一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
2 依頼
あの二人が現れて次の日。 ストリーはまだ寝ている、昨日の夜は激しかったから疲れているのだろう。 ちなみにただのカードゲームでだが。
同じベットに寝ているというのに、今はまだトイレの時間がちょっと伸びただけだ。 まだ体をちょっと触る位しか出来ない自分が悩ましい。 また逃げられたら嫌だし、触る部位をちょっとずつずらして、その内に・・・・・
さて、もうそろそろ朝食が出来上がる時間だ。 今日の当番はクロッケルだったかな? 俺はストリーを起こさない様に、ロビーへと降りて行く。 ロビーには女性陣の姿は見えない。 イバスと、クロッケル、それと・・・・・
「・・・・・あのさ、あんた等何で此処で飯食ってんの?」
ロビーに向かうと、仲間達の姿と、昨日会った二人組が食事を取っている。
「あ、お早う御座いますアツシさ~ん。 私達の事は気にしないでください、ちょっと食事をしてるだけですので。」
「お、このパイいけるな、もう一個貰っとけばよかったな。」
「おいイバス、昨日話したスパイだぞ。 こいつ等放っておいて良いのかよ?」
「はぁ、でも此処ってブリガンテで、此処はただの宿屋で、あの人達は食事をしているだけ。 僕達が襲ったらこっちが悪者になっちゃうよ。」
まさか尾行がバレたから開き直ったのか? 何かして来るとは思っていたけど、こんなあからさまに来るとは面倒臭い奴等だなぁ。
「じゃあもう良いよ、俺も飯食うから。 んで? 俺の分は?」
いつもの席に座り、食事が出て来るのを待つ。 普段なら俺が起きた時には取り分けて置いてあるんだが。 今日はまだ出されていない様だ。
「あれだよ、食べられてるやつ。」
イバスが二人の食ってる物を指す。 という事は俺の食事は?
「なあ、まだ俺の分残ってるよな? あれだけなんて事は無いよな?」
「無いよ、あれだけ。 ストリーさんの分も持ってったね。」
「・・・・・うをおおおおおおおおい!! お前等、俺達の飯を返せええええええええええ!!」
「うむ、美味かったぞ。 王国の飯ってのも中々美味いもんだな。 これからもちょくちょくお邪魔するから、また頼むぞ。」
「はい先輩、特にあのパイは美味しかったですよね。 決めました、私明日の朝も来ようと思います!!」
「たかりに来たなら帰れよ!! いや、その前に飯代を置いてけよ、外でなんか買って来るから。」
「まあ落ち着いてくれアツシ、実は俺達は良い話を持って来たんだよ。 この話に乗ればこんな貧乏生活ともおさらば出来るぞ。 どうだ、興味が出てきただろ?」
「俺がそんな話に乗ると思うのか? 俺は知っているぞ、美味い話には裏があるってな。 その話を受けた瞬間、不幸が山の様にやって来るに違いないんだ。 どんな話か知らないが、そんな話は聞く気は無い!!」
「まあ聞けアツシ、美味い話なんだよ、聞いてからでも遅くないだろ? 実はな・・・・・」
「聞かないって言ってるだろ!!」
「そんなに行くのが嫌なら、俺が話を聞いてやろうか? 俺もそこそこ役には立つぜ?」
今日の食事当番クロッケル。 俺より強いし、任せるには打って付けだ。 このまま見守っておこう。
「あんたがか? それは無理だ、アツシ、お前が指名されているからな。」
「そうかい、そいつは残念だ。」
俺この国に知り合いなんて居ないんだけど? まさか本当に有名になったのか?
