異世界をスキルブックと共に

気のまま

奴隷解放

俺は午後になり漸くアルカライムに来ることができたのだがあの後は大変だった。

俺の新しい屋敷に下見に行ったまでは良かったのだが問題だったのはダッチの説明が凄く長かったことだ。

ダッチは屋敷の周辺に始まり各部屋の内装まで事細かに説明してくれた。

いや見た目からかなり作り込んでいるのは分かるのだが俺がそれを全て理解し使いこなせるとは思わない方がいいぞ?

それに住むだけなら何処か一部屋狭い部屋を決めてアパートみたいに暮らしていくことは可能だろうがこの全てを一人で維持管理するのは流石に無理がある。

うちの拠点には使用人みたいに家を維持する専門の人間がいないからまた外で新たに雇ってくる必要が出てくる。

それは手間がかかりすぎるからこの屋敷は俺の寝床ではなくてみんなが使えて維持しやすい公民館みたいな物にしないか提案したのだが即断で却下されてしまった。

これから人が増えていく中でこの拠点のトップが誰か周囲にも分かりやすいようにしないといけないし上の者の待遇が良くないと下の者も待遇を改善しにくいらしい。

いやその気持ちは分からなくもないが俺は気にしないからどんどん改善していってくれと言ってもそういう問題じゃないと一蹴されてしまった。

使用人に関しても従属化した中から選抜し維持管理に当てるから俺は気にせず好きなように暮らしていいらしい。

うーむ、そう言われても俺は日本にいたときから家族三人質素倹約を旨に生きてきたからそもそも贅沢しようとあまり考えたことがない。

そもそも贅沢三昧でだらけたり人に任せきりになると人間駄目になっていく気がする。

俺もできればみんなの手伝いを行いながらみんなと同じように暮らしていきたいのだが中々ままならないものだ。

午前中はそんな感じでダッチの説明だけで潰れてしまった。

要望に関しても内装や外観に対しては特に問題なかったから出していない。

まぁ実際は内装や外観以外で出した要望は全て却下されたんだがな。

午後になり漸くダッチから解放されたかと思ったらリンから直ぐに連絡がきた。

恐らくゴブ朗の訓練が午前中の切りの良いところで終わったのだろうが相変わらず行動が早い。

もう少し余裕がある予定だったのだがこれではプレゼントを用意する時間がない。

まぁリン達も奴隷から解放したら直ぐに何処かに行くわけではないだろうから今晩辺りにこっそり用意すれば大丈夫だろう。


「それでなんでエレナがここにいるんだ?」

「はい、ケンゴ様が突然奴隷を解放すると言い出したとリンとマリアから相談されまして」

「突然?奴隷契約をする時一ヶ月ぐらいの労働期間だと話していなかったっけ?」

「いえ、リン達は廃棄予定の奴隷達でしたでてっきりケンゴ様が買い取ったものだと思っていたのですが……」


なんだと……

確かに思い返せば奴隷の扱いについては話した記憶があるがリン達の期間については話をしていなかった気がする。

俺は金貨一枚で雇ったから大体一ヶ月ぐらいで解放しないといけないと思っていたのだが違うのか?


「奴隷に買い取りとかあるのか?俺はてっきり解放しないといけないと思っていたんだが……」

「普通は労働に従事した際の賃金が借金に当てられ相殺されます。ですが借金が多すぎて生涯返済が不可能な場合や労働が不可能な奴隷等は少しでも返済に当てるためその存在自体を売りに出します」

「でもそんなことあの奴隷商人は教えてくれなかったぞ?」

「普通中々あることではないので説明を省いたのだと思います。聞けば恐らく答えてくれると思いますよ」

「中々ないことなのか?」

「そうですね。普通は借金が多すぎると買い受ける人間も少ないので一定期間買う人間がいないと鉱山に送られます。更に労働が不可能になった奴隷、主に奴隷になって病気になった者やリン達のように部位を欠損してちゃんと治療を受けれなかった者ですがそれを好んで買い取る人間は少ないと聞いています。基本はやはりそのまま感染等で死ぬことが殆どですので。」

「そうか……」


やはり一度奴隷になると病気になったりした場合そう簡単に治療が受けれないことが多いのか。

そもそもこの世界は魔法があるのだからもっと気軽に治療とかできないのだろうか?

うちの拠点とか魔法とポーションで大体殆ど治ってしまうのだが……


「この世界は魔法があるんだから誰かそういう奴隷達も治療できる奴はいないのか?」

「少ないと思いますよ。ケンゴ様の拠点で日常的に行われている回復関係ははっきり言って異常です。普通は魔法を使用しても重症の病気や傷等は殆ど癒せません。ポーションに関しては等級次第ですが市販されている物では軽い傷を治す程度でしょう。それにその奴隷に施す治療に誰がお金を出すのですか?それこそ慈善で行われる治療にはそこまで効果はありません」

「そうか、治療費は高いのか?」

「そうですね。病状や怪我次第ですがそもそも回復魔法を使える人間が少ないので必然的に値段も高くなります」


確かにうちの拠点でも回復魔法を使えるのは俺とプリースト達だけだな。

それにしてもやはり日本にいたからか経済的弱者に補助や救済がないのは残念に感じるな。

まぁ俺がこの国の内情を変えるのは無理だから俺の拠点ではなるべく差がでないように配慮しよう。


「その点は私達はケンゴ様に出会えて本当に運が良かったんです」

「はい、あの時はもう死ぬしか道はないのだと思っていました」

「四肢を回復するだけでも大変なのに私達の呪いまで解消して頂いたこと本当に感謝しています」

「だから今度は私達がケンゴ様にお返しする番なんです!」

「お願いですから奴隷契約を解消するなんて言わないでください……」


ん?どういうことだ?

感謝してくれることは伝わってくるのだがそれがなんで奴隷契約の解消を止めてくれという話しになったんだ?

俺はそのことを疑問に思いながらリン達に返答をした。

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