一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
7 盾と矛
エル達がタイタンを倒す前、べノムがタイタンと戦っている時別の場所ではグラビトンと戦っている者達が居た…………
バール(王国、探索班伝令係) ブール(王国、探索班伝令係)
アンダース(王国、探索班) イモータル(王国、女王)
べノム隊長がタイタンと戦う前の日。
伝令役として活躍していた俺(バール)が城に呼び出されていた。
ふふふ、やっと出番がきました。
俺こそ王国軍最強の男バール。(嘘です)
手足を伸ばし、槍化させて突き刺す能力を持つ俺は、グラビトン捕獲任務の二日前、伝令役としてきっちり仕事をしていた。
そんな俺はイモータル様に呼び出され、今その女王様と面会している。(サボってたよ)
「はぁ、何で俺なんですかー? 他にも色々人手はあるでしょうに」
「この町の規模を見れば分かるでしょう。人口も大分減って伝令役は余っているんですよ? 余っているなら遊ばせておく訳にはいきません。貴方にはグラビトン捕獲任務の隊長として、その人員を集めて貰います」
まさか俺が隊を率いる隊長になるとは……正直やりたくない。
しかしイモータル様の直接の命令なら仕方ない。
もしかしてイモータル様は、メギド様が居なくて寂しくなって俺を……(無いわー)
一人当てが有る。
今無駄に心の中までツッコミを入れている奴だ。
同じ伝令役のブールという男で、こいつは俺の双子の弟だ。
キメラ化してからは双子のテレパシーとかが強化されたのか、その声までハッキリと聞こえる様になってしまった。(よろしくー)
どうやら来てくれるらしい。
ブールもキメラ化していて槍を使うのだが、防御の方に特化し、左腕に付いた巨盾が、敵の攻撃を阻む役割を期待出来る。
一人決まったは良いが、後はどうしよう?
町をぶらついていれば誰か見つからないだろうか?
町の外のキメラ退治班から大量に引き抜く訳にもいかないし、町にも人を残さないといけない。
人数が多ければ良いって訳じゃない。
さあどうしよう?(適当に探せよ)
町中を考えながら歩いていた俺は、道を歩いていた一人を見つけた。
あれはアンダースさんという、黒い翼を持つ人だ。
この作戦には打って付けの人物だろう。
王国の外を見回ってる一人だが、一人ぐらい引き抜いてもいいだろう。
だって戦力がないとキツイし。
「あのー、アンダースさん、ちょっと頼みがあるんですが聞いては貰えないでしょうか?」
「何いかな? おや、バールじゃないか。どうしたんだ?」
「はい、ちょっと頼みがあるのです。俺と一緒にグラビトンの捕獲任務を手伝ってもらえませんか?」
アンダースさんが暫く考え込んで、やがて手を打つと。
「まあいいぞ、グラビトンの事は気になっていたからな」
アンダースさんには出発の日付と時間を教えて一度別れた。
もう一人ぐらい居ても良いのかな?
でも捕まえるだけだしこれでいいのか?
悩みながらもそれで決定し、俺は作戦開始時刻を待った。
この時俺はこの任務を軽く考えていた。
相手を殺さずに捕まえるのが如何に難しいのか考えていなかったのだ。
作戦当日。
目の前には鋼鉄の巨兵が立って居る。
「何か前見た時よりデカくなってる気がする……」
「兄貴、気のせいじゃないぜ。頭一つ分は大きくなってるぞ!」
持って来た縄や網でいけるんだろうか?
ちょっと不安になってきた。
……まあ何とかなるだろう。
きっと大丈夫だ。
アンダースさんが空から網を、そして俺が縄を、ブールがグラビトンの剣を受けた瞬間網を投下し、その上から縄で縛り上げる完璧な作戦だ!
「よし行くか!」
俺の号令で全員が戦闘態勢に入った。
ブールがタイタンの剣を受け……れない。
盾は無事だったが、圧倒的巨大な剣により後ろに吹っ飛ばされてしまう。
網を持っているアンダースさんも、投げて良いのか戸惑っている。
ああいきなり失敗したじゃん。
これは撤退した方が良いのか?
