一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
30 試練の間で不幸が訪れる。(主に敵が。)
まだフレーレの姿は発見出来ない。 俺が気絶していたから仕方ないか。
「ねぇクズ男。 フレーレという人物はどの様な人なのですか? 聞いてあげるから話してみなさい。」
「もうそろそろ言わせてもらおうと思いますけど、俺はクズ男じゃありません。 次からはバールと呼んでください。 もし次言うようなら、その刃の部分をへし折ってやりますよ。」
「嫌よ! 折られたら痛そうじゃないの。 もし死んだらどうするんです! それにもし痛くなくても、へし折れた短剣として生きて行くなんて耐えられません! そんな酷いことを言うなんて、やっぱり貴方はゴミクズよ! それで充分でしょう!」
「・・・・・それはつまり、もう一度パンツの中に入りたいという事ですね? 良いでしょう、では早速・・・・・。」
俺は懐にある短剣を取り出し、自分の股間へと手を進めて行く。
「やめてええええええええええええええええ! もうそれだけは許してえええええええええええええ! 謝るから、ちゃんと謝るからああああああああああ!」
「だったらもう少し普通に話してください。 貴女はこの時代ではもう王女では無いんですから。 そんな傲慢な態度では誰も助けてはくれませんよ?」
「・・・・・出来るだけ・・・・・努力致します・・・・・バール殿・・・・・。」
「分かって貰えて嬉しいですよ。 まあ仲良くして行きましょう。 俺も変な事を言われなければ、酷い事はしませんので。 それと俺の名前は呼び捨てでも大丈夫ですよ。」
「・・・・・はい・・・そうですね。 仲良く致しましょう。」
多少心変わりをしてくれたのだろうか? 少し大人しくなったフレデリッサだが、俺はまだ油断をしていない! 先ほども裏切れたし、ちゃんと信用するのにはまだ早いだろう。 もうちょっと、せめてマリーヌ様にお渡しするまでは大人しくしてもらわないと。
俺はほんのりと警戒しながら彼女と話をし、フレーレを探していった。
どうもフレーレはかなりの距離を進んでいるらしい、一時間は歩き続けているが、まだ追い着く事が出来ないでいた。 一体何処まで進んだのやら。 それにこの遺跡だ。 あとどの位進めばゴールにたどり着けるんだろう。 外はもう夜中にはなっていると思うし、会場には誰も残っていないんじゃないか?
道を進む俺達は、直角に曲がった通路を曲がると、目の前に巨大な鮫が現れた。
戦闘体勢を取り、攻撃に備えたが、鮫の魔物は一向に襲って来る気配が無かった。 よく考えれば先に進んだフレーレが倒さないはずがない。 もう死んでいるんだろう。
そういえばと、鮫がどうやって動いていたのかと観察すると、腹の下から昆虫の脚の様な物が八本生えていた。 これで歩き回っていたのだろう。
そしてフレーレだが、目的の魔物を倒したというのに、この場に留まっていなかった。 まだ道は奥に続いている。 殲滅させる為に、もっと奥に進んだのだろう。 俺もそれに続き奥を目指した。
それからかなり進んだ所。 俺達は最後の扉にたどり着いた。 だがそれはバラバラに破壊されている。
「あれ? これは・・・・・。」
打ち壊された欠片の中に、短剣型の窪みが見えた。 まさか此処が・・・・・
「ああ、ここは試練の間ですね。 昔の奴がこの私を使って、この扉の鍵にしてしまったんです。 私に誰か来たら叫べとか勝手な事をベラベラ喋って、無理やり私に文字を刻んだり色々おかしな事ばかりされてしまったのです。 結局短剣になった私になど、信用出来る人は誰も近づいてはきませんでしたよ。 貴方も含めて。」
クズとか無駄な罵声はしなくなったが、やはり多少の嫌味は言ってくるのか。 それでも前よりは随分とマシだな。
「へ~、そうなんですね。 まあフレーレには鍵が無くても問題はなかったようですけどね。 それじゃあこの先に進んで見ますかね。」
「ええ、ドンドン進んでちょうだい。」
少し進むと、また大きな部屋へと到着した。 その部屋の中ではフレーレが最後敵と戦い続けていた。 魔物、とは違うのだろうか? 鍵の掛かった部屋に居たのは、物語でよく見かけるドラゴンによく似ている。
暗緑色(色の名前)の体、巨大な翼、硬そうな鱗、そして巨大な牙と爪。 こんなものが鍵の掛かった部屋に居るとは、まさかこのドラゴン、本物じゃないだろうな?
