一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
26 留まるのも勇気が要るが、諦めるのも更に勇気が要る。
俺の衝撃はどのぐらいだったのだろう。 自分の母親が授業参観で”魔法少女の恰好”だったと想像してみてくれ。 そんな俺は、今の状況に全く付いて行けていない。
 「さあ行くわよ、悪い人達は私達の正義の魔法でノックダウンよ!! ラブ。 プリンセス。 私達の力を見せてあげましょう!! くらいなさい、シューティング・スターアロー!!」
「わ、分かりました、スター”お姉さま”プリンセスの輝きを見せてあげますわ。 ぷ、プリンセス・ライト・アロー!!」
「ら、ラブリー・レーザー!!」
三人がそれぞれ魔法を放つ、名前が違うだけで全部同じものだ。 三角形の刺の様な物を飛ばすだけの魔法みたいだ。 ただ実戦なんてした事が無い三人には、狙いが定まらずに、兵士達の尻とかに当たったりしている。 その攻撃をくらった兵士達が振り向き、一瞬時が止まった様に、全員が母ちゃん達を見つめている。 これは痛い、俺の心が痛い!!
「な、何だありゃ。 あれってアツシの母ちゃんだよなぁ? 何であんなおかしな恰好してるんだ? もしかして俺達を邪魔しようっていうのか? 如何すんだあれ?」
「あれってプリ―ムちゃんと、恋ちゃんだっけー? う~んと、倒しちゃって良いのかしらー?」
「それは不味いですフレーレさん、母上に攻撃なんてしたら、今後の嫁姑問題に発展しそうです。 私はそんなものをしたくありません。」
「んじゃあれだ、もう無視しちまおう。」
「うむ、それで行こう。」
「分かったわー。」
いち早く混乱から抜け出したべノム達は、敵を倒しながら母ちゃんの横を抜けて行った。
「待ちなさい、星の輝きからは逃れられないわよ!! シューティング・スターアロー!!」
べノムを狙った母ちゃんの攻撃は、ヒョイっと軽く避けられる。 それを追い掛けて行こうとする母ちゃん達だったが、脳が再起動した俺は後から羽交い絞めにしてそれを止めた。
「や、止めろ、かあ・・・・・」
駄目だ!! 母ちゃんと言ってはいけない。 これが俺の母ちゃんだと知られたら、部屋に引きこもってしまいそうだ。 確かスター何とかとか言ってた様だ、その名前を使うとしよう。
「す、スター・サンシャイン。 ちょっと皆の邪魔になりそうだから、宿に帰ろうぜ。 さあ早く!!」
「ちょっと手を放しなさい!! こらアツシ、母ちゃんの言う事が聞けないっていうの!! 手を放しなさい!!」
(あれが彼奴の母ちゃんか、可哀想に、あの息子も苦労してるんだろうな。)
(しッ、言ってやるな、あの息子の事を考えると此処は無視してやる方が正解だ。 俺達も敵を追うぞ、行くぞお前達。)
(ああ、願わくばあの息子に幸せが訪れますように。)
ザワザワと声が聞こえて来た気がする。 殆どがべノム達を追って行ったけど、少し残ってる奴は、俺達の事をチラチラと見て去って行く。 死にそうな程恥ずかしかったが、此処で母ちゃんを止めなければ更なる辱めを受けてしまう。
「もう良いだろ、帰ろうぜ!! こんな皆が居る前で恥ずかしいんだって!!」
「アツシ、ちょっと放しなさいって!! 三人が行っちゃうでしょ!! もう二人共、見てないで手伝って頂戴!!」
「は、はいお姉様。 ラブさんは左脚をお願いします。 私は右脚を引っ張りますから!!」
「う、分かった。」
三人掛かりで引っ張られるが、俺はそのぐらいでは剥がれない!! ストリーの訓練のおかげで、俺の体力は尋常ではなくなっているのだ。 今回だけは礼を言っておく、有り難うストリー、感謝しているぞ!!
「こうなったら秘密兵器を呼ぶしかないわね。 さあ二人共、ブレイヴジャスティスを呼ぶわよ!!」
「は、はいお姉様!!」 「はい・・・・・」
「「「乙女の願いを捧げます、現れて、ブレイブジャスティス!!」」」
ブレイヴジャスティスって何だ、恋も嫌なら止めれば良いのに。 もう辺りには怪我人しかいなくなっている。 正義だと言うならあの人達を回復させてやれよ。
「とおおおおおおおおおおおおおおおう!!」
そう言って屋根の上に現れたのは、ロボットの様な全身鎧に身を包んだ男だった。 この世界に母ちゃんの知り合いなんて居ないのだ、男だとするともう限られてくる。 俺じゃないし、べノムじゃない、魔王は城にいるし、残ってるのはもうアイツしかいない。 確かブレイヴは勇敢とか勇者とかそんな感じの意味だったはずだ、ジャスティスは正義、中に入ってるのメイだろう。 ストリーの事を見守りたいというのに、こんな事をしている暇は無いというのに!!
