一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
15 君のハートをブラックリスト。
ジリリリリリっと目覚ましが鳴る、でも今の私には聞こえていなかった。 寝間着のまま私は眠り続けている。
「・・・・・」
昨日の疲労も勿論あるけど、たぶんこれは会心の眠りなのだろう。 次が休みの日だと思って寝たら休みが終わっていたなんて体験してる人もいると思うわ。 そんなのだから何時までも目覚ましが鳴りやまず、ストリーちゃんにメイ君、正面に住んで居た人達まで心配して見に来てたみたいだわ。 そして今、部屋の扉がドンドンと叩かれていた。
「母上、居ないのですか母上? おかしい、何時もならとっくに起きてきているのに。」
「まさか死んでいるなんて事ないですよね? 過労死とか突然死とか・・・・・無理やりにでも扉を開けた方が良いかもしれません!! ストリーさん、合い鍵とか持ってないんですか?!」
「し、死だと!! クソッ合い鍵はアツシが持っているのだ、こうなれば扉をぶち破るのみだ!! 全員下がっていろ、私が剣で両断する!!」
ストリーにより扉が半分に斬られ、ガンっと蹴り壊された。 心配そうに皆が私の部屋まで押し入ってる。 そんな音さえも気づかず、私は死んだ様に眠り続けているんだけど・・・・・
「起きてください聖華さん、ちゃんと生きていますよね!! 息は・・・・・あるみたいだ。」
メイ君により揺らされる私、本当にただ寝てるだけの私は、揺らされてほんのりと意識が戻りつつあった。
「母上を療養所に連れて行く、メイ、運ぶのを手伝ってくれ!!」
「待ちたまえ君達、何やら困っている様だね。 どれ、まず私が見てやろう、ああ安心したまえ、私はこの聖華さんの恋人だ、何も心配する事はない。 よし、まずは回復魔法を掛けてみよう。」
「母上の恋人だと? そ、そうなのか?」
「いや、僕に聞かれても知らないけど・・・・・」
何処かで聞き覚えが有りそうな声。 恋人って何だろう? 誰の? 私の? まだ頭が働かず、目を開ける事もしたくない。
「ほおおおおおおおおおお、冷たき水の癒し!!」
私の体に手が置かれ、なんか手の動きが微妙に・・・・・
その時私は思い出した、この声の持ち主が誰なのかを。 此奴は昨日の男ハンブラーだわ、何でこの男が私の部屋に居るの!!
「回復魔法で駄目となると、精神的なものかもしれません。 まあ任せてください、私に考えがあります。 こういう時に必要なものは王子様のキスと相場が決まっているのです。 さあ聖華さん、この私の口づけで、長い眠りから目覚めるのです!!」
目を瞑っていても何かが近づいて来るのが分かる。 私は動きたいのを必死でこらえ、右腕の拳を固く握った。 その顔が攻撃範囲に近づいた瞬間、私はカッと目を開け、ハンブラーの顎の辺りを思いっきり殴り飛ばした。
「ぐふぉおおおおおおお!!」
バランスを崩して倒れこむハンブラーに、私は止めの蹴りを見舞わせた。
「何であんたが此処に居る訳?! まさか昨日の今日でストーカーされるとは思わなかったんだけど!! もう二度と出来ない様に、徹底的に叩きのめしてやろうかしら!!」
「母上、この男と知り合いではないのですか?」
「違うわよ、此奴は昨日会っただけの馬鹿よ。 私とは一切何の関わり合いも無いわ!!」
「照れなくても良いじゃないか、昨日あんなに激しく口づけをし合ったばかりだろ!! 折角引っ越しまでして来たのに、直ぐ喧嘩なんて悲しいじゃないか!!」
「だから、あれはただの人工呼吸だって言ったでしょ!! って引っ越しって何!! あんたまさか・・・・・」
「思い立ったが吉日と言うだろうが、昨日のの内に家を調べ上げて、この向かいの部屋の住人に金を渡して譲って貰ったのだ。 別に悪い事をした訳じゃない、全く何の問題も無いぞ!!」
本格的なやば目の奴だ、今直ぐ対処しないと不味いわね。 いっそ抹殺・・・・・いや駄目駄目、思考がおかしな方に行っちゃうわ。 まずこのストーカーを追い払わないと。
「死ねええええええええええええええええ!!」
何となく口に出た言葉と共に、私は立ち上がったハンブラーに飛び蹴りをくらわせた。 ズザっとハンブラーが部屋の外に飛び出し、斬り飛ばされた扉を背中で押さえ、残っていた二人と相談を始めた。
