異世界をスキルブックと共に

気のまま

エンチャント

「なぁエレナ、本当にこの服じゃないと駄目なのか?」

「はい、ジャックとも相談したのですがこれぐらいの装飾がある服ぐらいが丁度良いかと思います。大丈夫です、似合っていますよ」


そう、エレナに言われて改めて自分の服装を見てみる。

いつもの服装とは違い上下綺麗に作り込まれていてとても高級感がある気がする。

だがこの服、無駄に装飾が多いし動きづらいんだよな。

何より着せられている感が物凄い。

エレナは似合っていると言っていたが俺が聞く前に大丈夫と言っているところからして完全に信用できない。

誰か俺を客観的に評価してくれる人間はこの拠点にはいないのだろうか?

しかし何故俺がこのような服を着ているかと言うと先日レルドからモーテン経由で王城に招待されたからだ。

王様への面会とその後で祝いの席を設けるらしい。

王様への謁見はまぁいいができれば祝いの席は目立ちたくないからこじんまりとしたのを希望したい。


「だけど俺に比べてエレナはそのドレス本当に良く似合っているな」

「有り難うございます」


そう誉めると頬を若干赤く染めながらエレナが此方に頭を下げてくる。

エレナは今燃えるような赤を基調とした細身のドレスに身を包んでいる。

本当は俺の護衛として王城に来る予定だったのだが祝いの席で何人か連れてきても良いとのことなので俺の隠れ蓑として綺麗所を連れていく予定だ。

だが改めてエレナを見ると本当に綺麗だな。

召喚した当初はまだ何処か幼さが残っていた気がするが強化する度にどんどん綺麗になっていっている気がする。

このまま上限までいったら何処まで綺麗になるのだろうか?

俺はそうエレナの今後を想像しドレス姿のエレナに少しの間見惚れていた。

今日はマリア達を奴隷解放した日から一週間経つ。

装飾品に関してはあの後何度か試行錯誤した結果どうやらエンチャントのスキルは魔法ではなくスキルの方をLVに応じて魔石に定着できるようだ。

具体的に言えば身体強化LV5を魔石に定着する場合はエンチャントLV5が必要で定着した魔石を別で作った装飾品にスキルで接合するとそのスキルが装備者に発動すると言うものだ。

ただエンチャントできないスキルもあった。

召喚や付与等のスキルだ。

何か基準があるのだろうか?

だが俺は作った当初はあまりの良スキルに驚いた。

これ指とか腕に着けまくったらかなり強化できるんじゃないか?

俺はそう思いつくと早速LVが10に届いていないスキルで試してみたのだが最終的に各部位に一つづつしかスキルが発動しないという結果に終わった。

まぁ沢山着けることはできなかったが各部位に一つスキルが発動すると分かってだけでも上々だろう。

もう一つ判明したのが魔石の等級で付与できるスキルのLVも変化するということだ。

等級が5の魔石にはスキルはLV5までしか付与できないという感じだ。

まぁこれは何れ良い魔石が見つかれば更新していけばいいし俺は『スキルブック』でスキルを上限まで取得できるからどのLVでも対応できる。

これでみんなの装備を作ればかなり強化できるから暇があれば少しづつ作っていこう。

しかしプレゼントを作ると決めたのはいいが決定的なものを俺は忘れていた。

そう、自分のセンスだ。

先程試作した腕輪を見てみるがどう考えても女性が着けるような腕輪ではない。

こう……なんだろうか、女性が着けていて魅力が増すようなワンポイントな装飾品を作りたいのだが俺が作ったものは耐久性に優れたゴツくて防御力の高そうな腕輪ができた。

何故だ……

もっとお洒落な奴が作りたいのに全然そういうのが想像できない。

具体的な見本があると助かるのだがこの拠点にはそんなものは無いし何よりサプライズであげたい。

取り敢えず変に弄るとまた変なのができそうなので金属を細く編み込み魔石をワンポイントにするシンプルな腕輪で妥協することにした。

まぁ初めての装飾品作りだしこれから練習していこう。

その翌日にはエレナを迎えに行くついでに早速みんなにプレゼントしたのだがみんなあまりの出来に声が出ないのか腕輪を見てかなり驚いていた。

何度か作り治したからそんなに見映えは悪くないはずなんだけどな……


「これを本当に頂いても良いのですか?」

「ああ、そのために作った物だからな」


マリアとリンには索敵と身体強化を各々に、ランカ達は鑑定やら錬金やら商売に役立ちそうなものをプレゼントした。

更に今回は特別にエレナにもプレゼントを用意した。

みんなが貰っている中一人貰えないと可愛そうだからな。

我が拠点の最初の人間だし記念に簡素なネックレスをあげた。

スキルは魔力増大だ。

渡した時は周囲から歓声が沸いたが何か問題があったのだろうか?


「有り難うございます。一生大事にします」

「ああ、これからもよろしく頼む」


だがその装飾品はそこまで手の込んだ物ではないから気に入らなかったら着けなくても良いんだぞ?

いずれ物凄い彫金した奴を作る予定だから期待しておいてくれ。

エレナ達はそのまま直ぐに装飾品を各々大事そうに着けお互いに見せ合ったりしていた。

この後アンナちゃんに見つかりプレゼントを渡さなかったことでアンナちゃんが物凄く怒って宥めるのが大変だった。

うち拠点の記念品なのに何故怒るのだろうか?

後日何か作ってくることを約束させられたし女性は本当に難しい。

更に装飾品以外にもゴブリンプリースト達の出産やギルドからのLVについてのレクチャー依頼、アルバートの魔道具開発等があったのが記憶に新しい。

ゴブリンプリーストが産んだ子供はホブゴブリンだったことからどうやら妊娠した時点での種族が産まれることがわかった。

産まれて直ぐに従属化するために俺の処に持って来たのだが俺はこれからも拠点で誰かが出産する度に従属化をしなければならないのだろうか?

最近人数が増えてきたし考えるだけでも恐ろしい。

LVについてのレクチャーはモーテンでもできるので丸投げしておいた。

一応最近作った鑑定の腕輪を貸し出しわからないことがあれば連絡するように言っていたが連絡がないので無事にこなせているのだろう。

最後はアルバートの魔道具だ。

以前俺が依頼していた収納袋の共有化が成功しその後も俺が作った属性付き魔石で多くの魔道具を作り続けている。

普通属性付きの魔石はその属性特有の土地から産出されるか特有の魔物からしか取れないらしく俺が魔石を供給する限りずっと工房に籠りっきりだ。

あいつが寝ているところを見たことがないのだが体調とか大丈夫なのだろうか?

未だに一人で作っているし早急に補助でもできる人間か魔物が必要だ。

今度リアムに頼んでアンデッドの中から探してみよう。

さて、本当にこの一週間は色々あってやりたいことも多いが取り敢えずは王城に招待されたからそれを済ませなければならない。

今から考えるだけでも憂鬱だがエレナ達も一緒だからまぁなんとかなるだろう。

俺は王様に持っていくお土産を何にするか考えながらエレナ達と準備を進めた。

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