「ふはははははははは!! 僕こそが正義! 勇気ある正義!! ブレイヴ!! ジャスティス!! 此処に参上!!」
一言ごとにポーズをビシッと決め、背中から爆発が見えそうだ。
「あれ? もう皆居ないじゃないですか、これじゃあ折角のポーズが台無しじゃないですか。」
「五月蠅い!! お前か、お前が母ちゃんにこんな事させたのか!! こんな大衆の真ん中で、親のこんな格好を見せられた俺の気持ちがわかるのか!! さっさと降りて来いクロイツ、ぶん殴ってやる!!」
「アツシったら明君に何を言ってるの、これはお母さんの夢だったのよ? お母さん昔っから魔法を使ってみたいって思ってたし、夢が叶って嬉しいのよ。 息子だったら一緒に喜んで頂戴。」
「嫌だ!! やるんなら子供の見ていない所でやってくれ!! こんな大衆の真ん中でやらないでくれ!! 俺が恥ずかしいから!!」
「アツシさんこそ道の真ん中で騒いで目立ってますよ? そんな大声で叫んでたら親子だってバレバレでしょう、もう今更恥ずかしがる事なんてありませんよ、堂々としていましょうよ!!」
「お前、他人事だと思って何言ってる!! こんなのに慣れたくないし、俺の邪魔をしても何の得も無いんだぞ!! 俺を困らせてどうしようってんだ!!」
「別に僕がやろうと言った訳じゃないです、星華さんが頼んできたから聞いてあげただけですから。」
メイが地面に着地して俺の手を引きはがす。 流石レベル100と言えるほどの強い力だ、このまま少しなら耐える事も出来るのだが、何分も持たないだろう。
「分かった!! 手を放すから、母ちゃんは、せめてその恰好を止めてくれ!!」
「はぁ、仕方ないわねぇ。 その位ならちゃんと約束してあげるわ。」
「よし、約束だぞ!!」
そう、俺の約束は守られた、母ちゃんは魔法少女の衣装を着替え、そしてパワーアップして帰って来た。 母ちゃんは、別の魔法少女の衣装を着て現れたのだった。 その衣装は魔法少女ヴァージョン2、パワーアップした時に着る為に持って来たらしい。 所々クリスタルっぽい物が飾られ、前の衣装より華やかになっている。 これを着るなと言っても、また別の物を持って来られたら嫌だ。 もう諦めよう、俺が我慢すれば済む事だ・・・・・
 「さあ行くわよ、悪い人達は私達の正義の魔法でノックダウンよ!! ラブ。 プリンセス。 私達の力を見せてあげましょう!! くらいなさい、シューティング・スターアロー!!」
「わ、分かりました、スター”お姉さま”プリンセスの輝きを見せてあげますわ。 ぷ、プリンセス・ライト・アロー!!」
「ら、ラブリー・レーザー!!」
三人がそれぞれ魔法を放つ、名前が違うだけで全部同じものだ。 三角形の刺の様な物を飛ばすだけの魔法みたいだ。 ただ実戦なんてした事が無い三人には、狙いが定まらずに、兵士達の尻とかに当たったりしている。 その攻撃をくらった兵士達が振り向き、一瞬時が止まった様に、全員が母ちゃん達を見つめている。 これは痛い、俺の心が痛い!!
「な、何だありゃ。 あれってアツシの母ちゃんだよなぁ? 何であんなおかしな恰好してるんだ? もしかして俺達を邪魔しようっていうのか? 如何すんだあれ?」
「あれってプリ―ムちゃんと、恋ちゃんだっけー? う~んと、倒しちゃって良いのかしらー?」
「それは不味いですフレーレさん、母上に攻撃なんてしたら、今後の嫁姑問題に発展しそうです。 私はそんなものをしたくありません。」
「んじゃあれだ、もう無視しちまおう。」
「うむ、それで行こう。」
「分かったわー。」
いち早く混乱から抜け出したべノム達は、敵を倒しながら母ちゃんの横を抜けて行った。
「待ちなさい、星の輝きからは逃れられないわよ!! シューティング・スターアロー!!」
べノムを狙った母ちゃんの攻撃は、ヒョイっと軽く避けられる。 それを追い掛けて行こうとする母ちゃん達だったが、脳が再起動した俺は後から羽交い絞めにしてそれを止めた。
「や、止めろ、かあ・・・・・」
駄目だ!! 母ちゃんと言ってはいけない。 これが俺の母ちゃんだと知られたら、部屋に引きこもってしまいそうだ。 確かスター何とかとか言ってた様だ、その名前を使うとしよう。
「す、スター・サンシャイン。 ちょっと皆の邪魔になりそうだから、宿に帰ろうぜ。 さあ早く!!」
「ちょっと手を放しなさい!! こらアツシ、母ちゃんの言う事が聞けないっていうの!! 手を放しなさい!!」
(あれが彼奴の母ちゃんか、可哀想に、あの息子も苦労してるんだろうな。)
(しッ、言ってやるな、あの息子の事を考えると此処は無視してやる方が正解だ。 俺達も敵を追うぞ、行くぞお前達。)
(ああ、願わくばあの息子に幸せが訪れますように。)
ザワザワと声が聞こえて来た気がする。 殆どがべノム達を追って行ったけど、少し残ってる奴は、俺達の事をチラチラと見て去って行く。 死にそうな程恥ずかしかったが、此処で母ちゃんを止めなければ更なる辱めを受けてしまう。
「もう良いだろ、帰ろうぜ!! こんな皆が居る前で恥ずかしいんだって!!」
「アツシ、ちょっと放しなさいって!! 三人が行っちゃうでしょ!! もう二人共、見てないで手伝って頂戴!!」
「は、はいお姉様。 ラブさんは左脚をお願いします。 私は右脚を引っ張りますから!!」
「う、分かった。」
三人掛かりで引っ張られるが、俺はそのぐらいでは剥がれない!! ストリーの訓練のおかげで、俺の体力は尋常ではなくなっているのだ。 今回だけは礼を言っておく、有り難うストリー、感謝しているぞ!!
