一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
14 無事をお祈りしますって祈ってるだけの民衆の為に、生贄になるのが勇者の仕事なのか?
恋の相談を受けて次の日、俺は昼に明の奴を校舎裏に呼び出していた。 ストリーの奴は今頃不良達に囲まれて、何か話してるんじゃないだろうか? 男同士の話し合いだと言っておいたので、たぶん気を利かせて来ないと思う。
「メイ、実はお前に話があるんだ。」
「何ですか? もう向うに行く日は決まっているし、まさかストリーさんが居るのに僕にまで手を出そうと?!」
「違うわ!! 何で俺がお前に手を出さんといかんのだ、俺が手を出すとしたら恋ちゃんにしたいわ!!」
「じゃあ何の話なんですか? 僕はこれでも忙しいんですけど、用が有るのなら早くお願いします。」
「実はお前に告白したいって娘が居るんだけどな。 どうせ向うに行くんだから断るんだろ?」
「当たり前じゃないですか、僕は姫一筋なんですから。 それでその娘って誰なんですか? 隣の席の鉄山さんですか? それとも隣のクラスの二畳ヶ原さん? まさかストリーさんじゃないでしょうね?」
此奴は自分がモテると勘違いしてるんじゃないだろうな? ストリーがお前に惚れるわけないだろうが!!
「アホか、ストリーがお前に惚れるかよ!! もしそんな事になったらお前は俺の代わりに酷い目に合うぞ!! きっと後悔する、お前には絶対無理だからな!!」
「じょ、冗談ですよ、二人が好き合ってるのは知ってますから取る様な事はしませんよ。 それで誰なんですか?」
「恋だよ、恋がお前の事を好きなんだってさ。 恋は知ってる奴だから、あんまり酷い振り方はしてやるなよ。 俺の事を恨まれても困る。」
「・・・・・恋ちゃんですって? ぼ、僕は向うへ行く前、恋ちゃんの事が好きだったんです。 何で今?! 向うへ行く前だったなら直ぐに付き合ってたのに!! ど、どうしましょうアツシさん、僕ちょっと迷ってます!!」
恋の事を聞くと随分動揺してるメイ、気持ちが一瞬で揺らいだな。 俺としては付き合うにしろ付き合わないにしろ、もうどっちでもいいのだけど。
「断るでいいんだよな?」
「ちょっと待ってください!! もうちょっとだけ考えさせてください!! いや向うには行きますよ、でも凄く、物凄く勿体ないじゃないですか!! 僕は一体どうしたら良いんだ!!」
如何もしないで良いと思う。 そんな簡単に揺らぐなら、もうこっちで暮らしたら良いんじゃないの?
「お前さ、そんなに悩むんならこっちに残れば良いじゃん。 こっちの方が安全だし、恋だって良い奴だぞ? 俺の世界に行ったって、そっちの世界に行けるとは限らないだろ?」
「何を言ってるんですか、向うには姫が待ってるし、僕が行かないとあっちの世界は救われないんですよ!! 僕はあの世界の勇者なんですから!!」
たった一人で世界の運命を変えれるって? それは随分と傲慢だと思うけどな。 それともそれが出来るから勇者って言うのだろうか? それでもしその世界に行けなかったら、此奴は一体どうするんだろうか?
「別にお前が行かなくったって何とかするって。 例えお前に力があったって、お前がやらなきゃい駄目ってのは違うだろ。」
「アツシさんは、目の前に殺されそうな人が居ても助けないんですか? 自分が簡単にたおせるとしても?」
「さあ? 助けるとは思うけど、相手が強そうだったら逃げるかも。」
「はぁ、僕の肩には皆の想いが乗ってるんです。 死んで行った仲間だっているんですから、今更やらないなんて選択肢はありません。」
「その皆の想いってのは何だ? どうせお前の事だから、国の皆の為にとか言ってるんだろうけど。 何でそいつ等は戦わないんだ? お前だけに戦わせて、そいつ等は普通に暮らしてるんだろ?」
「違います、彼等だって戦っているんです。 家族の為に必死で働いて、雀の涙程の金を得ているんです。 彼等を馬鹿にしないでください!!」
それは本当に正義なのか? その家族って奴は自分達じゃ戦えないからと、お前に想いを託したと? でも考えてみろよ、お前とその仲間だけが死にそうな思いをして戦って、そいつ等はただ祈って待ってるだけなんだぜ。 凄く不公平だと思わないのか?
