一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
25 王道を行く者達80 宿敵との戦い
イモータル自体も移動し、煙幕の無い所へと行こうとしているが、ラフィールの魔法により煙幕を空中に止め、動きに合わせて移動させている。
「風よッ、吹き付けろ!」
だがその間にもイモータルの攻撃は続く、透明な魔力の斬撃は数を増し、空中に散布した煙幕がドンドン薄くなってきている。
「リサさん二つ目をお願い!」
「あいよ!」
リサにより二つ目の小瓶が投げられ、それが空中で割られると、煙幕は元の色よりも濃く厚くなっている。
「どうしました? まさかこの煙幕を燃やそうとでも思っているんですか? 無駄ですよ、その位の炎など私の力の前では無意味、簡単に吹き散らしてあげましょう!」
「ふん、バレてたのね、だったらくらわしてあげるわ!! 行くわよラフィール!」
「応!」
「バースト・ファイヤーッ!」「・・・・・風よッ、吹き荒れろ!」
リーゼの魔法が空に舞う煙幕へと当たると、膨大な炎が巻き起こった。 ラフィールの暴風は、その炎に更に力を与えた。 その熱量はすさまじく、地面に居たリーゼ達も焼け付く様な痛みを与える。
しかし攻撃を止めたイモータルは、全力を持ってその炎を防いでいる。 上空の炎の渦がイモータルを中心に左右へ割れた。 その中から現れたイモータルの姿は、ほんの少しだけ服が焼けている程度のダメージしか受けていない。
「リサさん三つ目を早く!」
「任せときな!」
三つ目の煙幕は、炎が収まって直ぐに投げられた。 煙幕は再びイモータルの視界を奪い、攻撃の軌跡を表す。
「何度も同じ事を、効かないと言ってるのが分らないのですか!」
「ふん、空から降りても来ないで、同じ事を繰り返してるのはあんたもでしょ!! 嫌なら地上に降りて来なさい!」
「フフフ・・・・・気が向いたらそうしましょうか」
不可視の刃が再びリーゼ達を襲いだす。 避けるのも難しいそれは、少しずつだったが、躱しきれなかったものが腕や体へと傷を付ける。 だが此方の攻撃は届かない、弓も持っていないので、リーゼの魔法ぐらいしか攻撃手段はなかった。
「リサさん、6つ目まで全部お願い!」
「おうさ!」
リサにより更に三つの瓶が空中に放り投げられ、先ほどよりも濃い煙となった。 向う側が見えない程になると、イモータルに退避する暇も与えず、直ぐに炎の魔法を撃ち込んだ。
「バースト・ファイヤーッ!」「・・・・・風よッ、吹き荒れろ!」
イモータルの攻撃は止んでいる、もう防御体勢を整えているのだろう。 煙幕として使われた小さな粉が、炎で弾け獄炎となる。
「無駄ですよ! あ・・・・・がはッ・・・・・」
同じように炎が割れる、その爆風が収まった時、イモータルの体に二本の矢が突き刺さっていた。 左肩へと一発、そして胸へと一つが。
防御に専念していたイモータルは気付かなかっただろう、煙幕の下での人の動きは。 一つ目の煙幕の時、マッドとハガンは入れ替わる様に動いていた。 腕も無く、ただ避け続けるハガンに、イモータルは気を張っては居なかったのだ。 入れ替わったマッドはというと、隠し持った弓をリーゼに渡していた。
もう一つ、崖下に隠されたボウガンがある、これは退避したとマッドが用意した物だ。 このボウガンは足で撃てるように改造され、ハガンはそのボウガンを使い、文字通り一矢を報いていた。
最初から全て計算されていた、相手が飛べる事もマッドから聞いて知っていたし、射撃武器を持っていなかったのも油断させる為だった。 胸へと突き刺さるその矢を受けたイモータルは、高い上空から落ちて行った。
グシャ、その音で全てが終わった気がした。 だがイモータルは起き上がり、自分の胸の矢を引き抜いた。
「ふ、フフフ・・・・・勝ったと思いましたか? この心臓は石、もとより殆ど機能しておりません。 残念でしたね・・・・・」
そう言っているがその足元はふら付いている。 壊れないとはいえ心臓に衝撃を与えられたのだ、まだダメージは残っているのだろう。
「あいつの上空に煙幕を、また飛ばせちゃ駄目よ!」
「任せなよ!」
「ラフィールは煙幕のコントロールを。 マッドさんはハガンと交代よ!」
「よし!」 「ごめんなさいイモータル様、ですが私は此方側と決めたのです!」
マッドが下がり、まだ万全でないイモータルに向かって三人は攻撃を仕掛けた。 ラフィールを先頭に、一列となり前へと進んで行く。 ラフィールの盾へ鎧へと魔力の斬撃がガシガシ当たる。 もう防壁の数は1つとして残されていない。
