最強暗殺者、冒険者になる

kou(こう)

暗殺者は常識がない


    「おい、レイン」

     お嬢様が俺ーレインーを呼んだ。

俺は一応お嬢様の専属護衛ーーという肩書きのオリュンベール家の暗殺者だ。

    「はい。どうなさいましたか?」

    「敬語はやめろといっているだろう...」

    「申し訳...いや、ごめん」

    はあ...慣れないな...

     「分かればいい。それよりレイン。学校
       へ行くつもりは無いか?」

     「学校?」

     俺は人並みの教養と作法はあるはずだが...

     「ああ。レインと居ると常識がないように感じるんだ。例えばだ、レイン。目の前にエンシェントドラゴンが現れたらどうする?」

    お嬢様がそんな質問をするなんて。
こんなの答えは決まっているだろう。

     「勿論、短剣を投げて目に刺して倒すに決まっているだろう?」

    「はあ...やっぱりな」

     お嬢様がため息をついている。何か変なことを言ってしまっただろうか...

    「普通はな?逃げるんだ。」

     「え?どうして倒せる相手から逃げ出すんです...逃げ出すんだ?」

     「レイン、今まで何体の竜を狩ってきた?」

      「確か...30体ぐらいか...?」

     それがどうかしたのだろうか。

      「もういい!わかった、わかったぞ。レインの常識の無さが」

      そんなに常識知らずだろうか...

『たかが』竜を30体討伐しただけなのに...
    
    
      「竜はな?普通1体倒せば『ドラゴンスレイヤー』として国から勲章を授与されるレベルなんだ」  

      「はあ...」

      基準がわからないので曖昧な返事しかできない。
  



     「なあレイン」

    お嬢様ーアリス様ーが真剣な目をして俺に言った。




   
  「学校へ行ってみないか?」


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