一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
30 王道を行く者達67
武器を取り戻したリーゼ達、全員が武器の無事を確かめ、サタニアの元へと向かった。 宿の主人に顔を覚えていてもらい、すんなりと奥の部屋へと通され、ノックもせずに部屋をバタンと開けた。
「約束よ、さあ話してもらいましょうか!!」
部屋の中には、サタニアとラムの二人が椅子に座って、外を眺めていた。
「はぁ、ノックぐらいされたらいかがですか? 育ちがみえましてよ?」
「うるさい!! 約束したでしょ、全部話しなさいよ!!」
「勿論お話いたします、少し長くなるかもしれませんね・・・・・ではラム、人数分のお茶を用意しなさい。」
「はいルキ様。」
ラムが棚からカップを取り出し、お茶を入れている。
「では皆さん、何を聞きたいのですか? 何が知りたいのですか?」
「そんなの、あの魔族の事に決まってるでしょ!! あの魔族は今何処に居るのよ!!」
「・・・・・その魔族という呼び方、貴方達は私達をそう呼びますが、私達は最初から最後まで人間なのですわ。 この力も、ある者は姿までも、それは最初からそうだった訳ではありません。」
「そんな話はどうでも良いのよ!! 早くあの魔族の居場所を教えなさい!!」
「良く聞きなさいリーゼさん、あの方はただの人間、人の敵でもなければ魔王の手先でもありません、貴女の親の仇、ただそれだけ。」
「ただそれだけですって!! お母さんを殺してただそれだけですって!! ふざけるな!! 私達がどれ程の思いで此処まで来たのか分かっているの!! 今直ぐ取り消しなさい!!」
「落ち着きなさい、私達も貴女の事は見ていたから知っています。 だから、あえてもう一度言いましょう、”ただそれだけの事”です。」
「サタニアアアアアアアアアアアア!!」
「待てリーゼ!! この場で戦うのは不味いと分かっているだろう。 一度落ち着け、冷静にならないと向うに振り回されるばかりだぞ!!」
「そうだよ、こんな所で戦っても勝ち目なんて無いんだからね。 少し落ち着きな。」
リーゼの腕を掴み、強引に引き止めるハガン達。 ラフィールも、もしもの為に剣に手を掛けている。
「たかがと言ったのは、たった一人だけという意味です。 貴方達の旅してきた世界は如何でしたか? 魔物の闊歩する地は如何でしたか? 危険な海の旅は? 滅ぼされた町の事は? その男が戦争を仕掛けなければ、その全ては無かったのです。 元凶はその男。 さて、一体何方が魔王なのかしら? 生まれてさえいなかった貴女には分からないでしょうけどね。」
サタニアに指をさしたのはハガン。 しかしリーゼはその話を聞いている。
「その話は知ってるわよ、でもそれは国に命令されただけでしょ!! ハガンがやらくたって誰かやっていたわよ!!」
「では、貴女の母親は仕方なく国の命令で殺されました。 それで納得してください。 仕方なかったのでしょう? それともその男が殺した男、ジバルさんと言いますが、そのジバルさんの仇を討った、そう思われては? 貴女は仇を討ちたいと言っていましたが、それは全て逆、私達の仇こそ貴方達・・・・・いえ、その男と貴女の母親です。」
「・・・・・うる・・・さいッ!! その男と貴女には何の関係も無いでしょ!! もういいわ、こんな女に話を聞く必要なんてない!! 自分達の力で探せば良いだけの話よ!!」
「お待ちなさい、貴女には聞く権利と義務があります!! 私達の仇の娘として、殺された母の娘として。 そして私も、あの方の娘として、そして貴女の仇の娘として私達は話さなければならないのです。」
「あんたがあの魔族の娘・・・・・随分と振り回してくれたわね!! あの魔族の元に、あんたの首を持って行ってやるわ!!」
「戻れリーゼ!! 此処は不味いと言っただろう、クソッ、やるしかないか!!」
ハガンの制止も聞かず、リーゼがサタニアに戦いを仕掛けた。 他の四人もそれぞ武器を構え、一斉に行動を開始する。
「全く、随分と血が上りやすい娘だこと・・・・・冷静に話し合うには、少しお灸をすえなければなりませんね。 ラム、他の四人を抑えなさい。 殺してはなりませんよ。」
「はいルキ様、直ぐに黙らせます。」
「クッ、ラフィール、お前はリーゼを援護しろ!! 俺達は三人で此奴を抑える!!」
「任せろ!! そこを退け、うおおおおおおおおおおおおお!!」
「行かせる訳がないでしょう。」
ラフィールがラムの横をすり抜け、リーゼの居る先へと向かう。 それを止めようとラムが動くが、ハガンとリサが同時攻撃を仕掛けた。 横薙ぎと足払い、数々の攻撃を仕掛けるが、軽く躱され、いなされ、そして反撃の一撃を食らった。
