一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
21 馬鹿の行動は、意外と役に立つ事もある。
隊長機が落ち始めると、敵機の五体と、生身の兵隊半数以上が、それを追いかけて行く。 この場に残った五機だが、その一機が指示を出し、二機が地上へ向かって行った。
俺の相手は、三機でも十分ということだろう。 此方としては少しキツイが、この場で引き付けた分で、地上が楽になる。 この三機を、出来るなら倒してしまいたい。
生身の天使の兵達は、べノムさんとフレーレさん、それに、この空に応援に来た、空飛ぶ王国の兵士達だ。 皆が応援に来てくれたおかげで、俺達はこの三機に集中出来る!
俺は敵機を睨み、如何攻撃をしようかと悩んでいる。
数も相手の方が上だ。 無理に攻撃を仕掛ければ、逆に不利となってしまう。 俺は敵の攻撃を避けつつ、攻撃を仕掛けられるタイミングを待ち続ける。
しかし敵機は、アストライオスの動きに合わせて、上空、下段右、下段左から、三機が隊列を崩さず、追跡して来ている。
敵機からの攻撃は、近接攻撃だけではなかった。 機体の手の関節からは、雷球の様な物を放っている。 このまま逃げ続けていても、攻撃をするタイミングが見つからない。
そんな状況が続く中、俺には心配事があった。 隣に居るバベル君の事だ。
「バベル君、今回は変なボタン押さないでよね! もし何か見つけたら、まず僕に話してね!」
「はい、勿論っす! それでですね先輩、早速なんですが此処にボタンがあるっすよ? 押しちゃいましょうか?」
うっ、早速見つけてしまったか。 そのボタンは、この間のボタンの逆側の、蓋が開けられたその中に、幾つかのスイッチが見えている。 きっとバベル君が何かして、それを見つけたのだろう。
間違えて押さない様にと、こんな場所に着いているボタンは、間違いなく危ない物だ。 武器か、それとも整備用なのか。 押して見ない事には分かりはしない。 これを使うのは最後の手段にしたい所だ。
「何が出て来るのか分からないから、もう少しピンチの時に使おう。 押すタイミングは君に任せるよ」
「分っかりました! このスイッチの事は、俺っちに任せといてください! ピンチの時に使ってみるっす!」
「出来る限り慎重にね!」
「はい、じゃあ押すっすね。 ポチっと」
そして彼はボタンを押した。 ぐっと奥まできっちりと。
「ぎゃあああああああ、今言ったよね、もっとピンチになったらって! 何でいきなり押しちゃうの!」
「でも先輩、反撃も出来ないこの状況が、ピンチじゃない訳がないっすよ! 大丈夫です、運が良ければ良い物が出て来ますから! それにもう押しちゃいましたし、諦めてくださいっす!」
「うっ…………確かにそうなんだけど…………」
なら一体そのボタンでどうなったのかと、敵の攻撃を躱しながら、アストライオスの腕や脚を見た。 変化は有った。 左腕の拳辺りに、爪の様な物が出現している。
その爪には、バチバチと雷が絡みついている様だ。 だがこれは今使うべき武器じゃない。 近接戦なら使えるかもしれないが、この状態ではあまり使えそうもない。
それに、敵の攻撃は、このアストライオスに、直撃し始めている。 もう俺の動きを読まれたらしい。 まだボタンは残されているし、こうなったら押してみるのも手かもしれない。
「…………よし、決めた! バベル君、別のボタンを押してみて!」
「任せてください先輩! 行きますよー! あ、ポチポチポチポチっと!」
「えっ? 四つも?!」
バシュンと、アストライオスの腕から、武器が発射された。 そう、左腕という武器が。
肩口から発射された腕は、偶然にも敵の一体にぶつかり、爪の雷により敵の機体が感電している。 そして腕と一緒に、落ちていった。
あと三つのボタンの効果は、武器を持っていた右腕を、あらぬ方向へ飛ばし、腰から下の部分(両足)が、スポンと下に落ちていく。
「バベル君、確かに一体倒せたけど、これは逆にピンチなんじゃないのかな?」
「運が悪かったみたいですね先輩。 武器も無くなったら、もうどうにもならないですね。 あはは!」
