一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
12 王道を行く者達62
リーゼ達はサタニアの部屋へと戻っていた。
「あら、もう戻られたのですか? それとも他に何かご用でも?」
「調べはついたわよ!! でも一つ条件があるわ、この情報を教えてあげる代わりに、私達も城へ連れて行きなさい。 断るのならこの情報は永久に教えてあげないわ。」
「力ずくでも良いんですけれど・・・・・まあその様子では、死んでも教える気は無いということでしょうか。 ふふん、まあいいでしょう、来たいのなら勝手にしなさい。 ただし、そこで何が起きようと私達は助けたりいたしませんよ?」
「言われなくても、貴方達に助けてもらうつもりなんてないから!! さあ城へ連れて行きなさいな。」
「城へ行きたいと言うのなら、まずは情報を出すのが先ではなくって? 早くなさい、それとも嘘で私を謀ろうとでも?」
「いいわよ、そんなに知りたいのなら教えてあげるわ。 簡単に言うと、この国の王様が人間以外の何かだって事よ。 この国周辺の魔物を倒してるのはその王様で、王様の事を調べようとすると行方不明になるそうよ。 一応聞いておくけど、あんた達の仲間じゃないのよね?」
「私達の仲間ですって? ・・・・・さて、どうなのでしょうね。 その噂が本当ならば、それは間違いなく私達の敵となるでしょうが。 会ってみなければ答えようがありませんね。 しかし、もしお母さまの血肉を使われているとなると・・・・・」
サタニアの体からはバチバチと電流の様なものが放たれている。 言葉とは裏腹に、怒りが抑えられない様だ。
「落ち着いてくださいルキ様、まだそうとは限りませんし、本当にただの噂なのかもしれませんよ? それに、本当にそうならば、この事を暴露でもしてやれば民も混乱し、デモが起こるかもしれません、その時私達がぶち殺せば、正義は我にありですよ!!」
「ふむ、確かに王が人でないと分かれば、民は混乱するかもしれませんが・・・・・そううまくいきますか?」
「大丈夫です!! 上手く行かなかったらまたその時考えればいいんですよ。 だって私達強いんですから!!」
「フフフ、そうですわね、我ら強者が策を弄する必要はありませんね。 ではお茶でも飲んで明日の会合までのんびりすると致しましょうか。」
「あんた達!! 私達の事を忘れているんじゃないでしょうね!! その会合とやらに私達も行くんだからね。 明日って言ったわね、じゃあ明日の朝には押しかけてやるわ!!」
「あら、そうでしたわね。 そんなに来たいと言うのなら別に止めはしませんわよ。 ただし、私達の戦いに巻き込まれて、死んだとしてもしりませんわよ?」
「そんな脅しには乗らないわ、もう覚悟は出来ているんだから!!」
「ならば明日の朝この場に来なさい、城に連れて行ってあげますわ。 精々死なない様に気を付けることですね。」
「上等よ、じゃあ明日の朝此処に来るから、置いて行くんじゃないわよ!!」
そして当日の朝、サタニアの部屋を訪ねると、そこにはズラリと並ぶ兵士達の姿が見える。 サタニア達を除き十三人の兵の姿だ。 扉を開くと一斉に見つめられるが、リーゼ達は恐れず歩みを進める。
「来ましたか・・・・・それでは敵情視察に向かおうではないですか。」
サタニア達がリーゼ達の横を通り抜け、城に向かって行く。 リーゼ達はその最後列に続く。 城門の兵士にあっさりと通され、城の中へ案内されると、この国の王ジュリアンと面会した。
謁見の間。 ジュリアンという男、見た限りまだ三十にも満たない歳だ。 王らしく派手な衣装をして、特に変わった所は無い、周りには何人もの武装した兵士達が剣を縦に構え立って居る。
「お久しぶりですわジュリアン様、お会いするのは何年ぶりでしょうか。 お元気そうで何よりですわ。」
「ルーキフェート様もお元気そうで、どうです、お国の方は? 其方の国も王が変わられて間もないと聞き及んでおります。 何か不都合な事でもありましたら、ブリガンテは直ぐにお力をお貸いたしますよ。 これからも友好国として付き合って行きましょう。 そしてこれからは夫婦として仲良くやって行こうではないですか。」
「ジュリアン様、私が此処に来ましたのは、直接お断りさせていただこうと思ったからですわ。 国の為に成ればとも思いましたが、残念ながら貴方にはその資格がありません。 ジュリアン様・・・・・貴方一体誰なのですか?」
