッドマリンだが、もう一人居ないと駄目だといきなり言い出す。
ちょっとズルいのかな~と思った俺は、ローレンシアサンを呼ぼうとするが、その人はもう出かけた後だった。そんな時に現れたのが、青い仮面を被ったバールが…………
レティシャス(シャインの息子)ストリア (村娘)
リッド (村人) リーゼ (リッドの母ちゃん)
ローレンシア(遊宴の町の領主)レッドマリン(遊宴の町を狙う人)
すごく話しかけたくないが、とにかくあの屋根の上にいるバールに話しかけなければ。
「コラバール、お前がどうやってこの場所を調べて来たのか知らないけれど、丁度良いから手伝ってもらうからな!」
「待つんだレティ、私はバールではない。ブルーフェイスとでも呼んでもらおうか」
「ブルーフェイスぅ? いやバールだろ、声も同じだし。もう何でもいいから降りて来い!」
「ふっ、仕方ない、では手助けしましょう! とぉう!」
かなり高い屋根、たぶnじゅーメートルぐらいの上から飛び降りたバール。
いや、ブルーフェイスか?
まあどっちでもいいけど、そいつがシュタっと地面に着地した。
だがそこから止まったまま動かない。
「おい、まさか痺れたのか?」
「…………ちょっと待って、今ちょっとまずい…………」
「本当に大丈夫なのこの人? う~ん、心配だわ」
「母さん僕達が参加出来ないし、こんな人でも任せるしかないよ」
「う~ん、そうねぇ、心配だけど、ギリギリ任せてみようかしら」
ギリギリ、いや、むしろ任せたくない。
こんな状態じゃなければ追い払ってもいいんだが、高額になるはずの報酬の為にも我慢しよう。
「お~い、もういいか? じゃあサッサと次の戦いを終わらせるぞ」
「…………も、もうちょっと…………ふぅ、治った」
レッドマリンは、そのやり取りを見て呆れかえっている。
「お前達が誰を選ぼうと構わんが、そんな奴を選んだからと、後で文句をいうなよ」
「…………ああ、たぶん言わないぜ!」
「レティ、酷いぞ! その少しの間はなんだ。まさか俺の事を信用できないのか?!」
「いや、そんな青い仮面かぶった奴を信用しろとか言われても、普通無理じゃねぇの? 因みにお前がバールだってことはもうバレてるから、その仮面外したらどうだ」
「俺はバールじゃない! 通りすがりの正義の味方で、ブルーフェイスだ。さっきそう言っただろう!」
「お前の呼び名なんて如何でも良い! お前と話していると時間がいくらあっても足りないわ! もう早く相手と勝負するぞ!」
「そうだな、では初めての共闘をしようか。さあ俺達の友情パワーを見せてやろう!」
「お前との友情なんてものは存在しないが、じゃあやるか」
俺達のこんなやり取りを待ってくれるとは、案外レッドマリンも優しい奴なのかもしれない。
あんまり待たせてしまうのもなんだし、俺は相手の前に進んで行く。
「今度こそ終わったんだろうな? 本当に待たせてくれる。では最後の勝負は、この私(レッドマリン)とウォーリ・シャンク、が相手にしよう」
「了解しましたレッドマリン様、この私がやっちゃいますよ~!」
最後の相手として出て来たのは、レッドマリンとウォーリという女だ。
その女は桃色の髪をお団子にしている、スラっとした女である。
背も俺より顔半分ぐらいは高い。
彫刻のような美しさを持っているが、それがどれ程美しくても、俺には関係の無い話だ。
どうせ眼中にないだろうし。
最後の勝負をする為に、今度は俺がクジを引く番だ。
箱から一枚の紙を引き当て、中の競技を見ると…………
「これは、ケットウ? ん、どうやら読み間違えたらしい。ケツ投の書き間違いだろう」
「レティ君、それケツ投じゃなくて決闘よ。私が書いた競技だから間違いないわよ」
リーゼさん、何故そんなものを入れたんですか…………
「ふふふ、最後に運が尽きたようだな。決闘などと、わざわざ競技にしてやった意味がないではないか。さあ何時でも掛かって来るがいい。真剣が嫌ならば木刀にしてやってもいいんだぞ?」
「いや、真剣でいい。その方が燃えるだろ?」
別に俺は、燃える燃えないで選んだ訳じゃない。
何故真剣を選んだかというと、その方が勝ち目があるからだ。
同じ武器で戦えば、技量が勝る相手の方が絶対強いし、この武器の性能を発揮することもできない。
俺の持つ剣は、その辺に有る剣とくらべるとかなり強いのだ。
切れ味もすさまじいから、戦いと同時に剣の刃を斬り飛ばしてやるとしようかな?