まあ本物かどうかは置いておいて、このドラゴン、人間の言葉を話すらしい。 やられ過ぎて文句を言いだしている。
「あり得ぬ。 あり得ぬぞ! この我をたった一人で圧倒するだと! 貴様は一体何者なのだあああああ!」
「私フルール・フレーレって言うのよー。 よろしくねドラゴンさん。」
「おのれえええええええええええええええええ人間めえええええええええええ!」
うん、こんな戦いに俺が加わっても潰されたりしそうだし、参戦するのは止めておこう。 ドラゴンさんも、こっちには気づいていないし。
「ねぇバ―ル、あれ本当に人間なのですか? 物凄いんですけど・・・・・。」
「まあ一応人間ですよ。 俺も含めてね。」
そんなドラゴンさんを相手にしているフレーレだが、今まさにピンチを迎えようとしている。
・・・・・ドラゴンさんが。
振り下ろされる爪は逆に叩き折られ、噛み付こうとする牙も幾つか穴が開いている。 押しつぶそうと頑張っても、フレーレの攻撃により叩き返されている。
こうなるともう少しドラゴンさんには頑張ってもらいたい所だ。 頑張れドラゴンさん、俺の仇を討ってくれ。 一発でもいいから。
だがドラゴンさんはもう駄目そうだった。 そんなドラゴンさんは、最後の攻撃を仕掛けた。 空中に飛び上がったドラゴンさんは、辺りの空気を吸って膨れ上がる。 俺は知ってる。 これは絶対あれだ、炎吐くやつだ。 ドラゴンって言ったらそれしかない。
「塵とかせ! 愚か者があああああああああああああ!」
ドラゴンさんの口から、轟音と共に炎が吐き出された。 壁や床を溶かしながら、フレーレ目掛けて進んで行く。 まあそんな炎を待っている程、フレーレは遅くないんだが。
壁を踏みしめ天井まで駆け上ったり、あれ、重量ってなんだっけ? というレベルでおかしな動きを見せている。 フレーレが逃げ続ける間に炎も尽き、そんなドラゴンさんの頭上から、フレーレの拳が落とされた。
ドグアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
巨大な体が床にぶつかり、ドラゴンさんが目を回している。 まだ息はあるらしいけど、暫くは大丈夫そうだ。
「うぁ、勝ってしまったわよ。 私ちょっと怖いんですけれど。」
「大丈夫です。 普通にしていれば襲ってはきませんから。 変な事をしたら別ですけど。」
そんな話をしている俺に、フレーレが気付いたらしい。 此方に向かって手を振っている。
「あ、バールだわー。 ねぇ見て、良いペットを見つけたわよー。 なかなかカッコいいでしょー。 ちゃんとコミュニケーションも取れるのよー。」
「いやいやいや、そんなの持ち帰られないからね! キッッパリ諦めてください!」
俺は説得を続けたのだが、フレーレは絶対嫌だと諦めてくれなかった。
「ねぇクズ男。 フレーレという人物はどの様な人なのですか? 聞いてあげるから話してみなさい。」
「もうそろそろ言わせてもらおうと思いますけど、俺はクズ男じゃありません。 次からはバールと呼んでください。 もし次言うようなら、その刃の部分をへし折ってやりますよ。」
「嫌よ! 折られたら痛そうじゃないの。 もし死んだらどうするんです! それにもし痛くなくても、へし折れた短剣として生きて行くなんて耐えられません! そんな酷いことを言うなんて、やっぱり貴方はゴミクズよ! それで充分でしょう!」
「・・・・・それはつまり、もう一度パンツの中に入りたいという事ですね? 良いでしょう、では早速・・・・・。」
俺は懐にある短剣を取り出し、自分の股間へと手を進めて行く。
「やめてええええええええええええええええ! もうそれだけは許してえええええええええええええ! 謝るから、ちゃんと謝るからああああああああああ!」
「だったらもう少し普通に話してください。 貴女はこの時代ではもう王女では無いんですから。 そんな傲慢な態度では誰も助けてはくれませんよ?」
「・・・・・出来るだけ・・・・・努力致します・・・・・バール殿・・・・・。」
「分かって貰えて嬉しいですよ。 まあ仲良くして行きましょう。 俺も変な事を言われなければ、酷い事はしませんので。 それと俺の名前は呼び捨てでも大丈夫ですよ。」
「・・・・・はい・・・そうですね。 仲良く致しましょう。」
多少心変わりをしてくれたのだろうか? 少し大人しくなったフレデリッサだが、俺はまだ油断をしていない! 先ほども裏切れたし、ちゃんと信用するのにはまだ早いだろう。 もうちょっと、せめてマリーヌ様にお渡しするまでは大人しくしてもらわないと。
俺はほんのりと警戒しながら彼女と話をし、フレーレを探していった。
どうもフレーレはかなりの距離を進んでいるらしい、一時間は歩き続けているが、まだ追い着く事が出来ないでいた。 一体何処まで進んだのやら。 それにこの遺跡だ。 あとどの位進めばゴールにたどり着けるんだろう。 外はもう夜中にはなっていると思うし、会場には誰も残っていないんじゃないか?