「開けてくれ聖華、これからの事を話し合おうじゃないか!! 俺が悪かったから、此処を開けてくれ!!」
ちなみに私がハンブラーを蹴り飛ばしたぐらいから、他の野次馬は逃げ帰ってる。
「聖華さん、本当にあの男と何もないんですよね? タダの痴話げんかじゃないんですよね?」
「当たり前でしょ、あの男が喧嘩を売って来たから返り討ちにしただけよ。 ちょっと死にかけたから、心臓マッサージと人工呼吸しただけ。」
「母上に手を出すとは、私に喧嘩を売った様な物だ。 この場で成敗してきましょうか。」
「それは駄目よ、正義の味方を目指す魔法少女が、私を狙う極悪人とはいえ、人殺しなんてしたら駄目なのよ!!」
「いえ母上、私は殺すまではしませんが・・・・・」
「大丈夫よ、ストリーちゃんにそんな事はさせないから。 でも別の世界に行く予定のメイ君なら、別の世界に連れて行ってくれるかも・・・・・」
「いやいやいやいやいや、僕だってまだ悩んでるんですから、行くとは決まってませんって。 フレーレさんともどうなるか分かりませんし。 そうだ聖華さん、それより良い方法がありますよ。 ブラックリストを使いましょう。」
「ブラックリスト? って何?」
「特定の人をチェックすると、その人は此方を認識できなくなります。 細かく項目をチェックしていくと、聖華さんに関わる物全てが見えなくなります。 この部屋の扉も、あの人にはただの壁に見える様になりますよ。」
「へ~、それってすごく便利ね。 それがあれば対人戦無敵になるんじゃないの?」
「使用条件があるんです、二回以上の面識がある事、相手の名前が分かる事、自分が如何しても許せない相手だという事。 それと五十人までしか使う事が出来ません。 使った人にしか効果は無いので、探偵みたいなものを使われたら全く無意味です。 あとは相手が何もないと思って石でも投げたら、それが運悪く直撃する事もあるかもしれませんね。 一度記入したら二度と消える事はありませんから、記入には注意を。」
「ありがとうメイ君、早速使ってみるわね!!」
使い方をメイ君に教わり、私は躊躇わずにそれを使った。 これであの男には、私と、私が関わる家族、友人が見えなくなる。 私物や部屋の扉さえ発見出来ないだろう。
「・・・・・」
昨日の疲労も勿論あるけど、たぶんこれは会心の眠りなのだろう。 次が休みの日だと思って寝たら休みが終わっていたなんて体験してる人もいると思うわ。 そんなのだから何時までも目覚ましが鳴りやまず、ストリーちゃんにメイ君、正面に住んで居た人達まで心配して見に来てたみたいだわ。 そして今、部屋の扉がドンドンと叩かれていた。
「母上、居ないのですか母上? おかしい、何時もならとっくに起きてきているのに。」
「まさか死んでいるなんて事ないですよね? 過労死とか突然死とか・・・・・無理やりにでも扉を開けた方が良いかもしれません!! ストリーさん、合い鍵とか持ってないんですか?!」
「し、死だと!! クソッ合い鍵はアツシが持っているのだ、こうなれば扉をぶち破るのみだ!! 全員下がっていろ、私が剣で両断する!!」
ストリーにより扉が半分に斬られ、ガンっと蹴り壊された。 心配そうに皆が私の部屋まで押し入ってる。 そんな音さえも気づかず、私は死んだ様に眠り続けているんだけど・・・・・
「起きてください聖華さん、ちゃんと生きていますよね!! 息は・・・・・あるみたいだ。」
メイ君により揺らされる私、本当にただ寝てるだけの私は、揺らされてほんのりと意識が戻りつつあった。
「母上を療養所に連れて行く、メイ、運ぶのを手伝ってくれ!!」
「待ちたまえ君達、何やら困っている様だね。 どれ、まず私が見てやろう、ああ安心したまえ、私はこの聖華さんの恋人だ、何も心配する事はない。 よし、まずは回復魔法を掛けてみよう。」
「母上の恋人だと? そ、そうなのか?」
「いや、僕に聞かれても知らないけど・・・・・」
何処かで聞き覚えが有りそうな声。 恋人って何だろう? 誰の? 私の? まだ頭が働かず、目を開ける事もしたくない。
「ほおおおおおおおおおお、冷たき水の癒し!!」
私の体に手が置かれ、なんか手の動きが微妙に・・・・・
その時私は思い出した、この声の持ち主が誰なのかを。 此奴は昨日の男ハンブラーだわ、何でこの男が私の部屋に居るの!!