「あははじゃないってええええええええええええ!」
どうにもならなくなった俺は、本当にただ逃げ続けていると、首だけのダルマとなった、アストライオスを、相手にするのも馬鹿らしいと、他の二機が離れて行った。
確かに、攻撃もしないで逃げ回るダルマを、無駄に追い駆け続けるのは、馬鹿らしいだろう。 此方がやれる事といったら、もう体当たり位しか出来ない。
「いや、待てよ? 翼が戻って来るのなら、もしかしたら腕も戻ってくるのかもしれない。 バベル君、もう一度ボタンを押して!」
「了解っす! あポチポチポチポチっと」
暫く待っていると、地上に落ちたアストライオスの四肢が、上空に戻ってきている。 このまま待って居ればちゃんとくっ付くだろう。 しかし、このまま待っているのも芸がない。
俺は四肢がくっ付く前に、逃げた二機を追い掛けた。 前方に先ほどの二機が見え始め、その右側の奴の背後から体当たりを仕掛けた。
そんな俺の攻撃も簡単に避けられてしまうのだが、敵機の剣が振り下ろされる前に、待っていた両腕が間に合った。 右手の剣でその攻撃を受け止め、左手に付いた雷の爪で、相手の胴部へと殴り掛かる。
バチリと敵機が雷に包まれ、動かなくなって落下して行く。 油断していたもう一機が慌てて動くのだが、左腕を分離させ、相手に飛ばすと、避けた相手へと近づき、豪快に斬り伏せた。
「やりましたね先輩、後は地上の奴等だけっすよ! 地上の奴もやっちゃいましょう!」
「いや、その前に…………」
空を見ると、此方の軍が優勢、とはいかないらしい。 此方の空の飛べる兵(空兵)は、圧倒的に人数が少ない。 フレーレさん達なら、かなりの数を減らせると思っていたのだけど、相手の数がそれ程減っていない。 単体としても相当強いのかもしれない。
此方が何とか善戦出来ているのが、奇跡なのだろうか? ならアストライオスで援護を!
俺は敵兵しか居ない場所を見極め、その中に突っ込んだ。 避けきれなかった天使達が吹っ飛び、追撃にと、剣の腹で振り払った。
それにより、何人もの天使がそれに巻き込まれ、豪快に吹き飛ばされた。
…………もしその中に味方が居たとしたら…………謝ります、ごめんなさい!
俺の相手は、三機でも十分ということだろう。 此方としては少しキツイが、この場で引き付けた分で、地上が楽になる。 この三機を、出来るなら倒してしまいたい。
生身の天使の兵達は、べノムさんとフレーレさん、それに、この空に応援に来た、空飛ぶ王国の兵士達だ。 皆が応援に来てくれたおかげで、俺達はこの三機に集中出来る!
俺は敵機を睨み、如何攻撃をしようかと悩んでいる。
数も相手の方が上だ。 無理に攻撃を仕掛ければ、逆に不利となってしまう。 俺は敵の攻撃を避けつつ、攻撃を仕掛けられるタイミングを待ち続ける。
しかし敵機は、アストライオスの動きに合わせて、上空、下段右、下段左から、三機が隊列を崩さず、追跡して来ている。
敵機からの攻撃は、近接攻撃だけではなかった。 機体の手の関節からは、雷球の様な物を放っている。 このまま逃げ続けていても、攻撃をするタイミングが見つからない。
そんな状況が続く中、俺には心配事があった。 隣に居るバベル君の事だ。
「バベル君、今回は変なボタン押さないでよね! もし何か見つけたら、まず僕に話してね!」
「はい、勿論っす! それでですね先輩、早速なんですが此処にボタンがあるっすよ? 押しちゃいましょうか?」
うっ、早速見つけてしまったか。 そのボタンは、この間のボタンの逆側の、蓋が開けられたその中に、幾つかのスイッチが見えている。 きっとバベル君が何かして、それを見つけたのだろう。
間違えて押さない様にと、こんな場所に着いているボタンは、間違いなく危ない物だ。 武器か、それとも整備用なのか。 押して見ない事には分かりはしない。 これを使うのは最後の手段にしたい所だ。
「何が出て来るのか分からないから、もう少しピンチの時に使おう。 押すタイミングは君に任せるよ」
「分っかりました! このスイッチの事は、俺っちに任せといてください! ピンチの時に使ってみるっす!」
「出来る限り慎重にね!」
