異世界をスキルブックと共に

気のまま

従属化3

「私達も従属化しこれからもケンゴ様のお側で働かせてください」


なんだと……?

俺はランカのその言葉を聞いてびっくりした。

あの後ザック商会に到着すると直ぐにランカ達に取り次ぎをして貰ったのだがランカ達に会うなりいきなりこの言葉を投げ掛けられた。

俺は振り返り後ろの三人を見るが恐らくこの中の誰かがここに来るまでの間にランカ達に内容をリークしたのだろう。

まぁ内緒にするような内容じゃないから別に構わないのだがこいつらがこっそり念話を行っている時は大抵録でもない伝わり方をしている気がする。

一応確認しておこう。


「本当に従属化しても大丈夫なのか?お前達は俺の言い付け通りちゃんと働いてくれているし解放後は好きにしてもいいんだぞ?できればこのまま俺の元で働いて欲しいがそれは強制ではなく働き口の一つとして考えて貰う予定だ。無理に従属化する必要はないぞ?」

「いいえ、私達も話し合った結果みんな従属化したいという結論に至りました。それに実は羨ましかったんです。拠点ではみんなケンゴ様の眷属である証したる紋様が有りますしゴブ朗さん達とも直接話していますし従属化すれば私達も同じようになるんですよね?」


ふむ、羨ましいか……

後ろにいるマリア達は大きく頷いているが相変わらずこの子達の思考が理解できない。

確かにゴブ朗達と会話するできることは羨ましいが自由を代償にしないといけないなると話は変わってくる。

人生を捧げる程の魅力が俺にあるとは思えないしこの世界ではこの子達のような思考が普通なのだろうか?

それにこの子達を従属化してしまうとうちの拠点は再び俺と何かしらスキルか契約で縛られた者達だけになる。

慕われているとは分かるのだが先程のようなエレナの言葉を聞くと少し自信が無くなる。

将来的に従属化を解除する方法がわかったらなるべく解除していくつもりだがその時俺は今と同じように慕われているだろうか?

ゴブ朗達の召喚の時の態度から分かるように現在の召喚者の俺への好意は間違いなくスキルが影響している。

それが無くなったときエレナ達やゴブ朗達は今のような態度でいるとは到底思えない。

今まで築いたものが全てなくなるとは思わないが先のことを考えると少しだけ不安だ。


「確かにみんなと同じように紋様も出るしゴブ朗達とも話せるようになるぞ。だが代償に俺に縛られることになる。もう一度聞くぞ、本当にいいのか?」

「はい、一生ケンゴ様に縛られることになるんですよね?ということはお側にいればいずれこの身もケンゴ様に……」


ランカがそう言いながら自分の身体を抱き締めながらこちらを見てくる。


「ランカ!少しは立場を弁えなさい!油断すると直ぐに媚びを売ろうとしますがケンゴ様への貢献度は私達の方が高いんですよ?順番を守りなさい順番を!」

「そうだよ!ランカ、順番は大事だよ!」

「あら?今は確かに貴方達の方が貢献しているかも知れないけど今後はどうなるかわからないわよ?貴方達は戦闘しかできない脳筋だけどそれはゴブ朗さん達でも構わない筈よ。私達はこれからケンゴ様の為にお金を稼いでいくしその力で名前も広めていく予定よ。最終的にケンゴ様の役にたっているのはどっちかしら?」

「くっ!だけど私達は従属化したらこれからもケンゴ様のすぐお側で貢献していきます。貴方は滅多に会わないのだから先に忘れられないように努力した方が良いと思いますよ?」

「中々言うわね。でもケンゴ様は転移できるから距離は関係ないんじゃない?滅多に会わないって言っているけど四六時中ケンゴ様のお側にいるわけじゃないだろうしこっそり会いに来てくれているかもしれないわよ?」

「そんなことあり得ません」

「本当に?」

「ねぇねぇ二人ともそもそもエレナさんが最初なの覚えてる?最近拠点に女の子も増えてきたし私達は仲良くした方が良いと思うよ」

「それは本当なの?」

「うん、最近王国の人達を召喚しているからこれからどんどん増えると思う」

「それはまずいわね。マリア、一時休戦して情報を共有しないかしら?」

「それは貴方が情報が欲しいだけでしょう?」

「代わりに私は町で買った物を出すわ。貴方達支給品しか持っていないでしょ?」

「……わかりました、良いでしょう。一時休戦とします。その代わり抜け駆けは許しませんからね」

「ええ、約束するわ」

「ならこれからは三人で協力して頑張ろうね!」


……俺の目の前で熱く三人が握手を交わし合っているがこいつらは定期的に俺の存在を忘れて話し出す癖でもあるのだろうか?

それにランカ、お金を稼ぐのは良いが俺の名前を広めるのは勘弁してくれ。

拠点でひっそり暮らしていくのなら知名度は低ければ低いほど好ましい。

ザックさんも自分の名前を商会名にしているしランカも自分の名前を商会名にすればいいんじゃないだろうか?


「貴方達、いい加減にしなさい。ケンゴ様を無視して何を話しているのですか?雑談なら後で念話でしなさい」

「あっ!ごめんなさい!」

「エレナさん、すみませんでした」

「無視すりつもりは無かったんですが……」

「謝る相手が違いますよ」


そうエレナが言うと三人は慌ててこちらに頭を下げてきた。

まぁこの世界に来て無視されるのには慣れているがああいう会話はできれば話の当人の前でしない方がいいと思うぞ?


「別に慣れているから気にしなくていいぞ。取り敢えず従属化は後で拠点に戻った時に行うということでいいな?」

「「「はい!」」」


だがこういう素の会話が聞けると本当に仲良くなれたのだと少し安心できる。

俺はそう確認した後、奴隷解放祝いのプレゼントの為に何か欲しい物がないかマリア達全員に聞いて回った。

「異世界をスキルブックと共に」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く