一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
23 王位戦
この国には、古くから王位戦の為の武体場がある。 それは最近まで閉鎖された施設だったが、国民の強い意見の為、解放され、その周りには大きな観客席が作られたらしい。
今現在、俺はアツシの姿をして参加する事になっている。
「参加者の方は、此方にお集まりください。」
案内に言われるがままに其方に向かってみるが、そこには結構な人数が集まっている。 小さな子供や、どう考えても勝てそうにない様な奴等まで色々だ。
そしてその中にぽつりぽつりと真剣な表情をした者、本気で王位を狙っている者達。 それから、アツシが見たガルガンスという男、あれが大本命だろう。 さて、対戦方法はどんな感じだ?
「え~っと、これで全員ですね? ではご説明いたします。 まず一般参加の十二歳以下の子供達は、先にマリーヌ様が相手をされます。 クジを引いて順番を決めますので此方にどうぞ。」
子供達が分かれ、順番を決めている。 子供達同士で戦わせる訳にはいかないし当然か?
「残りの皆さんは子供達が終わってから、全員順番に戦われます。 もしマリーヌ様に勝てる者が複数いたのなら、その方々で再度戦い、勝者が次の王候補となります。 マリーヌ様の任期が終わるまで、王としての勉強をしてもらい、しかる後に王として就任して貰います。 もしその期間に自分には無理とお思いになれば、即座に辞退なされても構いません。 その場合は引き続きマリーヌ様が王として続けられますので。 え~っと後はですねぇ・・・・・」
説明を聞くと、勝った者が必ず王になる訳ではない様だ。 それに全員と戦うのなら後の方が有利だろう。 まだ長々と説明は続いてるが、殺すなとかそんな感じなんだろう。 適当に聞き流し、大分時間が経つと、やっと順番を決めるらしい。
「それでは皆さん、順番を決める為にクジを引いてください。」
俺は箱の中のクジを引く、デカイ数字だ、デカイ数字が出ろ!!
俺が引いたクジは・・・・・1番・・・・・一番目? あ~そう、結局相手の力を見れずに戦わされる訳だな。 何の情報も無いよりはマシか? 参考になるとは思えねぇが、子供達が戦ってる所も見るしかねぇな。
俺達がクジを引いている間にも、マリーヌ王は五歳、六歳の子供の相手を進めている。 イモータル様も上等な席に座り、それを見守っている。 小さな子供が、危ないからと木製の剣を持たされ、頑張ってマリーヌ王と戦っていた。 まあ、戦ってる、というよりは、子供が一生懸命遊んでるようにしか見えないが。 マリーヌ王は剣すら抜いてねぇのに何を参考にしろって言うんだ!!
「そぉれ、コチョコチョ。」
「キャハハハハやめてやめて。 参ったからもうやめてー。」
完全に遊んでやがる。 最後の一人が倒され、(遊ばれ?)大人の部としてまず俺が戦いの場に立つ。 マリーヌ王は剣をシュランと抜き、俺の前に向けている。
「あら、貴方は・・・・・、王国の、アツシさんでしたかしら? 私の実力でも見極めに来たのでしょうか?」
アツシの事を知っている? やはり色々調べられてるのか。 ・・・・・油断出来ねぇ相手だな。
「マリーヌ様、俺が何故此処に来たのか分かりますか? 病院の件はどうも有難うございました・・・・・」
「あらあら、お礼なんて宜しいのよ? お友達として当然の事ですから。 これからも仲良くしていきましょうね。」
とぼけている? どっちだ? 俺達の推測ではこの王が怪しいと思ったのだが。 何か決定的な証拠でもあればいいのだが。
「ですが・・・・・貴方の声は何処かで聞いた事が・・・・・」
探り合いは埒が明かねぇ、予定とは違うが、いっそ正体でもバラしてみるか? いや、俺の血まで狙らわれるんだったか。 あ~めんどくせぇな!!