「こうなったら秘密兵器を呼ぶしかないわね。 さあ二人共、ブレイヴジャスティスを呼ぶわよ!!」
「は、はいお姉様!!」 「はい・・・・・」
「「「乙女の願いを捧げます、現れて、ブレイブジャスティス!!」」」
ブレイヴジャスティスって何だ、恋も嫌なら止めれば良いのに。 もう辺りには怪我人しかいなくなっている。 正義だと言うならあの人達を回復させてやれよ。
「とおおおおおおおおおおおおおおおう!!」
そう言って屋根の上に現れたのは、ロボットの様な全身鎧に身を包んだ男だった。 この世界に母ちゃんの知り合いなんて居ないのだ、男だとするともう限られてくる。 俺じゃないし、べノムじゃない、魔王は城にいるし、残ってるのはもうアイツしかいない。 確かブレイヴは勇敢とか勇者とかそんな感じの意味だったはずだ、ジャスティスは正義、中に入ってるのメイだろう。 ストリーの事を見守りたいというのに、こんな事をしている暇は無いというのに!!
「ふはははははははは!! 僕こそが正義! 勇気ある正義!! ブレイヴ!! ジャスティス!! 此処に参上!!」
一言ごとにポーズをビシッと決め、背中から爆発が見えそうだ。
「あれ? もう皆居ないじゃないですか、これじゃあ折角のポーズが台無しじゃないですか。」
「五月蠅い!! お前か、お前が母ちゃんにこんな事させたのか!! こんな大衆の真ん中で、親のこんな格好を見せられた俺の気持ちがわかるのか!! さっさと降りて来いクロイツ、ぶん殴ってやる!!」
「アツシったら明君に何を言ってるの、これはお母さんの夢だったのよ? お母さん昔っから魔法を使ってみたいって思ってたし、夢が叶って嬉しいのよ。 息子だったら一緒に喜んで頂戴。」
「嫌だ!! やるんなら子供の見ていない所でやってくれ!! こんな大衆の真ん中でやらないでくれ!! 俺が恥ずかしいから!!」
「アツシさんこそ道の真ん中で騒いで目立ってますよ? そんな大声で叫んでたら親子だってバレバレでしょう、もう今更恥ずかしがる事なんてありませんよ、堂々としていましょうよ!!」
「お前、他人事だと思って何言ってる!! こんなのに慣れたくないし、俺の邪魔をしても何の得も無いんだぞ!! 俺を困らせてどうしようってんだ!!」
「別に僕がやろうと言った訳じゃないです、星華さんが頼んできたから聞いてあげただけですから。」
メイが地面に着地して俺の手を引きはがす。 流石レベル100と言えるほどの強い力だ、このまま少しなら耐える事も出来るのだが、何分も持たないだろう。
「分かった!! 手を放すから、母ちゃんは、せめてその恰好を止めてくれ!!」
「はぁ、仕方ないわねぇ。 その位ならちゃんと約束してあげるわ。」
「よし、約束だぞ!!」
そう、俺の約束は守られた、母ちゃんは魔法少女の衣装を着替え、そしてパワーアップして帰って来た。 母ちゃんは、別の魔法少女の衣装を着て現れたのだった。 その衣装は魔法少女ヴァージョン2、パワーアップした時に着る為に持って来たらしい。 所々クリスタルっぽい物が飾られ、前の衣装より華やかになっている。 これを着るなと言っても、また別の物を持って来られたら嫌だ。 もう諦めよう、俺が我慢すれば済む事だ・・・・・
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