「行くぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
ガンっとイモータルへと盾がぶつかった。 盾の先にはイモータルの掌があり、恐るべき力によりラフィールは後方へと叩き返された。 盾には傷は付かなかったが、それを掴んでいる両手にはかなりの衝撃が掛かる。 治療を受けなければ復帰するのは無理だろう。
「ぐああああああああああああああ!」
そのラフィールの代わりに前に出たのはリサだった、大剣の刃を盾とし、イモータルの攻撃を受け止めた。 剣は大きく、攻撃を防ぐ事は出来るが、これはあくまでも剣だ、持ち手の所から斬撃が飛び交い、リサの腕が血塗れへと変って行く。 力を振り絞り剣を地面に突き立てると、そこで二人の進行が止まった。
「リーゼちゃん、まだ飛び出すんじゃないよ。 良いかい、焦ったら駄目だよ、このままチャンスを待つんだ」
「リサさん、指が・・・・・」
リサの右手の指が、今は二本しか残っていなかった。 利き手の指を失ってはこの大剣を持ち上げる事は出来ない。 逆手では満足に振る事も出来ない。
「気にするんじゃないよ、後でマッドに治してもらうからさ。 今は戦いに集中しな!」
「ええ・・・・・分かったわ!」
打ち付けられる攻撃の音、それは無限に湧き出す様に一瞬たりとも止まなかった。 一分、二分と攻撃が続き、三分後、ほんの一瞬のチャンスが訪れる。 マッドと交代したハガンが、壁沿いを移動し、イモータルの背後へと迫っている。 音もなく迫るハガンの蹴りが、イモータルへと襲い掛かった。
ザンッ、切り裂かれたのはハガンの右足。 一度攻撃をくらい、ハガンの事は警戒されていた。 イモータルがほんの一瞬振り向いた、その隙にリーゼは飛び出す。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
その声に反応して、一瞬で攻撃を仕掛けるイモータルだったが、その不可視の斬撃はリサの大剣に当たり弾かれるだけで、リーゼの居る場所には届いていなかった。 リサの背中を踏み台にし、大剣の柄を足場にし、高く上空へと上がっている。 イモータルが上空を見上げた時、バッサリと肩口を斬り付けられ地面へと倒れて行った。
「風よッ、吹き付けろ!」
だがその間にもイモータルの攻撃は続く、透明な魔力の斬撃は数を増し、空中に散布した煙幕がドンドン薄くなってきている。
「リサさん二つ目をお願い!」
「あいよ!」
リサにより二つ目の小瓶が投げられ、それが空中で割られると、煙幕は元の色よりも濃く厚くなっている。
「どうしました? まさかこの煙幕を燃やそうとでも思っているんですか? 無駄ですよ、その位の炎など私の力の前では無意味、簡単に吹き散らしてあげましょう!」
「ふん、バレてたのね、だったらくらわしてあげるわ!! 行くわよラフィール!」
「応!」
「バースト・ファイヤーッ!」「・・・・・風よッ、吹き荒れろ!」
リーゼの魔法が空に舞う煙幕へと当たると、膨大な炎が巻き起こった。 ラフィールの暴風は、その炎に更に力を与えた。 その熱量はすさまじく、地面に居たリーゼ達も焼け付く様な痛みを与える。
しかし攻撃を止めたイモータルは、全力を持ってその炎を防いでいる。 上空の炎の渦がイモータルを中心に左右へ割れた。 その中から現れたイモータルの姿は、ほんの少しだけ服が焼けている程度のダメージしか受けていない。
「リサさん三つ目を早く!」
「任せときな!」
三つ目の煙幕は、炎が収まって直ぐに投げられた。 煙幕は再びイモータルの視界を奪い、攻撃の軌跡を表す。
「何度も同じ事を、効かないと言ってるのが分らないのですか!」
「ふん、空から降りても来ないで、同じ事を繰り返してるのはあんたもでしょ!! 嫌なら地上に降りて来なさい!」
「フフフ・・・・・気が向いたらそうしましょうか」
不可視の刃が再びリーゼ達を襲いだす。 避けるのも難しいそれは、少しずつだったが、躱しきれなかったものが腕や体へと傷を付ける。 だが此方の攻撃は届かない、弓も持っていないので、リーゼの魔法ぐらいしか攻撃手段はなかった。
「リサさん、6つ目まで全部お願い!」
「おうさ!」
リサにより更に三つの瓶が空中に放り投げられ、先ほどよりも濃い煙となった。 向う側が見えない程になると、イモータルに退避する暇も与えず、直ぐに炎の魔法を撃ち込んだ。