「気のせいでしょう、何処にでもいる様な声ですからね。 そんな事より、とぼけないでもらいたいですねぇ。 もう調べは付いてるんですよ? あの地下施設を作ったのが貴方だって事はね。」
「・・・・・仮に、それを私が作ったのだとしたら、貴方方は如何すると? 条約の破棄でもいたしますか?」
「いいえマリーヌ様、俺達はそんな事を望んではいません。 だから此処へ来たのですよ。 此処で倒されても特に問題は無いでしょう? 殺しはしません、徹底的に叩きのめしてあげますから、お覚悟を!!」
「そうですか、フフフ・・・・・ならば、私が此処で私が勝ちさえすれば、貴方方には手が出せないという事でしょう。」
「それは、お認めになられるという事でしょうか?」
「フフフ、如何でしょう・・・・・ねッ!!」
先制を取られた?! 大きく踏み込まれ、下から満月が見える様な斬撃が来た!! その瞬間、俺は大きく飛び上がり・・・・・って飛んじゃ駄目だった。 そのままストンと後へと落ち、舞台の下へと着地した。 俺は直ぐに舞台に上がり、剣を構え直した。
「あっさりとマリーヌ様の勝利です!!」
「わー流石マリーヌ様だ、やるねぇ。」
「いや、あの男が弱すぎただけだろ?」
解説役なのか、審判なのか、そいつがマリーヌ王の勝利を宣言した。 観客共も、俺が負けたと思った様だ。 まさか・・・・・落ちたら負けなのか?
「説明にあったでしょう、下に落ちたら負けですから。 残念でしたねアツシさん。」
イモータル様の方を向いてみると、此方へ来いとの手招きが・・・・・あ~行きたくねぇ。 ちゃんと説明聞いときゃよかった・・・・・イモータル様絶対怒るぞこれ。 怒られる前に謝っとくか・・・・・
「負けてしまいました、どうもすいませんっした!!」
「私、べノムにはちょっと期待してたんだけどなぁ。 これからはアツシさんの下で頑張ってくださいね。」
ヤヴェーッ!! めちゃめちゃ降格させられそうだ!! 彼奴の下なんかにつきたくないぞ!! それに、そんな事になったら、ロッテに何言われるか分からんぞ!!
「いや、待ってください、まだ手はありますから!! 俺が他の参加者に成り代わってもう一度挑みますから。 チャンスをください!!」
「・・・・・二度目はないですよ。 我が王国の為に、勝ってきなさい!!」
「勿論です!! では・・・・・」
俺は直ぐに参加者を見極めに行く。 どいつが良い? 物見遊山の奴は駄目だ、本気で挑もうとしてる奴が良い。 そして出来ればあんまり強く無い奴が良い。 この中では三人、ガルガンスと思われる奴と、一般参加の二十程の兄ちゃんと、十五を超えないぐらいの子供だ。 流石に子供には行けず、二十歳ぐらいの兄ちゃんに交渉を持ちかけた。
「なあそこの兄ちゃん、俺に資格を譲ってくれないか? タダとは言わねぇよ、それなりの金額を払っても良いぜ。 どうだ? 譲ってくれないか?」
「駄目だね、次の機会が何時になるのか分からないし、王様と戦えるチャンスなんて殆どないんだ、俺の実力がどんなものなのか試すチャンスなんだよ!!」
「だったら俺と戦わないか? 俺と戦ってもお前の実力が分かると思うぜ? 俺が勝ったら譲ってくれないか? 俺に負けてる様じゃまだまだだろ?」
「嫌だね、お前さっき直ぐ負けてた奴だろ、お前となんて戦ってる暇は無いよ。 他行きなよ。」
この野郎、実力行使で!! って言う訳にもいかんし、とするとあの子供か? ちょっと気が引けるが、聞くだけ聞いてみるか。
「じゃあ君はどうだ? 譲ってくれるならさっき言った金額を出しても良いぞ?」
「悪いですね、僕はお金には困ってないんですよ。 でも、僕に勝てるのなら譲ってあげても良いですよ。 勝てるならですけどね。」
随分と自信がある様だな、あっちにいるガルガンスと戦って万が一負けたら不味いし、俺の降格が掛かってるんだ。 ここはちょっと犠牲になってもらうとしよう。
「じゃああっちでやろうぜ。 それとももう出番が来るか?」
「心配しなくても大丈夫ですよ、まあ手加減してあげますから頑張って掛かって来てくださいよ。 フフフ。」
「そいつはどうも・・・・・ああ、戦う前に、君の名前を教えてくれないか? 俺はアツシってんだ。」
「僕の名前ですか? そうですね、教えてあげましょうか。 僕はジュリアン・ライズ・ダラクライ、この名前に聞き覚えがあるでしょう? もし僕に傷の一つでもつけたら、どうなるかわかりますよね?」
ダラクライ? ああ、此奴大臣の息子か何かか。
「じゃあ名乗りも済んだし、行くぞッ!!」
「え? き、聞いてましたよね? 僕は大臣の息子で、僕を殴ったりしたら・・・・・」
「悪い、俺この国の人間じゃねーし!! 大人しく負けといてくれ!!」
その答えに怯えるジュリアン、顔面に俺の寸止めの拳をお見舞いし、その出場権を譲って貰った。
今現在、俺はアツシの姿をして参加する事になっている。
「参加者の方は、此方にお集まりください。」
案内に言われるがままに其方に向かってみるが、そこには結構な人数が集まっている。 小さな子供や、どう考えても勝てそうにない様な奴等まで色々だ。
そしてその中にぽつりぽつりと真剣な表情をした者、本気で王位を狙っている者達。 それから、アツシが見たガルガンスという男、あれが大本命だろう。 さて、対戦方法はどんな感じだ?
