一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
16 小さく大きな物語14
俺は他の三人と合流し、情報交換をしている。
「…………ってことであんまり情報は得られなかったけど、変なテロリストがいるのは分かったぜ。まああのレベルだと嫌がらせぐらいしか出来ないだろうけどな」
「僕が集めた情報だと、町の外で何度か実戦訓練が行われていたらしいよ。東西に分かれてぶつかり合ったとか。それが最終確認の為だとしたら、もうそろそろ不味いかもね」
「私は武具店を探して状況を見たが、売れ行きは相当良いらしいぞ。オーダーメイドや武器の手入れ注文も相次いでいると。期限としては今月いっぱいが山らしい。その日から国を出たとして、まだ充分に時間はありそうだぞ」
「私の方も同じようなものね。このまま進んでも間に合うでしょうけど、レティ―君の言ってたそのテロリストは使えるかもしれないわ。もう一度接触して、この国を混乱させる事が出来れば、もう少し時間を延ばせるんじゃないかしら?」
「ん~、手伝ってくれるなら良いけど、それ以前に探すのは大変だと思うぜ。あいつ等も兵士に追われてるし、簡単には見つからないだろ」
「あら、それは何とかなるんじゃないかしら?」
リーゼさんが指をさした先には、縛り上げられた知らない男が一人転がっている。
ガタイも良くなく、細っこくて武器も携帯していない。
もしかしたら、あのパンツの罠に引っかかって、無理やり入団させられた奴だったりして?
他の皆の所にも罠をしかけるとか言ってたから、逆に捕まえられたのだろう。
この男に喋らせてアジトの場所に向かうのも面倒だな。
相手の言葉を信用して罠に飛び込むなんて事もある。
「私達を罠にはめようとしてくるんだから、何か有ると思って捕まえておいたのよね。その彼女が何処に隠れているのか知らないけれど、少ないメンバーを助けに乗り込んで来るかもしれないわよ?」
「おお、やるじゃんリーゼさん! じゃあ此奴は目立つように、馬車の後ろにでも吊るしとくか。手伝ってくれよストリア、リッド」
「任せろ!」「おう!」
二人の手伝いでその男を吊るし、女が現れるのを待っている。
見捨てるならそれまでだが、あの女は多分来るだろう。
あんまり薄情な奴には見えなかったし。
俺達は馬車の中で暫く待ち続けると、あの女と、その仲間達三人が俺達の前に現れた。
ウィリス・クラウザーと言ってた女だけは、模様のあしらわれた良さげな防具をつけて、手にはロングソードが握られている。
武装している所をみると、今回は本気なのかもな?
その彼女が剣を向けて、此方に近づいて来ている。
「私の仲間を解放しなさい! 出来ないと言うのなら、この剣で斬り刻んであげましょう!」
「どうすんだこれ? 戦った方が良いのか?」
「ふむ、ここは私に任せろ」
何を思ったのかストリアが自分の剣を取り、シュラッと抜き放った。
女の子に剣を向けるのは、あんまりしたくないから、ストリアに任せるのもありだろう。
「私とやる気なのですか?! クッ、良いでしょう、ただし私が勝ったら彼を解放しなさい!」
今にも襲い掛かって来そうなウェリスに、ストリアは捕まえた男の首筋に剣を当て。
「この男の命が欲しければ大人しく私達の話を聞け。もし聞きたくないのであれば、どうなるのか分かっているのだろうな?」
そんな悪人みたいなセリフを吐き捨てているのだった。
「ひ、卑怯者! カールを離しなさい! カール待ってて、直ぐに助けてあげますから!」
そのカールはというと、猿轡をされて返事も出来ないんだけど。
「動けば殺すと言っただろう。私は平和的に話そうと言ってるんだ。怪我をしたくないだろう? まずその剣を捨てて貰おうか」
「くぅぅッ、カールの命には代えられません…………良いでしょう私の命は好きにしなさい! ただし他の者に手を出す事は許しませんよ!」
「ウェリ!」「ウェリスさん!」「ウェリス!」
「良いのです皆、私が犠牲になれば事は終わってしまいます。ですが仲間の命を犠牲にしてまで成し遂げたいとは思わないのです!」
ウェリスが持ていた剣を投げ捨て、ゆっくり歩んで来ている。
これが本物の野盗とかならグへへて展開になるんだろうが、俺達は本当に話をしたいだけなのだ。
これ本当。
捕まえたウェリスを馬車に招き入れ、リーゼさんは普通に話しを始めた。
「さてと、貴女テロリストなんですってね? どうかしら、私達に協力しないかしら?」
「貴女ッ、今の言葉を訂正しなさい! 私達はテロリストではありません、正当なるレジスタンスです! この国を良くしようと動いている正義の味方なのです! 二度と侮辱する事は許しませんよ!」
「あらそうなのね? ではその正当なレジスタンスさんにお願いがあるのよ。私達と一緒に正義を成し遂げようとは思わない? 貴方も知ってるかもしれないけど、この国はもう直ぐ戦争を起こそうとしているのよ。正義の為にそんな事はさせてはいけないわ。他国に進行するなんて間違ってるもの。どうかしら、少し話を聞いてみない?」
「正義を餌にして、そこまでして私を仲間に引き入れようとわ………… 良いでしょう、どの道レジうタンスを止める積りはありませんから。貴方達の手も、甘んじて受け入れましょう!」
「んじゃ今度こそ本当に話し合おうぜ。これからの事をな」
こうして俺達はウェリス達五人を仲間に引き込んだ。
といっても、俺達はこの国に残る訳ではない。
金と武器の支援ぐらいしか出来ないんだけど。
俺達はこのウェリスに色々と支援してこの町を出た。
正直こいつ等に任せてどうなるのかも知らないけど、二日でも時間を稼げるなら御の字だろう。
「…………ってことであんまり情報は得られなかったけど、変なテロリストがいるのは分かったぜ。まああのレベルだと嫌がらせぐらいしか出来ないだろうけどな」
「僕が集めた情報だと、町の外で何度か実戦訓練が行われていたらしいよ。東西に分かれてぶつかり合ったとか。それが最終確認の為だとしたら、もうそろそろ不味いかもね」
「私は武具店を探して状況を見たが、売れ行きは相当良いらしいぞ。オーダーメイドや武器の手入れ注文も相次いでいると。期限としては今月いっぱいが山らしい。その日から国を出たとして、まだ充分に時間はありそうだぞ」
「私の方も同じようなものね。このまま進んでも間に合うでしょうけど、レティ―君の言ってたそのテロリストは使えるかもしれないわ。もう一度接触して、この国を混乱させる事が出来れば、もう少し時間を延ばせるんじゃないかしら?」
「ん~、手伝ってくれるなら良いけど、それ以前に探すのは大変だと思うぜ。あいつ等も兵士に追われてるし、簡単には見つからないだろ」
「あら、それは何とかなるんじゃないかしら?」
リーゼさんが指をさした先には、縛り上げられた知らない男が一人転がっている。
ガタイも良くなく、細っこくて武器も携帯していない。
もしかしたら、あのパンツの罠に引っかかって、無理やり入団させられた奴だったりして?