「バースト・ファイヤーッ!」「・・・・・風よッ、吹き荒れろ!」
イモータルの攻撃は止んでいる、もう防御体勢を整えているのだろう。 煙幕として使われた小さな粉が、炎で弾け獄炎となる。
「無駄ですよ! あ・・・・・がはッ・・・・・」
同じように炎が割れる、その爆風が収まった時、イモータルの体に二本の矢が突き刺さっていた。 左肩へと一発、そして胸へと一つが。
防御に専念していたイモータルは気付かなかっただろう、煙幕の下での人の動きは。 一つ目の煙幕の時、マッドとハガンは入れ替わる様に動いていた。 腕も無く、ただ避け続けるハガンに、イモータルは気を張っては居なかったのだ。 入れ替わったマッドはというと、隠し持った弓をリーゼに渡していた。
もう一つ、崖下に隠されたボウガンがある、これは退避したとマッドが用意した物だ。 このボウガンは足で撃てるように改造され、ハガンはそのボウガンを使い、文字通り一矢を報いていた。
最初から全て計算されていた、相手が飛べる事もマッドから聞いて知っていたし、射撃武器を持っていなかったのも油断させる為だった。 胸へと突き刺さるその矢を受けたイモータルは、高い上空から落ちて行った。
グシャ、その音で全てが終わった気がした。 だがイモータルは起き上がり、自分の胸の矢を引き抜いた。
「ふ、フフフ・・・・・勝ったと思いましたか? この心臓は石、もとより殆ど機能しておりません。 残念でしたね・・・・・」
そう言っているがその足元はふら付いている。 壊れないとはいえ心臓に衝撃を与えられたのだ、まだダメージは残っているのだろう。
「あいつの上空に煙幕を、また飛ばせちゃ駄目よ!」
「任せなよ!」
「ラフィールは煙幕のコントロールを。 マッドさんはハガンと交代よ!」
「よし!」 「ごめんなさいイモータル様、ですが私は此方側と決めたのです!」
マッドが下がり、まだ万全でないイモータルに向かって三人は攻撃を仕掛けた。 ラフィールを先頭に、一列となり前へと進んで行く。 ラフィールの盾へ鎧へと魔力の斬撃がガシガシ当たる。 もう防壁の数は1つとして残されていない。
「行くぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
ガンっとイモータルへと盾がぶつかった。 盾の先にはイモータルの掌があり、恐るべき力によりラフィールは後方へと叩き返された。 盾には傷は付かなかったが、それを掴んでいる両手にはかなりの衝撃が掛かる。 治療を受けなければ復帰するのは無理だろう。
「ぐああああああああああああああ!」
そのラフィールの代わりに前に出たのはリサだった、大剣の刃を盾とし、イモータルの攻撃を受け止めた。 剣は大きく、攻撃を防ぐ事は出来るが、これはあくまでも剣だ、持ち手の所から斬撃が飛び交い、リサの腕が血塗れへと変って行く。 力を振り絞り剣を地面に突き立てると、そこで二人の進行が止まった。
「リーゼちゃん、まだ飛び出すんじゃないよ。 良いかい、焦ったら駄目だよ、このままチャンスを待つんだ」
「リサさん、指が・・・・・」
リサの右手の指が、今は二本しか残っていなかった。 利き手の指を失ってはこの大剣を持ち上げる事は出来ない。 逆手では満足に振る事も出来ない。
「気にするんじゃないよ、後でマッドに治してもらうからさ。 今は戦いに集中しな!」
「ええ・・・・・分かったわ!」
打ち付けられる攻撃の音、それは無限に湧き出す様に一瞬たりとも止まなかった。 一分、二分と攻撃が続き、三分後、ほんの一瞬のチャンスが訪れる。 マッドと交代したハガンが、壁沿いを移動し、イモータルの背後へと迫っている。 音もなく迫るハガンの蹴りが、イモータルへと襲い掛かった。
ザンッ、切り裂かれたのはハガンの右足。 一度攻撃をくらい、ハガンの事は警戒されていた。 イモータルがほんの一瞬振り向いた、その隙にリーゼは飛び出す。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
その声に反応して、一瞬で攻撃を仕掛けるイモータルだったが、その不可視の斬撃はリサの大剣に当たり弾かれるだけで、リーゼの居る場所には届いていなかった。 リサの背中を踏み台にし、大剣の柄を足場にし、高く上空へと上がっている。 イモータルが上空を見上げた時、バッサリと肩口を斬り付けられ地面へと倒れて行った。
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