「誰だよ指名なんてした奴は、俺この国で何かしたか? 全く覚えが無いんだけど。」
「ジュリアン様ですよー、アツシさん知ってるでしょう?」
「お偉いさんからの依頼だぞ、まさか断る何て言わないよな? 偉い人の頼みは聞いておいた方がいいぞ。」
「ジュリアンって・・・・・ああ、彼奴か。 まあそれなら知ってるけど、俺に何させようって言うんだよ。 それに、一応俺は王国の兵士だからな、勝手に何かする訳にはいかないぞ。」
「ああ、アツシ、行って来ても良いよ。 友好国を助けるのも任務の内だからね。 それに結構暇だし、何人か連れてっても良いよ。 僕以外で。」
「そうか、じゃあイバスと・・・・・」
「僕以外で!!」
「お前が面倒臭くて行きたくないってだけだろ。 どうせ暇なんだし、付き合えよ相棒。 俺達チームじゃないか、そうだろ親友。 で、後はクロッケルも行こうぜ、俺と一緒なら良いんだろ?」
「面倒な事は行きたくないんだよ、ストリーさんを連れてけば良いだろ!!」
「いや、今起こすのは可哀想だし。 それに、お前が来れば、あの三人と別々に行動できるんだぞ。」
「・・・・・行きます。」
イバスがあの三人を苦手にしてる事は知っていたが、そんなに嫌なら言ってやれば良いのに。 相変わらずヘタレな奴だ。
「で、クロッケルは?」
「俺も行く、此処に居ても暇だからな。 それに報酬も期待出来るんだろ? こんな所に来ても給料は変わらないからな。」
「じゃあこの三人で決定で。」
「じゃあ決まった所で~、早速ジュリアン様のお屋敷に向かいましょうか。」
「ああちょっと待った。 いきなり居なくなったら驚くだろうし、メモでも書いて置くぜ。」
文面は如何しよう? 心配させるといけないし、見回りに行くとでも書いておこうか。 よしそうしよう。
ストリーへ、男三人で見回り行ってきます。 もしかしたら遅くなるかもしれないけど、心配しなくて良いです、っと。
メモを書き終え、宿の主人に渡すと、俺達三人と二人はジュリアンの屋敷へ向かった。 大臣の屋敷って事で想像はしていたけど、やっぱり凄いわ。 庭がすんごい広いし、ちゃんと手入れされてる。 漫画や映画の様な、色とりどりのバラが咲き乱れ、女性陣が来ていたら喜んでたかもしれないな。
おや? 一角だけ花が途切れて、アシンメトリーになってる。 こういう所はシンメトリーが基本だって聞いた事があるが、此処は違うのだろうか?
「おい、何をしている、早く来いよ。 お待たせしたら比津礼だろうが。」
「お、おう、今行くぜ。」
リュークに促され俺は屋敷へと入って行った。 屋敷の中もすんごい広い、まるで小さな城の様だ。 ホールはダンスを踊れそうだし、天井からはシャンデリアが吊り下げられている。
それにしてもこんなに広いのに、使用人とかは居ないんだろうか? まだ誰も見かけないが、大きい屋敷だからと言って使用人が居るとは限らないのかな? そんな事を考えていると、二階から階段を降りてくるジュリアンが見える。
「アツシ殿、良くおいでくださいました、来てくれて嬉しいですよ。 お茶を用意してあります、さあ此方へどうぞ。」
ジュリアンと会うのも久しぶりだ、弟子入りの騒動から会って無かったな。 何となく雰囲気が変わったかな。
二階の部屋へ通され、そこでジュリアンから話をされた。
「実はこの町から北西にある岩場に魔物が住み着いたようなんですよ。 その近くには村がありとても危険なのです、アツシ殿の力を見込んで、その魔物を退治して貰えないでしょうか。」
「いや、そんなのこの国の兵士にやらせれば良いじゃないか。 俺達この国の兵士じゃないんだぜ? 何で俺達に頼むんだよ。」