でも町の中では、べノム隊長がタイタンと戦っている。
いきなり撤退とかちょっと格好悪いから、もう少しぐらい戦おうか。
俺の槍がどこまで通じるか、相手の防御はまさに最強の盾だ。
だが此方も負けていない。
俺の槍は全てを貫く最強の矛なのだ。
まあ矛とは形状がちょっと違うけど、一応同じ様な物だろう。
昔話に最強の矛と盾の話がある。
何方が強いとかの話だったか?
どんなものでも防ぐ盾と、どんなものでも貫く矛の話。
だが真正面からぶつかる程度では、使う側の技量が低い。
盾は丸みを使い受け流したり、あるいは相手の体にぶつけ鈍器の様に。
そして槍は隙間を狙い、一瞬を貫く物だ。
本気で戦うのなら個人の技量がものをいう。
俺はタイタンに負けるつもりは無い。
気合を入れて槍をタイタンの体に当てるのだが、やはり弾かれた。
おい硬いぞグラビトン!
最強の矛だって説明してるんだから貫かれてくれても良いだろうに!
そんな俺の心を知らず、タイタンの剣が此方に襲い掛かる。
相手の剣は大きく巨大で、その分破壊力もある物だ。
だがどんな剣でも、付け根の部分は切れ味が鈍い。
槍を盾にして付け根で受けとめてみた。
重みで少し食い込んだけど、まだ行ける!
逆側の腕を槍にして、グラビトンの喉元を突く。
大丈夫だ、首ぐらい突かれても此奴は簡単には死なないはずだ!
「どうだ?」
「げは、ごほ、ごほっ」
全力で突いたんだが咳き込んだだけかよ。
「ブール、見てないで戦えよ!」
「捕獲するんじゃなかったのかよ? 本気でやるのか?」
「そうだよ! 此奴は全力でやったって死なない、むしろ中途半端にやってたらこっちが先に死ぬぞ」
その言葉を聞くと、アンダースは網を捨て剣を構えた。
そしてグラビトンに斬りかかる。
グレビトンは動かない、動く必要が無い。
アンダースの連斬をその身を以て全て食らうが、ビクともしていない。
「ふぅむ……これを捕獲するのか? ちょっと無理じゃないのかい?」
俺もそう思う。
まあ生きてさえいれば良いって事にしとこうかな。
盾を構え、グラビトンにブールが突っ込んだ。
剣を受けるが、やはり吹っ飛ばされる。
だがブールも馬鹿じゃない。
真面に受け止めきれないのならと、次の攻撃を避け、振り切った所で剣を抑えた。
「兄貴、もうもたねぇ、早く此奴を縛ってくれ」
「おう、直ぐにやってやる!」
俺が縄を拾うが、タイタンは押さえつけた剣を引き、体を回転させてブールの背後を狙った。
それを読んでいたアンダースが、ブールの体を持ち上げ、空中へと脱出する。
ここだと膝の裏を狙い、俺は槍を放つ。
ガクリと膝を折り曲げたが、貫くには至らない。
それでもタイタンは地に手を付いた。
今がチャンス!
手を突いたグラビトンに、槍の腹を使い、頭を何度も殴りつけた。
そんな攻撃を続ける俺に、ブールの槍とアンダースの剣も参加している。
表面がどんなに堅くても、脳まではそうは行かない。
打撃で脳を揺らせば勝てるはずだ。
ガンガンと頭を殴られるタイタンは、それでもユラリと立ち上がり、大きな剣を振り上げた。
だがそこまでだった。
タイタンは直立不動のまま、大きく前に倒れこんむ、
……でも念の為もう少し叩いておこう。
何度か頭を叩きつけ、大丈夫だと確認した。
もう完全に気絶している様だ。
うむ、今の内に縛ってしまおう。
タイタンの重い剣を蹴り飛ばしてみるが、足の方が痛くなったので諦めた。
俺達は急いで腕を後ろ手に縛り上げる。
「あー疲れた。もうやらない。二度とやらないぞ俺は」
「なあ兄貴、そいつはフラグって奴じゃないか?」
「阿保か、そんなこと実際には起こらないって」
「あのなぁ、言いにくいんだが、王国の中から敵が来ているぞ」
「「はぁっ!」」
べノム隊長が失敗したのか?
