無欲、転生させられ世界をとる
前世の記憶
自分の大切な人が害される、ということは俺の中では絶対に認められないことなのだ。
俺は前世の10歳の時、両親を失った。
両親はどちらとも仕事をしていた。つまり共働きだ。
そんな両親は俺に構う時間をほとんど作ってくれなかったのだ。
そんな両親だったが、俺を愛していなかったのかと聞かれるとそうではない。
俺は2人の間に産まれた念願の子供だったからだ。
母は妊娠しずらい体質だった。いくら頑張ってもなかなか妊娠しない。
そんな中やっとのことで産まれた俺が愛されない訳がなかったのだ。
親の気持ちも知らないで俺は構ってくれない両親になんとかして構ってもらおうと努力した。
学校のテストでは90点以下など1度もとったことがなく、習っていた空手でもジュニアの全国大会で堂々の1位をとったのだ。
しかし、いくら頑張っても両親は俺に見向きもしなかった。
それは、褒めたことによって俺を自惚れさせないため自分たちの気持ちを押し殺していたのだ。
つまり、両親は愛情表現がとにかく下手だったのだ。
俺は10歳のときにとうとうあの事件を起こしてしまう。
それは久々に両親の仕事の都合がつき、家族3人で遊園地に向かっていたときのことだった。
空は快晴で気温も暖かく、絶好のお出かけ日和だった。
俺は前日に返却されてきた100点のテストを、あろうことか父が運転している最中に見せてしまったのだ。
それも運転席の後ろから父の顔を覆うようにだ。
とにかく褒めて欲しい、その一心だった。
父はテストによって視界を覆われ、赤に変わった信号が見えずにそのまま飛び出し、横からきていたトラックと衝突してしまったのだった。
俺たちの車の前方は横から衝突してきたトラックによってぺしゃんこに潰されてしまっていた。
運転席に座っていた父とその隣の助手席に座っていた母は即死だった。
この時に大切なものを失ってしまった俺は何事にも関心を無くしてしまい、無気力に、ただぼんやりと毎日を過ごしていたのだった。
このことから俺は転生した今回の人生では大切な人々を絶対に失わない、と心に決めていたのだ。
一度暴れ出せば、生物に甚大な影響を与え、最悪大切な人たちに被害が及んでしまう。
そんな凶獣を俺が放っておく訳がなかったのだ。
抑えていた魔力を解放し、俺は愛剣を召喚する。
「魔神剣召喚、顕現せよ!『焔剣イフリート』!!」
これまで大した魔力を持っていなかったハーフエルフが、突如凶獣となった自分たちを上回る魔力を帯びたのだ。
警戒するのは当たり前だった。
しかし、警戒してももう遅い。俺は既に魔神剣イフリートを一閃した後だった。
「グ、ギャリュリュ……!?」
2匹は自分が何かされたことに気付いたようだ。もう首は落とされていたのだが……
俺は解放した魔力を再び抑えた。長く魔力を解放していると自我が少しずつ持って行かれてしまうのだ。
急いで負傷したバハムルに駆け寄った。
「バハムル、傷の具合はどうだ?」
「心配してくれてありがとうタイガよ。もう大丈夫だ。」
ひとまず無事で良かった。安堵したその瞬間、俺の頬を鋭い羽が掠めていった。
2匹の凶獣は、首を失ってもなお悠然と羽ばたいていたのだった。
『あとがき』
携帯の機種変更、期末テストのためしばらく休載します。投稿が不定期ですみません。なにぶん趣味でやっているものなので……気長に待ってくれると幸いです。
俺は前世の10歳の時、両親を失った。
両親はどちらとも仕事をしていた。つまり共働きだ。
そんな両親は俺に構う時間をほとんど作ってくれなかったのだ。
そんな両親だったが、俺を愛していなかったのかと聞かれるとそうではない。
俺は2人の間に産まれた念願の子供だったからだ。
母は妊娠しずらい体質だった。いくら頑張ってもなかなか妊娠しない。
そんな中やっとのことで産まれた俺が愛されない訳がなかったのだ。
親の気持ちも知らないで俺は構ってくれない両親になんとかして構ってもらおうと努力した。
学校のテストでは90点以下など1度もとったことがなく、習っていた空手でもジュニアの全国大会で堂々の1位をとったのだ。
しかし、いくら頑張っても両親は俺に見向きもしなかった。
それは、褒めたことによって俺を自惚れさせないため自分たちの気持ちを押し殺していたのだ。
つまり、両親は愛情表現がとにかく下手だったのだ。
俺は10歳のときにとうとうあの事件を起こしてしまう。
それは久々に両親の仕事の都合がつき、家族3人で遊園地に向かっていたときのことだった。
空は快晴で気温も暖かく、絶好のお出かけ日和だった。
俺は前日に返却されてきた100点のテストを、あろうことか父が運転している最中に見せてしまったのだ。
それも運転席の後ろから父の顔を覆うようにだ。
とにかく褒めて欲しい、その一心だった。
父はテストによって視界を覆われ、赤に変わった信号が見えずにそのまま飛び出し、横からきていたトラックと衝突してしまったのだった。
俺たちの車の前方は横から衝突してきたトラックによってぺしゃんこに潰されてしまっていた。
運転席に座っていた父とその隣の助手席に座っていた母は即死だった。
この時に大切なものを失ってしまった俺は何事にも関心を無くしてしまい、無気力に、ただぼんやりと毎日を過ごしていたのだった。
このことから俺は転生した今回の人生では大切な人々を絶対に失わない、と心に決めていたのだ。
一度暴れ出せば、生物に甚大な影響を与え、最悪大切な人たちに被害が及んでしまう。
そんな凶獣を俺が放っておく訳がなかったのだ。
抑えていた魔力を解放し、俺は愛剣を召喚する。
「魔神剣召喚、顕現せよ!『焔剣イフリート』!!」
これまで大した魔力を持っていなかったハーフエルフが、突如凶獣となった自分たちを上回る魔力を帯びたのだ。
警戒するのは当たり前だった。
しかし、警戒してももう遅い。俺は既に魔神剣イフリートを一閃した後だった。
「グ、ギャリュリュ……!?」
2匹は自分が何かされたことに気付いたようだ。もう首は落とされていたのだが……
俺は解放した魔力を再び抑えた。長く魔力を解放していると自我が少しずつ持って行かれてしまうのだ。
急いで負傷したバハムルに駆け寄った。
「バハムル、傷の具合はどうだ?」
「心配してくれてありがとうタイガよ。もう大丈夫だ。」
ひとまず無事で良かった。安堵したその瞬間、俺の頬を鋭い羽が掠めていった。
2匹の凶獣は、首を失ってもなお悠然と羽ばたいていたのだった。
『あとがき』
携帯の機種変更、期末テストのためしばらく休載します。投稿が不定期ですみません。なにぶん趣味でやっているものなので……気長に待ってくれると幸いです。
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