「それは戦う力が無いからか? じゃあ鍛えれば良いじゃないか、剣が無いのなら棒きれでも何でも使って皆で戦えよ。」
「出来る訳がないでしょう、色々な人がいるんですよ。 家族の中には子供だっているんです、戦えるわけが無い!!」
「なんでその子供を鍛えないんだよ、魔物に殺されて行く世界なんだろ? 子供の内から戦える様に鍛えれば良いだろうが。 そうすれば殺される事も少なくなるし、生存率も上がるだろ。」
「そ、そうなのかもしれないですけど、そう簡単に出来ないでしょうが!!」
「死んで行った仲間の為に? そいつ等は魔王を倒すまで戦い続けろって? お前が死んでも、あ~駄目だった、とかあの世で言われるだけだぞ。 そんでその姫さんってのは別の勇者を探すんだろうさ。」
「もしかして僕を馬鹿にしてるんですか!! そんな事を言われたって僕は!! ・・・・・違う、まさかアツシさんは、たった一人の女で揺らぐ僕に喝を入れる為に?!」
何勘違いしてるんだ此奴、俺はお前が勇者だ勇者だって持ち上げられて騙されてるんじゃないのかって言ってるんだけど。 ・・・・・何かめんどくさくなってきた。
「すいませんアツシさん、恋ちゃんにはキッパリ付き合えないと言います!! これで僕の心は決まりました、僕は絶対向うへ行きますから!!」
もう無理だ、この勇者様には俺の言葉は通じない様だ。 もうこの男を説得するのは諦めよう。
「分かってくれたかメイ!! 俺の心を分かってくれて嬉しいぜ!! その世界を救えるのはお前しか居ない、俺は応援しているぞ!! 俺はそっちの世界に行く事は出来ないが、兎に角死なない様に頑張れよ。」
「はい!! 僕は頑張ります、あの世界を救う為に!! アツシさんも頑張ってください、親友として応援しています!!」
俺は何時親友になったのだろう? もしかしたら俺は勘違いをしていたのかもしれない。 勇者って奴は、人の言う事を聞かない奴の事を言うんじゃないだろうか?
「メイ、実はお前に話があるんだ。」
「何ですか? もう向うに行く日は決まっているし、まさかストリーさんが居るのに僕にまで手を出そうと?!」
「違うわ!! 何で俺がお前に手を出さんといかんのだ、俺が手を出すとしたら恋ちゃんにしたいわ!!」
「じゃあ何の話なんですか? 僕はこれでも忙しいんですけど、用が有るのなら早くお願いします。」
「実はお前に告白したいって娘が居るんだけどな。 どうせ向うに行くんだから断るんだろ?」
「当たり前じゃないですか、僕は姫一筋なんですから。 それでその娘って誰なんですか? 隣の席の鉄山さんですか? それとも隣のクラスの二畳ヶ原さん? まさかストリーさんじゃないでしょうね?」
此奴は自分がモテると勘違いしてるんじゃないだろうな? ストリーがお前に惚れるわけないだろうが!!
「アホか、ストリーがお前に惚れるかよ!! もしそんな事になったらお前は俺の代わりに酷い目に合うぞ!! きっと後悔する、お前には絶対無理だからな!!」
「じょ、冗談ですよ、二人が好き合ってるのは知ってますから取る様な事はしませんよ。 それで誰なんですか?」
「恋だよ、恋がお前の事を好きなんだってさ。 恋は知ってる奴だから、あんまり酷い振り方はしてやるなよ。 俺の事を恨まれても困る。」
「・・・・・恋ちゃんですって? ぼ、僕は向うへ行く前、恋ちゃんの事が好きだったんです。 何で今?! 向うへ行く前だったなら直ぐに付き合ってたのに!! ど、どうしましょうアツシさん、僕ちょっと迷ってます!!」
恋の事を聞くと随分動揺してるメイ、気持ちが一瞬で揺らいだな。 俺としては付き合うにしろ付き合わないにしろ、もうどっちでもいいのだけど。
「断るでいいんだよな?」
「ちょっと待ってください!! もうちょっとだけ考えさせてください!! いや向うには行きますよ、でも凄く、物凄く勿体ないじゃないですか!! 僕は一体どうしたら良いんだ!!」
如何もしないで良いと思う。 そんな簡単に揺らぐなら、もうこっちで暮らしたら良いんじゃないの?
