一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。

秀典

45 徹底正義、ラブサンシャイン!!(おまけ)

 この世界は悪意に満ちている。 小さな虐めから、巨大なテロ、果てにはたった一発で何千人、何万人にまで死傷者が出る最悪の兵器まで、この世にはあらゆる災厄が溢れている。 そんな世界に颯爽と立ち上がったこの私、少しの魔法と、少しの勇気を持って生まれたのが、ラブサンシャインこと藤野木ふじのき れん、この私だ。


 向うの世界で力を得た私は、ほんの少しの勇気が持てずに、この世界に戻って来てしまってた。 でも私は一週間前に、その機会を得たのだった。 多少やり方には問題があったかもしれないけれど、私は虐められていたあの子(見城みしろ 紅音あかね)を助けたのだった。


 解き放たれた私は、魔法少女として、正義の味方として、この世界を護る為に立ち上がったのだった。


 ・・・・・でもちょっとだけ悩みがある、十六歳になったのに少女でいいのだろうか? 聖華さんには悪いけど、もうちょっと考えてみようと思う。


 魔法女とか? 駄目だ、全然合っていない。 魔女? それはちょっと違う気がする。 魔法使い? ちょっと違う? ウィッチ、ウィザード、マジカルガール?


 私の感性とはちょっと合わない。 マジカルエンジェル? ラブマジカル? ラブエンジェル?


 何方かと言うと私は魔法少女よりは戦隊物の方が好きだったりする。 仮面系も結構カッコいい人が出て好きだ。 よし、そっちの方向で考えてみよう、その方がきっと私に合う名前が思い浮かぶはずだ。


 そして私は一つの結論に行きついた。 そう、私は正義を執行する者!! これから私の名前は、ジャスティスウィッチ、ラブサンシャインだ!! 前置きを変えただけだから聖華さんも怒らないだろう。


 そして今日。 名前が変わって初めてのパトロールを始める。 私はお父さんに気づかれない様に、夜の町中を駆け巡る。 あの世界でレベルが上がった私には、屋根の上を駆ける事なんて簡単に出来る。 ・・・・・でもそれはしない、屋根の上でも勝手に登ったら駄目です。 だから私は電柱の上を飛び渡っている。 ちなみに私は、超ジャンプと身体能力向上のスキル、そしてスピードアップを取っている。 電柱を渡る位は出来る様になってるのだ。


 一応ウィックとメイク、それと向うで買った顔を隠す仮面。 正体がバレない為とは言え、こんな仮面をつけて、怪しくない訳が無い。 これで警察に止められたら完全に不審者扱いになってしまう。 なるべく警察には会いたくない。 もし出会ってしまったなら、全力で逃げるしかないだろう。


「わ、私のバックを返してええええええええええ!!」


 今日の見回りは平和に終わるかとも思ったけど、私は帰り際にそれを見つけてしまった。 おばあちゃんのバックを、バイクに乗った二人組が奪って行く所を。  周りには誰も居ない、今此処で飛び出さなければ、正義の味方失格だろう。 私は躊躇なくバイクの前に立ちはだかった。


「チィィ、ひいてしまえ!!」」


「・・・・・!!」


「待ちなさ!! このジャスティスウィッチ・・・こら聞きなさいよ!! このッ、ライトニングスラッシュキッイイイイイイイイイイイイイック!!」


 私の口上を無視して、直進してくるバイクを飛び越えながら、二人組のヘルメットを蹴り飛ばした。 吹き飛ばされる二人組と、乗りてを失って電柱に激突するバイク。 そのバイクは当たり所が悪くて、盛大に炎上していった。 ひったくりの二人は、ヘルメットのおかげで酷い怪我はしていない様だ。 この騒ぎに何人かは集まろうとしていたが、二人が武器を持った時に全員が逃げて行った。


「テメェ!! 俺のバイクをよくもやりやがったな!!」


「変な格好しやがって、もうテメェ許さねぇからな!!」


 二人組は小さなナイフを持って私の前に立ち塞がる。 しかしその程度の武器、私にはなんの恐怖も与えはしない。 この程度の恐怖なんて、あの怪獣の前にはチリにも満たない物だ。


「罪深き者共よ、正義の裁きを持ってその身を浄化するがいい!! ジャスティス、ウィッチ!! ラブ、サンシャイン!!」


 完璧に決まったポーズ、その余韻を待たずに二人組が襲い掛かって来た。 上から振り下ろす、横に薙ぎ払う、どれ一つとっても二人組の攻撃は単調で、あの人達の剣の冴えには遠く及ばない。


 そして、わざわざそれを受けるまでもなく、私は遠くからの攻撃が出来るのだ。


「正義の裁きをくらいなさい。 ラブリイイイイイイイイイイイイイイイイ、レーザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 ハートの衝撃が二人を包む、二人の動きが止まり、私は後をむいて指を鳴らした。


「ショックッ!!」


 魔法のハートが弾け、ひったくり二人に強烈な衝撃が襲いかかる。 


「ぐはああああああああ・・・・・」


「げはあああああああああ・・・・・」


 二人は倒れこみ、私は倒れた二人を縛り上げた。


「ありがとうございます、えっと・・・・・?」


「ジャスティスウィッチ、ラブサンシャインよ!! じゃあねおばあちゃん、ちゃんと警察と消防に連絡するのよ? ・・・・・とう!!」






 電柱の上に跳び上がり、私はその場を去って行った。 これからも私の戦いは続いて行くだろう、もしかしたら危険な戦いもあるかもしれない、しかし私はもう逃げ出したりはしない、世界が平和になるまで、私は戦い続けるのだ!!


                     END



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