「いえ、この依頼はアツシ殿にしか出来ません、王位戦でマリーヌ様と互角に戦った貴方にしか出来ない事です。 勿論報酬も用意させてもらいましたよ、さあこれでどうでしょうか?」
ジュリアンが出した物は、積み上げられた金塊の山だった。 しかし俺はそんな事より、言った事の意味が分からなかった。
王位戦とか、互角とか何言ってんだこいつ。
「あのさぁ・・・・・」
「よし引き受けた、俺達が責任を持って退治してやろう!!」
俺はもう少し話そうと思ったが、クロッケルが金塊に目がくらみ、その依頼を引き受けてしまった。
同じベットに寝ているというのに、今はまだトイレの時間がちょっと伸びただけだ。 まだ体をちょっと触る位しか出来ない自分が悩ましい。 また逃げられたら嫌だし、触る部位をちょっとずつずらして、その内に・・・・・
さて、もうそろそろ朝食が出来上がる時間だ。 今日の当番はクロッケルだったかな? 俺はストリーを起こさない様に、ロビーへと降りて行く。 ロビーには女性陣の姿は見えない。 イバスと、クロッケル、それと・・・・・
「・・・・・あのさ、あんた等何で此処で飯食ってんの?」
ロビーに向かうと、仲間達の姿と、昨日会った二人組が食事を取っている。
「あ、お早う御座いますアツシさ~ん。 私達の事は気にしないでください、ちょっと食事をしてるだけですので。」
「お、このパイいけるな、もう一個貰っとけばよかったな。」
「おいイバス、昨日話したスパイだぞ。 こいつ等放っておいて良いのかよ?」
「はぁ、でも此処ってブリガンテで、此処はただの宿屋で、あの人達は食事をしているだけ。 僕達が襲ったらこっちが悪者になっちゃうよ。」
まさか尾行がバレたから開き直ったのか? 何かして来るとは思っていたけど、こんなあからさまに来るとは面倒臭い奴等だなぁ。
「じゃあもう良いよ、俺も飯食うから。 んで? 俺の分は?」
いつもの席に座り、食事が出て来るのを待つ。 普段なら俺が起きた時には取り分けて置いてあるんだが。 今日はまだ出されていない様だ。
「あれだよ、食べられてるやつ。」
イバスが二人の食ってる物を指す。 という事は俺の食事は?
「なあ、まだ俺の分残ってるよな? あれだけなんて事は無いよな?」
「無いよ、あれだけ。 ストリーさんの分も持ってったね。」
「・・・・・うをおおおおおおおおい!! お前等、俺達の飯を返せええええええええええ!!」
「うむ、美味かったぞ。 王国の飯ってのも中々美味いもんだな。 これからもちょくちょくお邪魔するから、また頼むぞ。」
「はい先輩、特にあのパイは美味しかったですよね。 決めました、私明日の朝も来ようと思います!!」
「たかりに来たなら帰れよ!! いや、その前に飯代を置いてけよ、外でなんか買って来るから。」
「まあ落ち着いてくれアツシ、実は俺達は良い話を持って来たんだよ。 この話に乗ればこんな貧乏生活ともおさらば出来るぞ。 どうだ、興味が出てきただろ?」
「俺がそんな話に乗ると思うのか? 俺は知っているぞ、美味い話には裏があるってな。 その話を受けた瞬間、不幸が山の様にやって来るに違いないんだ。 どんな話か知らないが、そんな話は聞く気は無い!!」
「まあ聞けアツシ、美味い話なんだよ、聞いてからでも遅くないだろ? 実はな・・・・・」
「聞かないって言ってるだろ!!」
「そんなに行くのが嫌なら、俺が話を聞いてやろうか? 俺もそこそこ役には立つぜ?」
今日の食事当番クロッケル。 俺より強いし、任せるには打って付けだ。 このまま見守っておこう。
「あんたがか? それは無理だ、アツシ、お前が指名されているからな。」
「そうかい、そいつは残念だ。」
俺この国に知り合いなんて居ないんだけど? まさか本当に有名になったのか?