「お前さ、そんなに悩むんならこっちに残れば良いじゃん。 こっちの方が安全だし、恋だって良い奴だぞ? 俺の世界に行ったって、そっちの世界に行けるとは限らないだろ?」
「何を言ってるんですか、向うには姫が待ってるし、僕が行かないとあっちの世界は救われないんですよ!! 僕はあの世界の勇者なんですから!!」
たった一人で世界の運命を変えれるって? それは随分と傲慢だと思うけどな。 それともそれが出来るから勇者って言うのだろうか? それでもしその世界に行けなかったら、此奴は一体どうするんだろうか?
「別にお前が行かなくったって何とかするって。 例えお前に力があったって、お前がやらなきゃい駄目ってのは違うだろ。」
「アツシさんは、目の前に殺されそうな人が居ても助けないんですか? 自分が簡単にたおせるとしても?」
「さあ? 助けるとは思うけど、相手が強そうだったら逃げるかも。」
「はぁ、僕の肩には皆の想いが乗ってるんです。 死んで行った仲間だっているんですから、今更やらないなんて選択肢はありません。」
「その皆の想いってのは何だ? どうせお前の事だから、国の皆の為にとか言ってるんだろうけど。 何でそいつ等は戦わないんだ? お前だけに戦わせて、そいつ等は普通に暮らしてるんだろ?」
「違います、彼等だって戦っているんです。 家族の為に必死で働いて、雀の涙程の金を得ているんです。 彼等を馬鹿にしないでください!!」
それは本当に正義なのか? その家族って奴は自分達じゃ戦えないからと、お前に想いを託したと? でも考えてみろよ、お前とその仲間だけが死にそうな思いをして戦って、そいつ等はただ祈って待ってるだけなんだぜ。 凄く不公平だと思わないのか?
「それは戦う力が無いからか? じゃあ鍛えれば良いじゃないか、剣が無いのなら棒きれでも何でも使って皆で戦えよ。」
「出来る訳がないでしょう、色々な人がいるんですよ。 家族の中には子供だっているんです、戦えるわけが無い!!」
「なんでその子供を鍛えないんだよ、魔物に殺されて行く世界なんだろ? 子供の内から戦える様に鍛えれば良いだろうが。 そうすれば殺される事も少なくなるし、生存率も上がるだろ。」
「そ、そうなのかもしれないですけど、そう簡単に出来ないでしょうが!!」
「死んで行った仲間の為に? そいつ等は魔王を倒すまで戦い続けろって? お前が死んでも、あ~駄目だった、とかあの世で言われるだけだぞ。 そんでその姫さんってのは別の勇者を探すんだろうさ。」
「もしかして僕を馬鹿にしてるんですか!! そんな事を言われたって僕は!! ・・・・・違う、まさかアツシさんは、たった一人の女で揺らぐ僕に喝を入れる為に?!」
何勘違いしてるんだ此奴、俺はお前が勇者だ勇者だって持ち上げられて騙されてるんじゃないのかって言ってるんだけど。 ・・・・・何かめんどくさくなってきた。
「すいませんアツシさん、恋ちゃんにはキッパリ付き合えないと言います!! これで僕の心は決まりました、僕は絶対向うへ行きますから!!」
もう無理だ、この勇者様には俺の言葉は通じない様だ。 もうこの男を説得するのは諦めよう。
「分かってくれたかメイ!! 俺の心を分かってくれて嬉しいぜ!! その世界を救えるのはお前しか居ない、俺は応援しているぞ!! 俺はそっちの世界に行く事は出来ないが、兎に角死なない様に頑張れよ。」
「はい!! 僕は頑張ります、あの世界を救う為に!! アツシさんも頑張ってください、親友として応援しています!!」
俺は何時親友になったのだろう? もしかしたら俺は勘違いをしていたのかもしれない。 勇者って奴は、人の言う事を聞かない奴の事を言うんじゃないだろうか?
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
2
-
-
140
-
-
34
-
-
147
-
-
361
-
-
37
-
-
159
-
-
1978
-
-
127
コメント