「ふん、死んでも後悔するなよ」
「私とレッドマリン様の手に掛かれば、貴様等などゴミクズぽぽ~んよ!」
レッドマリンの部下達が、二人の武器を持って来ている。
二つともスモールソードと呼ばれるもので、小さめだがその分軽く、女性でも持ちやすい物に仕上げられていた。
殆どの場合は刺突が主に使われる。
俺も武器を持ち出し、それを構えるが、バールは無手でそれを待ち続けていた。
格闘で戦うのかと思っていたが、その腕が槍へと変わって行く。
こいつ、腕を槍化できるのか?
体は硬いし護りも堅い。
バールことブルーフェイスが前に立てば、盾として期待できる。
どうせ戦わなきゃいけないなら、覚悟を決めなければ。
「よっと」「ふぅ」
「「じゃあ行きますか!」」
対峙する相手は女性だが、構えから見ても強そうだ。
俺とバールは武器を構え、相手の動きを油断なく観察する。
レッドマリンは前に突き出す刺突の構えで、もう一人のウォーリが、向けた剣先を八の字に揺らし、動きを惑わせていた。
何方が相手にしろ、突き刺されるのは勘弁してもらいたい。
二人がすり足で少しずつ近づいて来て、此方の剣を振らせるように細かくフェイントを使っている。
そんな高等な対人技術を使われても、俺はそれに反応しない。
いや、むしろできない。
適当に振ってしまえば罠にかかるし、どれが本物なのかを確認する術がないのだ。
だが俺は動じない。
当初の予定は破棄し、剣を斬り飛ばすのは諦めるとしよう。
俺には対抗する術はないが、バールにはそれがある。
「バールちょっと頼みがある」
「何だレティ、この俺にドンと言ってみるといい」
「うん、ちょっと二人を押さえて来てくれ。お前なら出来るだろう」
「いいだろう、その役目任された!」
「そうか、じゃあ同意が取れたって事で、いってこーい!」
「のああああああ! これは不味いいいいいいいいい!」
そう言って俺はバールの背中を突き飛ばした。
手を広げながらバランスを崩し、相手の二人に突っ込んで行く。
弓の矢さえ防いだんだ、剣の一突きぐらいどうとでもなるだろう。
突き飛ばされたバールも、不可抗力とばかりに大きく手を広げ、二人の女性を包み込み、ハグでもしようとしている。
そんなバールに二人が剣を打ちこむのだが、硬い体のバールにはちっとも効いていない。
結局二人共掴まり、逃がさない様に二人を抱き寄せている
されてる二人は慌てて嫌がっているが、あの男の腕力も並外れたものがあるのだ、簡単には外れないだろう。
「嫌、ちょっと放せ! 唇を近づけるんじゃない! 変な所を触るな愚か者おおおおおおおおおお!」
「やめてゴミクズ、私のお姉さまに近づかないで! お姉さまの唇は私のものよおおおおおおお!」
「仕方ないんだ。体のバランスが倒れちゃって、今ちょっと足が痺れて立てないんだ、ごめん、もうちょっと待ってて、すぐ治るから! それまでもうちょっと我慢してて! 大丈夫、君のこともやさしくするから!」
「「いやあああああああああああああああああ!」」
二人はそのまま地面に倒され、どさくさ紛れに色々しようとしているバール。
もうそろそろ二人を助けだしてやるとしよう。
「おいやり過ぎだ、お前はちょっと気絶しとけ!」
俺は剣を頭上に上げ、力強くバールの頭に振り下ろす。
剣の腹がゴイーンとぶつかり、バールは目を回すのだった。
二人は素直に負けを認め、バールの腕から脱出すると、その頭を蹴り飛ばすのだった。
第一競技はリッドが出て、その競技が決まる。変顔対決とリッドの書いたものを引き当て、相手はその場で辞退し、こちらが勝利を収めた。二戦目、今度はストリアがクジを引き、何故か俺まで駆り出されるが良く分からない誉め言葉を言わされるのだ。
結局ストリアは町に跳び出してイックし、競技的にも負けてしまう。第三競技は華道というものが選ばれるが、いいところがなくリーゼさんが負けてしまい、後が無くなった俺は、次の勝負で二勝にしろという。
それを受け入れたレッドマリンだが、もう一人居ないと駄目だといきなり言い出す。
ちょっとズルいのかな~と思った俺は、ローレンシアサンを呼ぼうとするが、その人はもう出かけた後だった。そんな時に現れたのが、青い仮面を被ったバールが…………