こんなタイミングで?
もう縛り上げてグラビトンを持ち帰るだけだが、こんな重そうな男を担ぎ、もう一人敵を倒して持ち帰るのは至難の業だ。
もう無理!
よし帰ろう!
「よし撤退!」
俺達は全力ダッシュでこの場を後にした。
「それで失敗したのですね?」
「でも腕を縛って置いてきました。隙を付けば、次行った時に持ち帰って来ることも出来るでしょう」
これは本当の事だ。
明日行っても大丈夫……だよな?
だがイモータル様は首を振っている。
あの後アンダースがグラビトンを見に行ったらしい。
そこには普通に門前に立ったグラビトンが居たのだとか。
如何やって縄を切ったのだろう?
まさか強引に引き千切ったのか?
もしそうなら持ち帰らなくて良かった。
町の中で縄を引き千切っていたら、凄く大変な事になっていたかもしれない。
てことは持ち帰らなかった俺は、結果的には正解だったのだ。
ここは全部べノム隊長の所為にするのが吉。
「隊長がもう一分(いっぷん)引き止めてくれれば行けたのですが、とても残念です」
「そう言わないでください。べノムも必死でやっていたのですよ。彼が死にかけたとの情報もあります。出来れば許してあげてくださいね」
隊長死にかけたのか。
うむ、ここで許さなかったら、俺が酷い奴に思われてしまう。
「分かっています。勝負は時の運とも言いますし、今回は運が悪かっただけですよ。次頑張ってもらいましょう」
「そうですね。では次の作戦は一週間後です。今は休養を取り、英気を備えてください」
あれ、俺がもう一度行く流れ?
マジか……誰か変わってくれないかな?
バール(王国、探索班伝令係) ブール(王国、探索班伝令係)
アンダース(王国、探索班) イモータル(王国、女王)
べノム隊長がタイタンと戦う前の日。
伝令役として活躍していた俺(バール)が城に呼び出されていた。
ふふふ、やっと出番がきました。
俺こそ王国軍最強の男バール。(嘘です)
手足を伸ばし、槍化させて突き刺す能力を持つ俺は、グラビトン捕獲任務の二日前、伝令役としてきっちり仕事をしていた。
そんな俺はイモータル様に呼び出され、今その女王様と面会している。(サボってたよ)
「はぁ、何で俺なんですかー? 他にも色々人手はあるでしょうに」
「この町の規模を見れば分かるでしょう。人口も大分減って伝令役は余っているんですよ? 余っているなら遊ばせておく訳にはいきません。貴方にはグラビトン捕獲任務の隊長として、その人員を集めて貰います」
まさか俺が隊を率いる隊長になるとは……正直やりたくない。
しかしイモータル様の直接の命令なら仕方ない。
もしかしてイモータル様は、メギド様が居なくて寂しくなって俺を……(無いわー)
一人当てが有る。
今無駄に心の中までツッコミを入れている奴だ。
同じ伝令役のブールという男で、こいつは俺の双子の弟だ。
キメラ化してからは双子のテレパシーとかが強化されたのか、その声までハッキリと聞こえる様になってしまった。(よろしくー)
どうやら来てくれるらしい。
ブールもキメラ化していて槍を使うのだが、防御の方に特化し、左腕に付いた巨盾が、敵の攻撃を阻む役割を期待出来る。
一人決まったは良いが、後はどうしよう?
町をぶらついていれば誰か見つからないだろうか?
