異世界をスキルブックと共に

気のまま

従属化2

「いや感謝してくれるのは有り難いんだがそれがなんで奴隷契約の解消の否定に繋がるんだ?」


奴隷でいるより解放されて何も柵がないほうが良いだろうに。


「それは……」

「ケンゴ様は私達のことはもう必要ないのですか?」


ん?意味がわからない。どういうことだ?


「いや今後も助けてくれるのであれば是非一緒にいて欲しいと思っているが……」

「だったら!!……私達を奴隷から解放するのはお止めください」

「私からもお願いします」


そう二人は言うと真剣な目付きで此方を見つめてくる。

うーむ、何が問題なんだ?


「ケンゴ様、マリア達はケンゴ様との繋がりが無くなるのが怖いんですよ」


俺との繋がりが無くなるのが怖い?

いや普通に念話もするしこれからも変わらず付き合っていくつもりだがそれじゃぁ駄目なのか?


「繋がりがなくなる?」

「はい、現在拠点には奴隷か召喚、従属化した者しかいません。そこで奴隷から解放されケンゴ様と何も繋がりのない者が出現したらどうなると思いますか?」

「いや新参者じゃないんだし特に何も変わらないんじゃないか?」

「いえ、確実に信用度が下がります。その後は必然的に仕事も減り拠点に居づらくなることは目に見えています」

「いやいや流石にそんなことにはならないだろ」

「本当にそう思いますか?現時点ですら私達召喚者から見れば奴隷達の信用度はそんなに高くないんですよ?」


なんだと……?

あんなに仲良さそうにしているのに?


「そうなのか?」

「はい、私達召喚者にとってケンゴ様の命は全てに優先されます。ですが召喚者以外の奴隷達にとってそれはどうでしょうか?奴隷は借金、又は犯罪を起こして大半が自分の意思に反してなります。そのような者がいざと言うときにケンゴ様に命を差し出すでしょうか?」

「いや普通は出さないだろ」


お前達も全てにおいて優先するってなんだ。

久し振りに召喚スキルの隷属化がわかる発言が飛び出したな。

重すぎる。


「答えはわからないが正解です。確かにケンゴ様の言うとおり大半の者は我が身を大事に思うでしょう。ですがマリア達のようにケンゴ様のことを慕っている者もいます。ですがやはり私達の結論は完全には信用できないということです」

「そんなっ!」

「エレナさん!私達は!!」

「貴方達の気持ちはわかりますが万が一、億が一にもケンゴ様に被害を出す訳にはいきません」

「そんな……」

「なので私から一つ提案があります」

「提案?」

「はい、マリア達を奴隷から解放した後彼女らを従属化してください。これなら今後も問題なく拠点で生活できますしゴブ朗先輩達とも会話が成り立つようになるので一石二鳥です」


従属化か……

確かに俺も考えたことがあるが従属化させるとマリア達の意志がスキルによって強制的に隷属化することになる。

できれば彼女らは一度も死んでいないのだからこれからの人生好きに生きて貰いたい。

それにマリアとリン限定だが折角のユニークスキルがどうなるかわからない。

現段階では解除方法は分かっていないから俺からしてみれば従属化はデメリットしかないように見えるがエレナは本気で従属化を勧めているのか?


「だが従属化は多少なり当人の意思を変化させるし解除方法がないから一生俺に縛られることになる。マリア達はまだまだ若い、やりたいことや行きたい場所があるんじゃないか?それにユニークスキル持ちを従属化したことはないから従属化でユニークスキルがどうなるかわからないぞ?」

「ケンゴ様がマリア達を拒んでいないのであれば後はこの子達の意思次第です。それにユニークスキルに関してもケンゴ様はこの子らをユニークスキルで評価しているのですか?」

「いや、そんなことは絶対にない」


ユニークスキルがあろうとなかろうと既にマリア達は俺の大事な家族だ。

蔑ろにしようはずがない。


「なら答えは出ましたね。マリア、リン、貴方達はこれからどうしたいのですか?」

「私は従属化してこれからもケンゴ様のお側にいたいです!!」

「私も同じ気持ちです。呪いから解放された時から私達の心はケンゴ様と共にあります。これからもこの身が朽ちる時までどうかお側にいさせてください」


重い、重すぎるぞ。

俺からしてみるとマリア達の人生はこれから楽しいことが沢山訪れる年齢だ。

できれば自分の好きなことを見つけ遊び、恋愛をして人生を謳歌する中でたまに顔を見せに拠点に遊びに来るぐらいがいいと思うのだが……


「本当に後悔しないのか?」

「「はい!!」」


ここまで言われたら従属化しない訳にはいかないな。

まぁこの後ランカ達に会って心変わりするかもしれないしな。


「分かった、一応ランカ達にも解放の話をして拠点に戻ったら行おうか。ランカ達は普通に解放を望むかもしれないしな」

「はい!ですがランカ達も私達と同じだと思いますよ?」


いやいや、流石にそれはないだろう。

最近会っていないし彼女らはザックさんの元、商売の手解きを受けているから解放したら確実に生きていけるだろう。

もしかしたら自分の店を持ちたいと考えている奴もいるんじゃないか?


「それはどうだろうな、最近会っていないしもしかしたら解放を喜んでくれるかも知れないぞ?」

「絶対にないと思います」


何故そこまで断言できるのだろうか?

俺は疑問に思いながらザック商会へと向かった。

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