レティシャス(シャインの息子)ストリア (村娘)
リッド (村人) リーゼ (リッドの母ちゃん)
ローレンシア(遊宴の町の領主)レッドマリン(遊宴の町を狙う人)
すごく話しかけたくないが、とにかくあの屋根の上にいるバールに話しかけなければ。
「コラバール、お前がどうやってこの場所を調べて来たのか知らないけれど、丁度良いから手伝ってもらうからな!」
「待つんだレティ、私はバールではない。ブルーフェイスとでも呼んでもらおうか」
「ブルーフェイスぅ? いやバールだろ、声も同じだし。もう何でもいいから降りて来い!」
「ふっ、仕方ない、では手助けしましょう! とぉう!」
かなり高い屋根、たぶnじゅーメートルぐらいの上から飛び降りたバール。
いや、ブルーフェイスか?
まあどっちでもいいけど、そいつがシュタっと地面に着地した。
だがそこから止まったまま動かない。
「おい、まさか痺れたのか?」
「…………ちょっと待って、今ちょっとまずい…………」
「本当に大丈夫なのこの人? う~ん、心配だわ」
「母さん僕達が参加出来ないし、こんな人でも任せるしかないよ」
「う~ん、そうねぇ、心配だけど、ギリギリ任せてみようかしら」
ギリギリ、いや、むしろ任せたくない。
こんな状態じゃなければ追い払ってもいいんだが、高額になるはずの報酬の為にも我慢しよう。
「お~い、もういいか? じゃあサッサと次の戦いを終わらせるぞ」
「…………も、もうちょっと…………ふぅ、治った」
レッドマリンは、そのやり取りを見て呆れかえっている。
「お前達が誰を選ぼうと構わんが、そんな奴を選んだからと、後で文句をいうなよ」
「…………ああ、たぶん言わないぜ!」
「レティ、酷いぞ! その少しの間はなんだ。まさか俺の事を信用できないのか?!」
「いや、そんな青い仮面かぶった奴を信用しろとか言われても、普通無理じゃねぇの? 因みにお前がバールだってことはもうバレてるから、その仮面外したらどうだ」
「俺はバールじゃない! 通りすがりの正義の味方で、ブルーフェイスだ。さっきそう言っただろう!」
「お前の呼び名なんて如何でも良い! お前と話していると時間がいくらあっても足りないわ! もう早く相手と勝負するぞ!」
「そうだな、では初めての共闘をしようか。さあ俺達の友情パワーを見せてやろう!」
「お前との友情なんてものは存在しないが、じゃあやるか」
俺達のこんなやり取りを待ってくれるとは、案外レッドマリンも優しい奴なのかもしれない。
あんまり待たせてしまうのもなんだし、俺は相手の前に進んで行く。
「今度こそ終わったんだろうな? 本当に待たせてくれる。では最後の勝負は、この私(レッドマリン)とウォーリ・シャンク、が相手にしよう」
「了解しましたレッドマリン様、この私がやっちゃいますよ~!」
最後の相手として出て来たのは、レッドマリンとウォーリという女だ。
その女は桃色の髪をお団子にしている、スラっとした女である。
背も俺より顔半分ぐらいは高い。
彫刻のような美しさを持っているが、それがどれ程美しくても、俺には関係の無い話だ。
どうせ眼中にないだろうし。
最後の勝負をする為に、今度は俺がクジを引く番だ。
箱から一枚の紙を引き当て、中の競技を見ると…………
「これは、ケットウ? ん、どうやら読み間違えたらしい。ケツ投の書き間違いだろう」
「レティ君、それケツ投じゃなくて決闘よ。私が書いた競技だから間違いないわよ」
リーゼさん、何故そんなものを入れたんですか…………
「ふふふ、最後に運が尽きたようだな。決闘などと、わざわざ競技にしてやった意味がないではないか。さあ何時でも掛かって来るがいい。真剣が嫌ならば木刀にしてやってもいいんだぞ?」
「いや、真剣でいい。その方が燃えるだろ?」
別に俺は、燃える燃えないで選んだ訳じゃない。
何故真剣を選んだかというと、その方が勝ち目があるからだ。
同じ武器で戦えば、技量が勝る相手の方が絶対強いし、この武器の性能を発揮することもできない。
俺の持つ剣は、その辺に有る剣とくらべるとかなり強いのだ。
切れ味もすさまじいから、戦いと同時に剣の刃を斬り飛ばしてやるとしようかな?