「ぐおッ!!」
「ぐはぁ!!」
「ルキ様、一人行かせてしまいました、どうぞお気をつけください。」
「あらあら、随分成長した様ですね。 まあ良いでしょう、魔法は使いませんので、お二人でどうぞ?」
「やあああああああああああああ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおお!!」
リーゼの攻撃、右手を逆手にして切り上げ、左を振り下ろす鋏のような攻撃、更には逆手に寄る突き刺しから、握りを変え両手でも袈裟と逆袈裟の斬り下ろしの攻撃。 サタニアは横へと躱し、後ろへ下がる、そして隙を付き攻撃を仕掛けようとするが、ラフィールは盾を構え、ガキンと受け止めた。
リーゼはその隙を付き、サタニアの脇腹辺りに、薙ぎの一撃。 サタニアはフワリと浮き上がり、後ろへ下がると、ラフィールの目を防ぐ様に、盾を構えさせる一撃を放ち、リーゼと対角線になる様に、一撃、二撃、三撃、四撃と攻撃を続ける。 防壁は瞬く間に消え去り、リーゼに向かって弾き飛ばす。
「ぐおああッ!!」
「ラフィール、邪魔!!」
飛んで来るラフィールをヒラリと躱し、剣を隠すように、ラフィールとの間から剣を突き通す。 予想外の所からの攻撃に、回避が間に合わず、肩に傷を付けたが、傷には怯まず、カウンターの一撃が鳩尾へと叩きこまれた。
「・・・・・ッガハァッ!!」
息も出来ず、硬直したリーゼを地面に叩きつけ、剣を叩き落とすと勝負は決した。
「また私の勝ですね。 ご自分の実力が理解出来まして?」
歯を食いしばり立ち上がろうとしても、押さえつけられる力によりそれは意味をなさない。 それにより全員の手が止まった。
「ッ・・・・・また、勝てなかったのね・・・・・」
「待て、リーゼは関係無いだろう!! 仇だというのなら俺だけで良い、殺すならば俺を殺せ!!」
「ハガンさんが犠牲になるなら、私が!!」
「リ、リーゼさんを離してください、出来れば離して、お願いしますから離してください。」
「抵抗せず死ね何て言わないよな・・・・・如何するんだハガンさん。」
「・・・・・」
「何か勘違いなさっている様ですが、私は話し合いがしたいと言ったはずですよ。 それともこのまま続けますか?」
「分かった、話を聞こう、良いなリーゼ。」
リーゼは無言のまま頷いた。
「約束よ、さあ話してもらいましょうか!!」
部屋の中には、サタニアとラムの二人が椅子に座って、外を眺めていた。
「はぁ、ノックぐらいされたらいかがですか? 育ちがみえましてよ?」
「うるさい!! 約束したでしょ、全部話しなさいよ!!」
「勿論お話いたします、少し長くなるかもしれませんね・・・・・ではラム、人数分のお茶を用意しなさい。」
「はいルキ様。」
ラムが棚からカップを取り出し、お茶を入れている。
「では皆さん、何を聞きたいのですか? 何が知りたいのですか?」
「そんなの、あの魔族の事に決まってるでしょ!! あの魔族は今何処に居るのよ!!」
「・・・・・その魔族という呼び方、貴方達は私達をそう呼びますが、私達は最初から最後まで人間なのですわ。 この力も、ある者は姿までも、それは最初からそうだった訳ではありません。」
「そんな話はどうでも良いのよ!! 早くあの魔族の居場所を教えなさい!!」
「良く聞きなさいリーゼさん、あの方はただの人間、人の敵でもなければ魔王の手先でもありません、貴女の親の仇、ただそれだけ。」
「ただそれだけですって!! お母さんを殺してただそれだけですって!! ふざけるな!! 私達がどれ程の思いで此処まで来たのか分かっているの!! 今直ぐ取り消しなさい!!」
「落ち着きなさい、私達も貴女の事は見ていたから知っています。 だから、あえてもう一度言いましょう、”ただそれだけの事”です。」
「サタニアアアアアアアアアアアア!!」
「待てリーゼ!! この場で戦うのは不味いと分かっているだろう。 一度落ち着け、冷静にならないと向うに振り回されるばかりだぞ!!」
「そうだよ、こんな所で戦っても勝ち目なんて無いんだからね。 少し落ち着きな。」
リーゼの腕を掴み、強引に引き止めるハガン達。 ラフィールも、もしもの為に剣に手を掛けている。
「たかがと言ったのは、たった一人だけという意味です。 貴方達の旅してきた世界は如何でしたか? 魔物の闊歩する地は如何でしたか? 危険な海の旅は? 滅ぼされた町の事は? その男が戦争を仕掛けなければ、その全ては無かったのです。 元凶はその男。 さて、一体何方が魔王なのかしら? 生まれてさえいなかった貴女には分からないでしょうけどね。」