「え~っと、これで全員ですね? ではご説明いたします。 まず一般参加の十二歳以下の子供達は、先にマリーヌ様が相手をされます。 クジを引いて順番を決めますので此方にどうぞ。」
子供達が分かれ、順番を決めている。 子供達同士で戦わせる訳にはいかないし当然か?
「残りの皆さんは子供達が終わってから、全員順番に戦われます。 もしマリーヌ様に勝てる者が複数いたのなら、その方々で再度戦い、勝者が次の王候補となります。 マリーヌ様の任期が終わるまで、王としての勉強をしてもらい、しかる後に王として就任して貰います。 もしその期間に自分には無理とお思いになれば、即座に辞退なされても構いません。 その場合は引き続きマリーヌ様が王として続けられますので。 え~っと後はですねぇ・・・・・」
説明を聞くと、勝った者が必ず王になる訳ではない様だ。 それに全員と戦うのなら後の方が有利だろう。 まだ長々と説明は続いてるが、殺すなとかそんな感じなんだろう。 適当に聞き流し、大分時間が経つと、やっと順番を決めるらしい。
「それでは皆さん、順番を決める為にクジを引いてください。」
俺は箱の中のクジを引く、デカイ数字だ、デカイ数字が出ろ!!
俺が引いたクジは・・・・・1番・・・・・一番目? あ~そう、結局相手の力を見れずに戦わされる訳だな。 何の情報も無いよりはマシか? 参考になるとは思えねぇが、子供達が戦ってる所も見るしかねぇな。
俺達がクジを引いている間にも、マリーヌ王は五歳、六歳の子供の相手を進めている。 イモータル様も上等な席に座り、それを見守っている。 小さな子供が、危ないからと木製の剣を持たされ、頑張ってマリーヌ王と戦っていた。 まあ、戦ってる、というよりは、子供が一生懸命遊んでるようにしか見えないが。 マリーヌ王は剣すら抜いてねぇのに何を参考にしろって言うんだ!!
「そぉれ、コチョコチョ。」
「キャハハハハやめてやめて。 参ったからもうやめてー。」
完全に遊んでやがる。 最後の一人が倒され、(遊ばれ?)大人の部としてまず俺が戦いの場に立つ。 マリーヌ王は剣をシュランと抜き、俺の前に向けている。
「あら、貴方は・・・・・、王国の、アツシさんでしたかしら? 私の実力でも見極めに来たのでしょうか?」
アツシの事を知っている? やはり色々調べられてるのか。 ・・・・・油断出来ねぇ相手だな。
「マリーヌ様、俺が何故此処に来たのか分かりますか? 病院の件はどうも有難うございました・・・・・」
「あらあら、お礼なんて宜しいのよ? お友達として当然の事ですから。 これからも仲良くしていきましょうね。」
とぼけている? どっちだ? 俺達の推測ではこの王が怪しいと思ったのだが。 何か決定的な証拠でもあればいいのだが。
「ですが・・・・・貴方の声は何処かで聞いた事が・・・・・」
探り合いは埒が明かねぇ、予定とは違うが、いっそ正体でもバラしてみるか? いや、俺の血まで狙らわれるんだったか。 あ~めんどくせぇな!!