「何を言っているのか分かりませんね。 私がジュリアンでなくて誰だと言うんですか? 貴女にはこの私がジュリアン以外のものに見えるのですか?」
「とぼけるのは止めていただきたいのですが、貴方、本当は人間じゃないのでしょう? すでに情報は入っているのですよ、その体が人以外の何かだと言う事はね。」
「・・・・・なる程、ですがそれがどうかしたのですか? 貴方達もその力を使っているではないですか、ならば私が使ったとしても不都合はないはず。 さあルーキフェート、我妻となりその体を提供せよ。 その血の一滴さえも我が研究の材料として全て使ってやろう。 いや、先に子でも産んで貰おうか、化け物同士の子供となると、どんな子供が生まれて来るのか楽しみだ。 フハハハハハハ!!」
「随分と下種な考えだこと・・・・・どうやらもう話す事も無いようですわね。 この場をもってブリガンテとの友好は破棄とします!! 王を打ち倒し、我が国の傘下に入れてあげましょう!!」
サタニアの引き連れた兵が剣を抜き、そして戦いが始まった。 ここは敵の居城、直ぐに兵士達が集まり、見える範囲全てが敵となる。 数の上では圧倒的に不利だが。 サタニアの兵達はそれを物ともしない。 リーゼ達も否応なく戦いに巻き込まれ、剣を抜き応戦している。
リーゼ達はその動きにより分散され、リサとラフィールが取り残された。
「くっ、いきなりかよ!! 戦うとは思っていたがこんなに早くとはねッ!!」
辺り全てが敵だらけ、ラフィールが剣を受け止め、リサが攻撃に転じる。
「ラフィール、戦いに集中しなよ!! こんな中じゃ一瞬でやられるよ!!」
「こんな中で油断する訳ないだろ!! それよりリーゼちゃんは何処だ、マッドとハガンさんも見えない。 クソッ、敵が多すぎてわからない!!」
戦いながら三人の姿を探すが、見当たらない。
「あの三人がそう簡単に死ぬもんか。 いいかい、今は生き残る事だけ考えな。 私の背中は任せたよッ!!」
「分かったよッ!! 今はリサさんで我慢しておくさ、これがリーゼちゃんだったらもっと燃えたんだけどねッ!!」
「言ってくれる!! 私もハガンさんの方が良いけど、そんな事言ってる場合じゃないよ、こんな中じゃ二人じゃ不利さ、癪だけどサタニアの仲間の所へ行くよ!!」
「応!!」
リサとラフィールは混戦の中、活路を見出そうとサタニアの兵達と共闘していく。
「あら、もう戻られたのですか? それとも他に何かご用でも?」
「調べはついたわよ!! でも一つ条件があるわ、この情報を教えてあげる代わりに、私達も城へ連れて行きなさい。 断るのならこの情報は永久に教えてあげないわ。」
「力ずくでも良いんですけれど・・・・・まあその様子では、死んでも教える気は無いということでしょうか。 ふふん、まあいいでしょう、来たいのなら勝手にしなさい。 ただし、そこで何が起きようと私達は助けたりいたしませんよ?」
「言われなくても、貴方達に助けてもらうつもりなんてないから!! さあ城へ連れて行きなさいな。」
「城へ行きたいと言うのなら、まずは情報を出すのが先ではなくって? 早くなさい、それとも嘘で私を謀ろうとでも?」
「いいわよ、そんなに知りたいのなら教えてあげるわ。 簡単に言うと、この国の王様が人間以外の何かだって事よ。 この国周辺の魔物を倒してるのはその王様で、王様の事を調べようとすると行方不明になるそうよ。 一応聞いておくけど、あんた達の仲間じゃないのよね?」
「私達の仲間ですって? ・・・・・さて、どうなのでしょうね。 その噂が本当ならば、それは間違いなく私達の敵となるでしょうが。 会ってみなければ答えようがありませんね。 しかし、もしお母さまの血肉を使われているとなると・・・・・」
サタニアの体からはバチバチと電流の様なものが放たれている。 言葉とは裏腹に、怒りが抑えられない様だ。
「落ち着いてくださいルキ様、まだそうとは限りませんし、本当にただの噂なのかもしれませんよ? それに、本当にそうならば、この事を暴露でもしてやれば民も混乱し、デモが起こるかもしれません、その時私達がぶち殺せば、正義は我にありですよ!!」
「ふむ、確かに王が人でないと分かれば、民は混乱するかもしれませんが・・・・・そううまくいきますか?」
「大丈夫です!! 上手く行かなかったらまたその時考えればいいんですよ。 だって私達強いんですから!!」