サタニアに指をさしたのはハガン。 しかしリーゼはその話を聞いている。
「その話は知ってるわよ、でもそれは国に命令されただけでしょ!! ハガンがやらくたって誰かやっていたわよ!!」
「では、貴女の母親は仕方なく国の命令で殺されました。 それで納得してください。 仕方なかったのでしょう? それともその男が殺した男、ジバルさんと言いますが、そのジバルさんの仇を討った、そう思われては? 貴女は仇を討ちたいと言っていましたが、それは全て逆、私達の仇こそ貴方達・・・・・いえ、その男と貴女の母親です。」
「・・・・・うる・・・さいッ!! その男と貴女には何の関係も無いでしょ!! もういいわ、こんな女に話を聞く必要なんてない!! 自分達の力で探せば良いだけの話よ!!」
「お待ちなさい、貴女には聞く権利と義務があります!! 私達の仇の娘として、殺された母の娘として。 そして私も、あの方の娘として、そして貴女の仇の娘として私達は話さなければならないのです。」
「あんたがあの魔族の娘・・・・・随分と振り回してくれたわね!! あの魔族の元に、あんたの首を持って行ってやるわ!!」
「戻れリーゼ!! 此処は不味いと言っただろう、クソッ、やるしかないか!!」
ハガンの制止も聞かず、リーゼがサタニアに戦いを仕掛けた。 他の四人もそれぞ武器を構え、一斉に行動を開始する。
「全く、随分と血が上りやすい娘だこと・・・・・冷静に話し合うには、少しお灸をすえなければなりませんね。 ラム、他の四人を抑えなさい。 殺してはなりませんよ。」
「はいルキ様、直ぐに黙らせます。」
「クッ、ラフィール、お前はリーゼを援護しろ!! 俺達は三人で此奴を抑える!!」
「任せろ!! そこを退け、うおおおおおおおおおおおおお!!」
「行かせる訳がないでしょう。」
ラフィールがラムの横をすり抜け、リーゼの居る先へと向かう。 それを止めようとラムが動くが、ハガンとリサが同時攻撃を仕掛けた。 横薙ぎと足払い、数々の攻撃を仕掛けるが、軽く躱され、いなされ、そして反撃の一撃を食らった。
「ぐおッ!!」
「ぐはぁ!!」
「ルキ様、一人行かせてしまいました、どうぞお気をつけください。」
「あらあら、随分成長した様ですね。 まあ良いでしょう、魔法は使いませんので、お二人でどうぞ?」
「やあああああああああああああ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおお!!」
リーゼの攻撃、右手を逆手にして切り上げ、左を振り下ろす鋏のような攻撃、更には逆手に寄る突き刺しから、握りを変え両手でも袈裟と逆袈裟の斬り下ろしの攻撃。 サタニアは横へと躱し、後ろへ下がる、そして隙を付き攻撃を仕掛けようとするが、ラフィールは盾を構え、ガキンと受け止めた。
リーゼはその隙を付き、サタニアの脇腹辺りに、薙ぎの一撃。 サタニアはフワリと浮き上がり、後ろへ下がると、ラフィールの目を防ぐ様に、盾を構えさせる一撃を放ち、リーゼと対角線になる様に、一撃、二撃、三撃、四撃と攻撃を続ける。 防壁は瞬く間に消え去り、リーゼに向かって弾き飛ばす。
「ぐおああッ!!」
「ラフィール、邪魔!!」
飛んで来るラフィールをヒラリと躱し、剣を隠すように、ラフィールとの間から剣を突き通す。 予想外の所からの攻撃に、回避が間に合わず、肩に傷を付けたが、傷には怯まず、カウンターの一撃が鳩尾へと叩きこまれた。
「・・・・・ッガハァッ!!」
息も出来ず、硬直したリーゼを地面に叩きつけ、剣を叩き落とすと勝負は決した。
「また私の勝ですね。 ご自分の実力が理解出来まして?」
歯を食いしばり立ち上がろうとしても、押さえつけられる力によりそれは意味をなさない。 それにより全員の手が止まった。
「ッ・・・・・また、勝てなかったのね・・・・・」
「待て、リーゼは関係無いだろう!! 仇だというのなら俺だけで良い、殺すならば俺を殺せ!!」
「ハガンさんが犠牲になるなら、私が!!」
「リ、リーゼさんを離してください、出来れば離して、お願いしますから離してください。」
「抵抗せず死ね何て言わないよな・・・・・如何するんだハガンさん。」
「・・・・・」
「何か勘違いなさっている様ですが、私は話し合いがしたいと言ったはずですよ。 それともこのまま続けますか?」
「分かった、話を聞こう、良いなリーゼ。」
リーゼは無言のまま頷いた。
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