「ふん、死んでも後悔するなよ」
「私とレッドマリン様の手に掛かれば、貴様等などゴミクズぽぽ~んよ!」
レッドマリンの部下達が、二人の武器を持って来ている。
二つともスモールソードと呼ばれるもので、小さめだがその分軽く、女性でも持ちやすい物に仕上げられていた。
殆どの場合は刺突が主に使われる。
俺も武器を持ち出し、それを構えるが、バールは無手でそれを待ち続けていた。
格闘で戦うのかと思っていたが、その腕が槍へと変わって行く。
こいつ、腕を槍化できるのか?
体は硬いし護りも堅い。
バールことブルーフェイスが前に立てば、盾として期待できる。
どうせ戦わなきゃいけないなら、覚悟を決めなければ。
「よっと」「ふぅ」
「「じゃあ行きますか!」」
対峙する相手は女性だが、構えから見ても強そうだ。
俺とバールは武器を構え、相手の動きを油断なく観察する。
レッドマリンは前に突き出す刺突の構えで、もう一人のウォーリが、向けた剣先を八の字に揺らし、動きを惑わせていた。
何方が相手にしろ、突き刺されるのは勘弁してもらいたい。
二人がすり足で少しずつ近づいて来て、此方の剣を振らせるように細かくフェイントを使っている。
そんな高等な対人技術を使われても、俺はそれに反応しない。
いや、むしろできない。
適当に振ってしまえば罠にかかるし、どれが本物なのかを確認する術がないのだ。
だが俺は動じない。
当初の予定は破棄し、剣を斬り飛ばすのは諦めるとしよう。
俺には対抗する術はないが、バールにはそれがある。
「バールちょっと頼みがある」
「何だレティ、この俺にドンと言ってみるといい」
「うん、ちょっと二人を押さえて来てくれ。お前なら出来るだろう」
「いいだろう、その役目任された!」
「そうか、じゃあ同意が取れたって事で、いってこーい!」
「のああああああ! これは不味いいいいいいいいい!」
そう言って俺はバールの背中を突き飛ばした。
手を広げながらバランスを崩し、相手の二人に突っ込んで行く。
弓の矢さえ防いだんだ、剣の一突きぐらいどうとでもなるだろう。
突き飛ばされたバールも、不可抗力とばかりに大きく手を広げ、二人の女性を包み込み、ハグでもしようとしている。
そんなバールに二人が剣を打ちこむのだが、硬い体のバールにはちっとも効いていない。
結局二人共掴まり、逃がさない様に二人を抱き寄せている
されてる二人は慌てて嫌がっているが、あの男の腕力も並外れたものがあるのだ、簡単には外れないだろう。
「嫌、ちょっと放せ! 唇を近づけるんじゃない! 変な所を触るな愚か者おおおおおおおおおお!」
「やめてゴミクズ、私のお姉さまに近づかないで! お姉さまの唇は私のものよおおおおおおお!」
「仕方ないんだ。体のバランスが倒れちゃって、今ちょっと足が痺れて立てないんだ、ごめん、もうちょっと待ってて、すぐ治るから! それまでもうちょっと我慢してて! 大丈夫、君のこともやさしくするから!」
「「いやあああああああああああああああああ!」」
二人はそのまま地面に倒され、どさくさ紛れに色々しようとしているバール。
もうそろそろ二人を助けだしてやるとしよう。
「おいやり過ぎだ、お前はちょっと気絶しとけ!」
俺は剣を頭上に上げ、力強くバールの頭に振り下ろす。
剣の腹がゴイーンとぶつかり、バールは目を回すのだった。
二人は素直に負けを認め、バールの腕から脱出すると、その頭を蹴り飛ばすのだった。
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