「気のせいでしょう、何処にでもいる様な声ですからね。 そんな事より、とぼけないでもらいたいですねぇ。 もう調べは付いてるんですよ? あの地下施設を作ったのが貴方だって事はね。」
「・・・・・仮に、それを私が作ったのだとしたら、貴方方は如何すると? 条約の破棄でもいたしますか?」
「いいえマリーヌ様、俺達はそんな事を望んではいません。 だから此処へ来たのですよ。 此処で倒されても特に問題は無いでしょう? 殺しはしません、徹底的に叩きのめしてあげますから、お覚悟を!!」
「そうですか、フフフ・・・・・ならば、私が此処で私が勝ちさえすれば、貴方方には手が出せないという事でしょう。」
「それは、お認めになられるという事でしょうか?」
「フフフ、如何でしょう・・・・・ねッ!!」
先制を取られた?! 大きく踏み込まれ、下から満月が見える様な斬撃が来た!! その瞬間、俺は大きく飛び上がり・・・・・って飛んじゃ駄目だった。 そのままストンと後へと落ち、舞台の下へと着地した。 俺は直ぐに舞台に上がり、剣を構え直した。
「あっさりとマリーヌ様の勝利です!!」
「わー流石マリーヌ様だ、やるねぇ。」
「いや、あの男が弱すぎただけだろ?」
解説役なのか、審判なのか、そいつがマリーヌ王の勝利を宣言した。 観客共も、俺が負けたと思った様だ。 まさか・・・・・落ちたら負けなのか?
「説明にあったでしょう、下に落ちたら負けですから。 残念でしたねアツシさん。」
イモータル様の方を向いてみると、此方へ来いとの手招きが・・・・・あ~行きたくねぇ。 ちゃんと説明聞いときゃよかった・・・・・イモータル様絶対怒るぞこれ。 怒られる前に謝っとくか・・・・・
「負けてしまいました、どうもすいませんっした!!」
「私、べノムにはちょっと期待してたんだけどなぁ。 これからはアツシさんの下で頑張ってくださいね。」
ヤヴェーッ!! めちゃめちゃ降格させられそうだ!! 彼奴の下なんかにつきたくないぞ!! それに、そんな事になったら、ロッテに何言われるか分からんぞ!!
「いや、待ってください、まだ手はありますから!! 俺が他の参加者に成り代わってもう一度挑みますから。 チャンスをください!!」
「・・・・・二度目はないですよ。 我が王国の為に、勝ってきなさい!!」
「勿論です!! では・・・・・」
俺は直ぐに参加者を見極めに行く。 どいつが良い? 物見遊山の奴は駄目だ、本気で挑もうとしてる奴が良い。 そして出来ればあんまり強く無い奴が良い。 この中では三人、ガルガンスと思われる奴と、一般参加の二十程の兄ちゃんと、十五を超えないぐらいの子供だ。 流石に子供には行けず、二十歳ぐらいの兄ちゃんに交渉を持ちかけた。
「なあそこの兄ちゃん、俺に資格を譲ってくれないか? タダとは言わねぇよ、それなりの金額を払っても良いぜ。 どうだ? 譲ってくれないか?」
「駄目だね、次の機会が何時になるのか分からないし、王様と戦えるチャンスなんて殆どないんだ、俺の実力がどんなものなのか試すチャンスなんだよ!!」
「だったら俺と戦わないか? 俺と戦ってもお前の実力が分かると思うぜ? 俺が勝ったら譲ってくれないか? 俺に負けてる様じゃまだまだだろ?」
「嫌だね、お前さっき直ぐ負けてた奴だろ、お前となんて戦ってる暇は無いよ。 他行きなよ。」
この野郎、実力行使で!! って言う訳にもいかんし、とするとあの子供か? ちょっと気が引けるが、聞くだけ聞いてみるか。
「じゃあ君はどうだ? 譲ってくれるならさっき言った金額を出しても良いぞ?」
「悪いですね、僕はお金には困ってないんですよ。 でも、僕に勝てるのなら譲ってあげても良いですよ。 勝てるならですけどね。」
随分と自信がある様だな、あっちにいるガルガンスと戦って万が一負けたら不味いし、俺の降格が掛かってるんだ。 ここはちょっと犠牲になってもらうとしよう。
「じゃああっちでやろうぜ。 それとももう出番が来るか?」
「心配しなくても大丈夫ですよ、まあ手加減してあげますから頑張って掛かって来てくださいよ。 フフフ。」
「そいつはどうも・・・・・ああ、戦う前に、君の名前を教えてくれないか? 俺はアツシってんだ。」
「僕の名前ですか? そうですね、教えてあげましょうか。 僕はジュリアン・ライズ・ダラクライ、この名前に聞き覚えがあるでしょう? もし僕に傷の一つでもつけたら、どうなるかわかりますよね?」
ダラクライ? ああ、此奴大臣の息子か何かか。
「じゃあ名乗りも済んだし、行くぞッ!!」
「え? き、聞いてましたよね? 僕は大臣の息子で、僕を殴ったりしたら・・・・・」
「悪い、俺この国の人間じゃねーし!! 大人しく負けといてくれ!!」
その答えに怯えるジュリアン、顔面に俺の寸止めの拳をお見舞いし、その出場権を譲って貰った。
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