「回復魔法で駄目となると、精神的なものかもしれません。 まあ任せてください、私に考えがあります。 こういう時に必要なものは王子様のキスと相場が決まっているのです。 さあ聖華さん、この私の口づけで、長い眠りから目覚めるのです!!」
目を瞑っていても何かが近づいて来るのが分かる。 私は動きたいのを必死でこらえ、右腕の拳を固く握った。 その顔が攻撃範囲に近づいた瞬間、私はカッと目を開け、ハンブラーの顎の辺りを思いっきり殴り飛ばした。
「ぐふぉおおおおおおお!!」
バランスを崩して倒れこむハンブラーに、私は止めの蹴りを見舞わせた。
「何であんたが此処に居る訳?! まさか昨日の今日でストーカーされるとは思わなかったんだけど!! もう二度と出来ない様に、徹底的に叩きのめしてやろうかしら!!」
「母上、この男と知り合いではないのですか?」
「違うわよ、此奴は昨日会っただけの馬鹿よ。 私とは一切何の関わり合いも無いわ!!」
「照れなくても良いじゃないか、昨日あんなに激しく口づけをし合ったばかりだろ!! 折角引っ越しまでして来たのに、直ぐ喧嘩なんて悲しいじゃないか!!」
「だから、あれはただの人工呼吸だって言ったでしょ!! って引っ越しって何!! あんたまさか・・・・・」
「思い立ったが吉日と言うだろうが、昨日のの内に家を調べ上げて、この向かいの部屋の住人に金を渡して譲って貰ったのだ。 別に悪い事をした訳じゃない、全く何の問題も無いぞ!!」
本格的なやば目の奴だ、今直ぐ対処しないと不味いわね。 いっそ抹殺・・・・・いや駄目駄目、思考がおかしな方に行っちゃうわ。 まずこのストーカーを追い払わないと。
「死ねええええええええええええええええ!!」
何となく口に出た言葉と共に、私は立ち上がったハンブラーに飛び蹴りをくらわせた。 ズザっとハンブラーが部屋の外に飛び出し、斬り飛ばされた扉を背中で押さえ、残っていた二人と相談を始めた。
「開けてくれ聖華、これからの事を話し合おうじゃないか!! 俺が悪かったから、此処を開けてくれ!!」
ちなみに私がハンブラーを蹴り飛ばしたぐらいから、他の野次馬は逃げ帰ってる。
「聖華さん、本当にあの男と何もないんですよね? タダの痴話げんかじゃないんですよね?」
「当たり前でしょ、あの男が喧嘩を売って来たから返り討ちにしただけよ。 ちょっと死にかけたから、心臓マッサージと人工呼吸しただけ。」
「母上に手を出すとは、私に喧嘩を売った様な物だ。 この場で成敗してきましょうか。」
「それは駄目よ、正義の味方を目指す魔法少女が、私を狙う極悪人とはいえ、人殺しなんてしたら駄目なのよ!!」
「いえ母上、私は殺すまではしませんが・・・・・」
「大丈夫よ、ストリーちゃんにそんな事はさせないから。 でも別の世界に行く予定のメイ君なら、別の世界に連れて行ってくれるかも・・・・・」
「いやいやいやいやいや、僕だってまだ悩んでるんですから、行くとは決まってませんって。 フレーレさんともどうなるか分かりませんし。 そうだ聖華さん、それより良い方法がありますよ。 ブラックリストを使いましょう。」
「ブラックリスト? って何?」
「特定の人をチェックすると、その人は此方を認識できなくなります。 細かく項目をチェックしていくと、聖華さんに関わる物全てが見えなくなります。 この部屋の扉も、あの人にはただの壁に見える様になりますよ。」
「へ~、それってすごく便利ね。 それがあれば対人戦無敵になるんじゃないの?」
「使用条件があるんです、二回以上の面識がある事、相手の名前が分かる事、自分が如何しても許せない相手だという事。 それと五十人までしか使う事が出来ません。 使った人にしか効果は無いので、探偵みたいなものを使われたら全く無意味です。 あとは相手が何もないと思って石でも投げたら、それが運悪く直撃する事もあるかもしれませんね。 一度記入したら二度と消える事はありませんから、記入には注意を。」
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