「誰だよ指名なんてした奴は、俺この国で何かしたか? 全く覚えが無いんだけど。」
「ジュリアン様ですよー、アツシさん知ってるでしょう?」
「お偉いさんからの依頼だぞ、まさか断る何て言わないよな? 偉い人の頼みは聞いておいた方がいいぞ。」
「ジュリアンって・・・・・ああ、彼奴か。 まあそれなら知ってるけど、俺に何させようって言うんだよ。 それに、一応俺は王国の兵士だからな、勝手に何かする訳にはいかないぞ。」
「ああ、アツシ、行って来ても良いよ。 友好国を助けるのも任務の内だからね。 それに結構暇だし、何人か連れてっても良いよ。 僕以外で。」
「そうか、じゃあイバスと・・・・・」
「僕以外で!!」
「お前が面倒臭くて行きたくないってだけだろ。 どうせ暇なんだし、付き合えよ相棒。 俺達チームじゃないか、そうだろ親友。 で、後はクロッケルも行こうぜ、俺と一緒なら良いんだろ?」
「面倒な事は行きたくないんだよ、ストリーさんを連れてけば良いだろ!!」
「いや、今起こすのは可哀想だし。 それに、お前が来れば、あの三人と別々に行動できるんだぞ。」
「・・・・・行きます。」
イバスがあの三人を苦手にしてる事は知っていたが、そんなに嫌なら言ってやれば良いのに。 相変わらずヘタレな奴だ。
「で、クロッケルは?」
「俺も行く、此処に居ても暇だからな。 それに報酬も期待出来るんだろ? こんな所に来ても給料は変わらないからな。」
「じゃあこの三人で決定で。」
「じゃあ決まった所で~、早速ジュリアン様のお屋敷に向かいましょうか。」
「ああちょっと待った。 いきなり居なくなったら驚くだろうし、メモでも書いて置くぜ。」
文面は如何しよう? 心配させるといけないし、見回りに行くとでも書いておこうか。 よしそうしよう。
ストリーへ、男三人で見回り行ってきます。 もしかしたら遅くなるかもしれないけど、心配しなくて良いです、っと。
メモを書き終え、宿の主人に渡すと、俺達三人と二人はジュリアンの屋敷へ向かった。 大臣の屋敷って事で想像はしていたけど、やっぱり凄いわ。 庭がすんごい広いし、ちゃんと手入れされてる。 漫画や映画の様な、色とりどりのバラが咲き乱れ、女性陣が来ていたら喜んでたかもしれないな。
おや? 一角だけ花が途切れて、アシンメトリーになってる。 こういう所はシンメトリーが基本だって聞いた事があるが、此処は違うのだろうか?
「おい、何をしている、早く来いよ。 お待たせしたら比津礼だろうが。」
「お、おう、今行くぜ。」
リュークに促され俺は屋敷へと入って行った。 屋敷の中もすんごい広い、まるで小さな城の様だ。 ホールはダンスを踊れそうだし、天井からはシャンデリアが吊り下げられている。
それにしてもこんなに広いのに、使用人とかは居ないんだろうか? まだ誰も見かけないが、大きい屋敷だからと言って使用人が居るとは限らないのかな? そんな事を考えていると、二階から階段を降りてくるジュリアンが見える。
「アツシ殿、良くおいでくださいました、来てくれて嬉しいですよ。 お茶を用意してあります、さあ此方へどうぞ。」
ジュリアンと会うのも久しぶりだ、弟子入りの騒動から会って無かったな。 何となく雰囲気が変わったかな。
二階の部屋へ通され、そこでジュリアンから話をされた。
「実はこの町から北西にある岩場に魔物が住み着いたようなんですよ。 その近くには村がありとても危険なのです、アツシ殿の力を見込んで、その魔物を退治して貰えないでしょうか。」
「いや、そんなのこの国の兵士にやらせれば良いじゃないか。 俺達この国の兵士じゃないんだぜ? 何で俺達に頼むんだよ。」
「いえ、この依頼はアツシ殿にしか出来ません、王位戦でマリーヌ様と互角に戦った貴方にしか出来ない事です。 勿論報酬も用意させてもらいましたよ、さあこれでどうでしょうか?」
ジュリアンが出した物は、積み上げられた金塊の山だった。 しかし俺はそんな事より、言った事の意味が分からなかった。
王位戦とか、互角とか何言ってんだこいつ。
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