町の外のキメラ退治班から大量に引き抜く訳にもいかないし、町にも人を残さないといけない。
人数が多ければ良いって訳じゃない。
さあどうしよう?(適当に探せよ)
町中を考えながら歩いていた俺は、道を歩いていた一人を見つけた。
あれはアンダースさんという、黒い翼を持つ人だ。
この作戦には打って付けの人物だろう。
王国の外を見回ってる一人だが、一人ぐらい引き抜いてもいいだろう。
だって戦力がないとキツイし。
「あのー、アンダースさん、ちょっと頼みがあるんですが聞いては貰えないでしょうか?」
「何いかな? おや、バールじゃないか。どうしたんだ?」
「はい、ちょっと頼みがあるのです。俺と一緒にグラビトンの捕獲任務を手伝ってもらえませんか?」
アンダースさんが暫く考え込んで、やがて手を打つと。
「まあいいぞ、グラビトンの事は気になっていたからな」
アンダースさんには出発の日付と時間を教えて一度別れた。
もう一人ぐらい居ても良いのかな?
でも捕まえるだけだしこれでいいのか?
悩みながらもそれで決定し、俺は作戦開始時刻を待った。
この時俺はこの任務を軽く考えていた。
相手を殺さずに捕まえるのが如何に難しいのか考えていなかったのだ。
作戦当日。
目の前には鋼鉄の巨兵が立って居る。
「何か前見た時よりデカくなってる気がする……」
「兄貴、気のせいじゃないぜ。頭一つ分は大きくなってるぞ!」
持って来た縄や網でいけるんだろうか?
ちょっと不安になってきた。
……まあ何とかなるだろう。
きっと大丈夫だ。
アンダースさんが空から網を、そして俺が縄を、ブールがグラビトンの剣を受けた瞬間網を投下し、その上から縄で縛り上げる完璧な作戦だ!
「よし行くか!」
俺の号令で全員が戦闘態勢に入った。
ブールがタイタンの剣を受け……れない。
盾は無事だったが、圧倒的巨大な剣により後ろに吹っ飛ばされてしまう。
網を持っているアンダースさんも、投げて良いのか戸惑っている。
ああいきなり失敗したじゃん。
これは撤退した方が良いのか?
でも町の中では、べノム隊長がタイタンと戦っている。
いきなり撤退とかちょっと格好悪いから、もう少しぐらい戦おうか。
俺の槍がどこまで通じるか、相手の防御はまさに最強の盾だ。
だが此方も負けていない。
俺の槍は全てを貫く最強の矛なのだ。
まあ矛とは形状がちょっと違うけど、一応同じ様な物だろう。
昔話に最強の矛と盾の話がある。
何方が強いとかの話だったか?
どんなものでも防ぐ盾と、どんなものでも貫く矛の話。
だが真正面からぶつかる程度では、使う側の技量が低い。
盾は丸みを使い受け流したり、あるいは相手の体にぶつけ鈍器の様に。
そして槍は隙間を狙い、一瞬を貫く物だ。
本気で戦うのなら個人の技量がものをいう。
俺はタイタンに負けるつもりは無い。
気合を入れて槍をタイタンの体に当てるのだが、やはり弾かれた。
おい硬いぞグラビトン!
最強の矛だって説明してるんだから貫かれてくれても良いだろうに!
そんな俺の心を知らず、タイタンの剣が此方に襲い掛かる。
相手の剣は大きく巨大で、その分破壊力もある物だ。
だがどんな剣でも、付け根の部分は切れ味が鈍い。
槍を盾にして付け根で受けとめてみた。
重みで少し食い込んだけど、まだ行ける!
逆側の腕を槍にして、グラビトンの喉元を突く。
大丈夫だ、首ぐらい突かれても此奴は簡単には死なないはずだ!