「はい、じゃあ押すっすね。 ポチっと」
そして彼はボタンを押した。 ぐっと奥まできっちりと。
「ぎゃあああああああ、今言ったよね、もっとピンチになったらって! 何でいきなり押しちゃうの!」
「でも先輩、反撃も出来ないこの状況が、ピンチじゃない訳がないっすよ! 大丈夫です、運が良ければ良い物が出て来ますから! それにもう押しちゃいましたし、諦めてくださいっす!」
「うっ…………確かにそうなんだけど…………」
なら一体そのボタンでどうなったのかと、敵の攻撃を躱しながら、アストライオスの腕や脚を見た。 変化は有った。 左腕の拳辺りに、爪の様な物が出現している。
その爪には、バチバチと雷が絡みついている様だ。 だがこれは今使うべき武器じゃない。 近接戦なら使えるかもしれないが、この状態ではあまり使えそうもない。
それに、敵の攻撃は、このアストライオスに、直撃し始めている。 もう俺の動きを読まれたらしい。 まだボタンは残されているし、こうなったら押してみるのも手かもしれない。
「…………よし、決めた! バベル君、別のボタンを押してみて!」
「任せてください先輩! 行きますよー! あ、ポチポチポチポチっと!」
「えっ? 四つも?!」
バシュンと、アストライオスの腕から、武器が発射された。 そう、左腕という武器が。
肩口から発射された腕は、偶然にも敵の一体にぶつかり、爪の雷により敵の機体が感電している。 そして腕と一緒に、落ちていった。
あと三つのボタンの効果は、武器を持っていた右腕を、あらぬ方向へ飛ばし、腰から下の部分(両足)が、スポンと下に落ちていく。
「バベル君、確かに一体倒せたけど、これは逆にピンチなんじゃないのかな?」
「運が悪かったみたいですね先輩。 武器も無くなったら、もうどうにもならないですね。 あはは!」
「あははじゃないってええええええええええええ!」
どうにもならなくなった俺は、本当にただ逃げ続けていると、首だけのダルマとなった、アストライオスを、相手にするのも馬鹿らしいと、他の二機が離れて行った。
確かに、攻撃もしないで逃げ回るダルマを、無駄に追い駆け続けるのは、馬鹿らしいだろう。 此方がやれる事といったら、もう体当たり位しか出来ない。
「いや、待てよ? 翼が戻って来るのなら、もしかしたら腕も戻ってくるのかもしれない。 バベル君、もう一度ボタンを押して!」
「了解っす! あポチポチポチポチっと」
暫く待っていると、地上に落ちたアストライオスの四肢が、上空に戻ってきている。 このまま待って居ればちゃんとくっ付くだろう。 しかし、このまま待っているのも芸がない。
俺は四肢がくっ付く前に、逃げた二機を追い掛けた。 前方に先ほどの二機が見え始め、その右側の奴の背後から体当たりを仕掛けた。
そんな俺の攻撃も簡単に避けられてしまうのだが、敵機の剣が振り下ろされる前に、待っていた両腕が間に合った。 右手の剣でその攻撃を受け止め、左手に付いた雷の爪で、相手の胴部へと殴り掛かる。
バチリと敵機が雷に包まれ、動かなくなって落下して行く。 油断していたもう一機が慌てて動くのだが、左腕を分離させ、相手に飛ばすと、避けた相手へと近づき、豪快に斬り伏せた。
「やりましたね先輩、後は地上の奴等だけっすよ! 地上の奴もやっちゃいましょう!」
「いや、その前に…………」
空を見ると、此方の軍が優勢、とはいかないらしい。 此方の空の飛べる兵(空兵)は、圧倒的に人数が少ない。 フレーレさん達なら、かなりの数を減らせると思っていたのだけど、相手の数がそれ程減っていない。 単体としても相当強いのかもしれない。
此方が何とか善戦出来ているのが、奇跡なのだろうか? ならアストライオスで援護を!
俺は敵兵しか居ない場所を見極め、その中に突っ込んだ。 避けきれなかった天使達が吹っ飛び、追撃にと、剣の腹で振り払った。
それにより、何人もの天使がそれに巻き込まれ、豪快に吹き飛ばされた。
…………もしその中に味方が居たとしたら…………謝ります、ごめんなさい!
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