「フフフ、そうですわね、我ら強者が策を弄する必要はありませんね。 ではお茶でも飲んで明日の会合までのんびりすると致しましょうか。」
「あんた達!! 私達の事を忘れているんじゃないでしょうね!! その会合とやらに私達も行くんだからね。 明日って言ったわね、じゃあ明日の朝には押しかけてやるわ!!」
「あら、そうでしたわね。 そんなに来たいと言うのなら別に止めはしませんわよ。 ただし、私達の戦いに巻き込まれて、死んだとしてもしりませんわよ?」
「そんな脅しには乗らないわ、もう覚悟は出来ているんだから!!」
「ならば明日の朝この場に来なさい、城に連れて行ってあげますわ。 精々死なない様に気を付けることですね。」
「上等よ、じゃあ明日の朝此処に来るから、置いて行くんじゃないわよ!!」
そして当日の朝、サタニアの部屋を訪ねると、そこにはズラリと並ぶ兵士達の姿が見える。 サタニア達を除き十三人の兵の姿だ。 扉を開くと一斉に見つめられるが、リーゼ達は恐れず歩みを進める。
「来ましたか・・・・・それでは敵情視察に向かおうではないですか。」
サタニア達がリーゼ達の横を通り抜け、城に向かって行く。 リーゼ達はその最後列に続く。 城門の兵士にあっさりと通され、城の中へ案内されると、この国の王ジュリアンと面会した。
謁見の間。 ジュリアンという男、見た限りまだ三十にも満たない歳だ。 王らしく派手な衣装をして、特に変わった所は無い、周りには何人もの武装した兵士達が剣を縦に構え立って居る。
「お久しぶりですわジュリアン様、お会いするのは何年ぶりでしょうか。 お元気そうで何よりですわ。」
「ルーキフェート様もお元気そうで、どうです、お国の方は? 其方の国も王が変わられて間もないと聞き及んでおります。 何か不都合な事でもありましたら、ブリガンテは直ぐにお力をお貸いたしますよ。 これからも友好国として付き合って行きましょう。 そしてこれからは夫婦として仲良くやって行こうではないですか。」
「ジュリアン様、私が此処に来ましたのは、直接お断りさせていただこうと思ったからですわ。 国の為に成ればとも思いましたが、残念ながら貴方にはその資格がありません。 ジュリアン様・・・・・貴方一体誰なのですか?」
「何を言っているのか分かりませんね。 私がジュリアンでなくて誰だと言うんですか? 貴女にはこの私がジュリアン以外のものに見えるのですか?」
「とぼけるのは止めていただきたいのですが、貴方、本当は人間じゃないのでしょう? すでに情報は入っているのですよ、その体が人以外の何かだと言う事はね。」
「・・・・・なる程、ですがそれがどうかしたのですか? 貴方達もその力を使っているではないですか、ならば私が使ったとしても不都合はないはず。 さあルーキフェート、我妻となりその体を提供せよ。 その血の一滴さえも我が研究の材料として全て使ってやろう。 いや、先に子でも産んで貰おうか、化け物同士の子供となると、どんな子供が生まれて来るのか楽しみだ。 フハハハハハハ!!」
「随分と下種な考えだこと・・・・・どうやらもう話す事も無いようですわね。 この場をもってブリガンテとの友好は破棄とします!! 王を打ち倒し、我が国の傘下に入れてあげましょう!!」
サタニアの引き連れた兵が剣を抜き、そして戦いが始まった。 ここは敵の居城、直ぐに兵士達が集まり、見える範囲全てが敵となる。 数の上では圧倒的に不利だが。 サタニアの兵達はそれを物ともしない。 リーゼ達も否応なく戦いに巻き込まれ、剣を抜き応戦している。
リーゼ達はその動きにより分散され、リサとラフィールが取り残された。
「くっ、いきなりかよ!! 戦うとは思っていたがこんなに早くとはねッ!!」
辺り全てが敵だらけ、ラフィールが剣を受け止め、リサが攻撃に転じる。
「ラフィール、戦いに集中しなよ!! こんな中じゃ一瞬でやられるよ!!」
「こんな中で油断する訳ないだろ!! それよりリーゼちゃんは何処だ、マッドとハガンさんも見えない。 クソッ、敵が多すぎてわからない!!」
戦いながら三人の姿を探すが、見当たらない。
「あの三人がそう簡単に死ぬもんか。 いいかい、今は生き残る事だけ考えな。 私の背中は任せたよッ!!」
「分かったよッ!! 今はリサさんで我慢しておくさ、これがリーゼちゃんだったらもっと燃えたんだけどねッ!!」
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