「どうだ?」
「げは、ごほ、ごほっ」
全力で突いたんだが咳き込んだだけかよ。
「ブール、見てないで戦えよ!」
「捕獲するんじゃなかったのかよ? 本気でやるのか?」
「そうだよ! 此奴は全力でやったって死なない、むしろ中途半端にやってたらこっちが先に死ぬぞ」
その言葉を聞くと、アンダースは網を捨て剣を構えた。
そしてグラビトンに斬りかかる。
グレビトンは動かない、動く必要が無い。
アンダースの連斬をその身を以て全て食らうが、ビクともしていない。
「ふぅむ……これを捕獲するのか? ちょっと無理じゃないのかい?」
俺もそう思う。
まあ生きてさえいれば良いって事にしとこうかな。
盾を構え、グラビトンにブールが突っ込んだ。
剣を受けるが、やはり吹っ飛ばされる。
だがブールも馬鹿じゃない。
真面に受け止めきれないのならと、次の攻撃を避け、振り切った所で剣を抑えた。
「兄貴、もうもたねぇ、早く此奴を縛ってくれ」
「おう、直ぐにやってやる!」
俺が縄を拾うが、タイタンは押さえつけた剣を引き、体を回転させてブールの背後を狙った。
それを読んでいたアンダースが、ブールの体を持ち上げ、空中へと脱出する。
ここだと膝の裏を狙い、俺は槍を放つ。
ガクリと膝を折り曲げたが、貫くには至らない。
それでもタイタンは地に手を付いた。
今がチャンス!
手を突いたグラビトンに、槍の腹を使い、頭を何度も殴りつけた。
そんな攻撃を続ける俺に、ブールの槍とアンダースの剣も参加している。
表面がどんなに堅くても、脳まではそうは行かない。
打撃で脳を揺らせば勝てるはずだ。
ガンガンと頭を殴られるタイタンは、それでもユラリと立ち上がり、大きな剣を振り上げた。
だがそこまでだった。
タイタンは直立不動のまま、大きく前に倒れこんむ、
……でも念の為もう少し叩いておこう。
何度か頭を叩きつけ、大丈夫だと確認した。
もう完全に気絶している様だ。
うむ、今の内に縛ってしまおう。
タイタンの重い剣を蹴り飛ばしてみるが、足の方が痛くなったので諦めた。
俺達は急いで腕を後ろ手に縛り上げる。
「あー疲れた。もうやらない。二度とやらないぞ俺は」
「なあ兄貴、そいつはフラグって奴じゃないか?」
「阿保か、そんなこと実際には起こらないって」
「あのなぁ、言いにくいんだが、王国の中から敵が来ているぞ」
「「はぁっ!」」
べノム隊長が失敗したのか?
こんなタイミングで?
もう縛り上げてグラビトンを持ち帰るだけだが、こんな重そうな男を担ぎ、もう一人敵を倒して持ち帰るのは至難の業だ。
もう無理!
よし帰ろう!
「よし撤退!」
俺達は全力ダッシュでこの場を後にした。
「それで失敗したのですね?」
「でも腕を縛って置いてきました。隙を付けば、次行った時に持ち帰って来ることも出来るでしょう」
これは本当の事だ。
明日行っても大丈夫……だよな?
だがイモータル様は首を振っている。
あの後アンダースがグラビトンを見に行ったらしい。
そこには普通に門前に立ったグラビトンが居たのだとか。
如何やって縄を切ったのだろう?
まさか強引に引き千切ったのか?
もしそうなら持ち帰らなくて良かった。
町の中で縄を引き千切っていたら、凄く大変な事になっていたかもしれない。
てことは持ち帰らなかった俺は、結果的には正解だったのだ。
ここは全部べノム隊長の所為にするのが吉。
「隊長がもう一分(いっぷん)引き止めてくれれば行けたのですが、とても残念です」
「そう言わないでください。べノムも必死でやっていたのですよ。彼が死にかけたとの情報もあります。出来れば許してあげてくださいね」
隊長死にかけたのか。
うむ、ここで許さなかったら、俺が酷い奴に思われてしまう。
「分かっています。勝負は時の運とも言いますし、今回は運が悪かっただけですよ。次頑張ってもらいましょう」
「そうですね。では次の作戦は一週間後です。今は休養を取り、英気を備えてください」
あれ、俺がもう一度行く流れ?
マジか……誰か変わってくれないかな?
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