他の皆の所にも罠をしかけるとか言ってたから、逆に捕まえられたのだろう。
この男に喋らせてアジトの場所に向かうのも面倒だな。
相手の言葉を信用して罠に飛び込むなんて事もある。
「私達を罠にはめようとしてくるんだから、何か有ると思って捕まえておいたのよね。その彼女が何処に隠れているのか知らないけれど、少ないメンバーを助けに乗り込んで来るかもしれないわよ?」
「おお、やるじゃんリーゼさん! じゃあ此奴は目立つように、馬車の後ろにでも吊るしとくか。手伝ってくれよストリア、リッド」
「任せろ!」「おう!」
二人の手伝いでその男を吊るし、女が現れるのを待っている。
見捨てるならそれまでだが、あの女は多分来るだろう。
あんまり薄情な奴には見えなかったし。
俺達は馬車の中で暫く待ち続けると、あの女と、その仲間達三人が俺達の前に現れた。
ウィリス・クラウザーと言ってた女だけは、模様のあしらわれた良さげな防具をつけて、手にはロングソードが握られている。
武装している所をみると、今回は本気なのかもな?
その彼女が剣を向けて、此方に近づいて来ている。
「私の仲間を解放しなさい! 出来ないと言うのなら、この剣で斬り刻んであげましょう!」
「どうすんだこれ? 戦った方が良いのか?」
「ふむ、ここは私に任せろ」
何を思ったのかストリアが自分の剣を取り、シュラッと抜き放った。
女の子に剣を向けるのは、あんまりしたくないから、ストリアに任せるのもありだろう。
「私とやる気なのですか?! クッ、良いでしょう、ただし私が勝ったら彼を解放しなさい!」
今にも襲い掛かって来そうなウェリスに、ストリアは捕まえた男の首筋に剣を当て。
「この男の命が欲しければ大人しく私達の話を聞け。もし聞きたくないのであれば、どうなるのか分かっているのだろうな?」
そんな悪人みたいなセリフを吐き捨てているのだった。
「ひ、卑怯者! カールを離しなさい! カール待ってて、直ぐに助けてあげますから!」
そのカールはというと、猿轡をされて返事も出来ないんだけど。
「動けば殺すと言っただろう。私は平和的に話そうと言ってるんだ。怪我をしたくないだろう? まずその剣を捨てて貰おうか」
「くぅぅッ、カールの命には代えられません…………良いでしょう私の命は好きにしなさい! ただし他の者に手を出す事は許しませんよ!」
「ウェリ!」「ウェリスさん!」「ウェリス!」
「良いのです皆、私が犠牲になれば事は終わってしまいます。ですが仲間の命を犠牲にしてまで成し遂げたいとは思わないのです!」
ウェリスが持ていた剣を投げ捨て、ゆっくり歩んで来ている。
これが本物の野盗とかならグへへて展開になるんだろうが、俺達は本当に話をしたいだけなのだ。
これ本当。
捕まえたウェリスを馬車に招き入れ、リーゼさんは普通に話しを始めた。
「さてと、貴女テロリストなんですってね? どうかしら、私達に協力しないかしら?」
「貴女ッ、今の言葉を訂正しなさい! 私達はテロリストではありません、正当なるレジスタンスです! この国を良くしようと動いている正義の味方なのです! 二度と侮辱する事は許しませんよ!」
「あらそうなのね? ではその正当なレジスタンスさんにお願いがあるのよ。私達と一緒に正義を成し遂げようとは思わない? 貴方も知ってるかもしれないけど、この国はもう直ぐ戦争を起こそうとしているのよ。正義の為にそんな事はさせてはいけないわ。他国に進行するなんて間違ってるもの。どうかしら、少し話を聞いてみない?」
「正義を餌にして、そこまでして私を仲間に引き入れようとわ………… 良いでしょう、どの道レジうタンスを止める積りはありませんから。貴方達の手も、甘んじて受け入れましょう!」
「んじゃ今度こそ本当に話し合おうぜ。これからの事をな」
こうして俺達はウェリス達五人を仲間に引き込んだ。
といっても、俺達はこの国に残る訳ではない。
金と武器の支援ぐらいしか出来ないんだけど。
俺達はこのウェリスに色々と支援してこの町を出た。
正直こいつ等に任せてどうなるのかも知らないけど、二日でも時間を稼げるなら御の字だろう。
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