道を進む俺達は、直角に曲がった通路を曲がると、目の前に巨大な鮫が現れた。
戦闘体勢を取り、攻撃に備えたが、鮫の魔物は一向に襲って来る気配が無かった。 よく考えれば先に進んだフレーレが倒さないはずがない。 もう死んでいるんだろう。
そういえばと、鮫がどうやって動いていたのかと観察すると、腹の下から昆虫の脚の様な物が八本生えていた。 これで歩き回っていたのだろう。
そしてフレーレだが、目的の魔物を倒したというのに、この場に留まっていなかった。 まだ道は奥に続いている。 殲滅させる為に、もっと奥に進んだのだろう。 俺もそれに続き奥を目指した。
それからかなり進んだ所。 俺達は最後の扉にたどり着いた。 だがそれはバラバラに破壊されている。
「あれ? これは・・・・・。」
打ち壊された欠片の中に、短剣型の窪みが見えた。 まさか此処が・・・・・
「ああ、ここは試練の間ですね。 昔の奴がこの私を使って、この扉の鍵にしてしまったんです。 私に誰か来たら叫べとか勝手な事をベラベラ喋って、無理やり私に文字を刻んだり色々おかしな事ばかりされてしまったのです。 結局短剣になった私になど、信用出来る人は誰も近づいてはきませんでしたよ。 貴方も含めて。」
クズとか無駄な罵声はしなくなったが、やはり多少の嫌味は言ってくるのか。 それでも前よりは随分とマシだな。
「へ~、そうなんですね。 まあフレーレには鍵が無くても問題はなかったようですけどね。 それじゃあこの先に進んで見ますかね。」
「ええ、ドンドン進んでちょうだい。」
少し進むと、また大きな部屋へと到着した。 その部屋の中ではフレーレが最後敵と戦い続けていた。 魔物、とは違うのだろうか? 鍵の掛かった部屋に居たのは、物語でよく見かけるドラゴンによく似ている。
暗緑色(色の名前)の体、巨大な翼、硬そうな鱗、そして巨大な牙と爪。 こんなものが鍵の掛かった部屋に居るとは、まさかこのドラゴン、本物じゃないだろうな?
まあ本物かどうかは置いておいて、このドラゴン、人間の言葉を話すらしい。 やられ過ぎて文句を言いだしている。
「あり得ぬ。 あり得ぬぞ! この我をたった一人で圧倒するだと! 貴様は一体何者なのだあああああ!」
「私フルール・フレーレって言うのよー。 よろしくねドラゴンさん。」
「おのれえええええええええええええええええ人間めえええええええええええ!」
うん、こんな戦いに俺が加わっても潰されたりしそうだし、参戦するのは止めておこう。 ドラゴンさんも、こっちには気づいていないし。
「ねぇバ―ル、あれ本当に人間なのですか? 物凄いんですけど・・・・・。」
「まあ一応人間ですよ。 俺も含めてね。」
そんなドラゴンさんを相手にしているフレーレだが、今まさにピンチを迎えようとしている。
・・・・・ドラゴンさんが。
振り下ろされる爪は逆に叩き折られ、噛み付こうとする牙も幾つか穴が開いている。 押しつぶそうと頑張っても、フレーレの攻撃により叩き返されている。
こうなるともう少しドラゴンさんには頑張ってもらいたい所だ。 頑張れドラゴンさん、俺の仇を討ってくれ。 一発でもいいから。
だがドラゴンさんはもう駄目そうだった。 そんなドラゴンさんは、最後の攻撃を仕掛けた。 空中に飛び上がったドラゴンさんは、辺りの空気を吸って膨れ上がる。 俺は知ってる。 これは絶対あれだ、炎吐くやつだ。 ドラゴンって言ったらそれしかない。
「塵とかせ! 愚か者があああああああああああああ!」
ドラゴンさんの口から、轟音と共に炎が吐き出された。 壁や床を溶かしながら、フレーレ目掛けて進んで行く。 まあそんな炎を待っている程、フレーレは遅くないんだが。
壁を踏みしめ天井まで駆け上ったり、あれ、重量ってなんだっけ? というレベルでおかしな動きを見せている。 フレーレが逃げ続ける間に炎も尽き、そんなドラゴンさんの頭上から、フレーレの拳が落とされた。
ドグアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
巨大な体が床にぶつかり、ドラゴンさんが目を回している。 まだ息はあるらしいけど、暫くは大丈夫そうだ。
「うぁ、勝ってしまったわよ。 私ちょっと怖いんですけれど。」
「大丈夫です。 普通にしていれば襲ってはきませんから。 変な事をしたら別ですけど。」
そんな話をしている俺に、フレーレが気付いたらしい。 此方に向かって手を振っている。
「あ、バールだわー。 ねぇ見て、良いペットを見つけたわよー。 なかなかカッコいいでしょー。 ちゃんとコミュニケーションも取れるのよー。」
「いやいやいや、そんなの持ち帰られないからね! キッッパリ諦めてください!」
俺は説得を続けたのだが、フレーレは絶対嫌だと諦めてくれなかった。
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